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誘惑に駆られる 6月27日〜365日の香水

試みる
誘惑を意味するフランス語のtentationは、ラテン語のtentatioを語源として、これには試みるという意味があるとのこと。
誘い惑わされるのだから、見えてくるのはリスク。
ハイリスク、ハイリターンということが、人を誘惑するのかもしれない。
そして、わかっていてもあえて試みる、誘惑に駆られるものなのかもしれない。

リスク
誘惑に駆られて足を踏み入れた、先に何が待つかわからないリスク。
危険が待っていそうな予感。
それでも、行きたい、手を出したい、トライしたいという心境。
振り返ってそのような心境があっただろうか?
期待と不安という気持ちはいつもあるけれど、その不安をおしてでもという気持ちは誘惑に駆られるとは違う。
危険を伴う大きな挑戦は誘惑されてではなく、覚悟して行う。
誘惑に負けて、プレゼントを早く開けてしまうとか、二つ目のケーキとか、そんなことならあるけれど、些細なこと。

誘惑で想起した昔話と女王
不意に思ったのは鶴の恩返し。
男は誘惑に負けて、絶対開けるなと言われた扉を開けてしまう。
知りたい、幸せで妻を愛していて、だから知りたいという思い。
誘惑には、相手や対象への強い思いがあるといえる。
歴史上の人物ならカエサルやアントニウスの気持ちを欲しいままに大国を統治したクレオパトラが、戦略的な誘惑者ではないだろうか。
機知に富む鮮やかな戦略と迷いのない実行力。

誘惑されたりしたり?
そういうロジックで行くと、誘惑に駆られた出来事をすぐに思い出せない私は、誰かや何かを強く思ってこなかったのだろうか?

どちらにしても誘惑の危険な醍醐味は、それが似合う香水で味わおうと思う。

tentation/paloma picasso/1996
このテーマならオリエンタルノートが横道。
しかし、調香師はソフィア・グロスマン。
トップにフルーティをきかせて、優しさやあたたかさを漂わせる。ミドルはスパイシーフローラル、ムスクや樹脂の香るラストノートまで妖艶さを奥に潜ませ、とてもエレガントに香りは流れていく。
鶴の織り上げた金糸の美しい布から、ほのかに漂うような、あるいはアントニウスとの謁見に臨むクレオパトラの帆船から強く匂いだっていそうな、グラデーションある誘惑の世界だ。

香り、思い、呼吸
6月27日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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