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平原の大将Stetson 3月29日~365日の香水

だから香水は面白い
この香り、ブラインドで試してもらうと、歴史的な名香やハイブランドの名が候補に出ると思う。気のせいかと思って何度も時と場所を変えて確認したけれど、間違いなく秀逸。
1940年代までの構造を残し、重厚で巧みで雑味のない調合。
それでテーマは60年代くらいまでのアメリカ、だろうか。
これはメンズフレグランスだけれど、まるで20年代から、美しい女性を引き立てるためにタイムスリップしてきたみたいな香りなのだ。
だから、この世界は面白い。

カウボーイハット
ステットソン(Stetoson)は、1865年創業の帽子のメーカーで、創業者の名前がブランド名になっている。ジョニーデップや木村拓哉が愛用していることで今は知られているらしい。フェルト製の真ん中がくぼんだデザインの帽子だ。カウボーイハットの代名詞のようになっているのは、ステットソンが出会ったカウボーイに売った帽子がその原型だからとのこと。後に「平原の大将(Boss of the plains)」と命名し、”this is America”のようなシンボル的なアイコンにまでなった。
ちなみに、創業者のジョン・バタソン・ステットソン(John.B.Stetson)は大家族の7男で体が弱かったり、若いころには生計を得るための苦労もしたらしい。平原の大将で経営者になってからは、「福利厚生」を重視していたよう。クリスマスボーナスや生命保険加入など好条件で集まった職人たちが市民権を獲得できるよう教育研修をするなどもしていたそう。19世紀の経営者にもこういう志を持つ人がいたんだな。

Stetoson/coty/1981
ステットソン社は、ライフスタイルの変化に伴う重要の減少から70年代に工場を閉鎖。ライセンスビジネスに舵を切る。メガネやフレグランスなどが展開される。帽子の需要は下降線でも「Stetson」のネームバリューは確固たるものになっていた。
1981年にその名を冠したメンズフレグランスがまず世に出た。
冒頭に書いた通り、大げさだけれど、この香りは気づかれていない傑作。
ラベンダーやシトラスと協奏しながら匂いたつオリエンタルは、心地よい優しさ、ラストはバルサムが効いてきて、見事なドライダウン。
全く荒々しさやマッチョさはなく、洗練されていてふくよか。
シックなイブニングドレスで出かける時に、そっと付けて「その香り何?」と聞く人を驚かせたい。

香り、思い、呼吸。

3月29日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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