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エイプリルヴァイオレット 4月1日〜365日の香水

すみれ~バイオレット
なんとも繊細で儚げだけど、その香気は主張も強く、調香に際して、しあげていく「形」にどう関与してもらうか、趣向の凝らしがいのある香りの一つ。
リスボンの古い薬局で、測り売りされていたバイオレットの香料をサロンのベースに配合していた時期もある。
花と葉では香りは趣が違い葉の部分~バイオレットリーフは、グリーン感を増してくる。
繊細な小さな花は天然香料の抽出には不向きなので、アロマセラピー用途の精油では見かけることがない。
はるか昔、香水が特権階級のものだった時代には、手間暇をかけて香りの成分を抽出し、やんごとなき人々のために捧げられた。
マリーアントワネットも、淡く甘美なこの花香を好んだという。

いくつもの名香
ゲラン(Guerlain)のアプレ ロンデ (Après L'ondée)やシャネル(Chanel)のミシア(Misia)などバイオレットが際立つ香水、そしてバイオレットの香りそのものをテーマにした名香も多い。
オリザ・ルイ・ルグラン家がロマノフ王朝の御用達であったことに由来するViolettes du Czar(ヴィオレッタデュツァー~皇帝のスミレ)もそうだけれど、イタリアの古い香料会社のボルサリ、そして英国のヤードレーからもバイオレットの香水が出ていて、いずれも”バイオレットの香り”と聞いただけで高貴さを連想させる。
バラと同様に18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで王侯貴族の身だしなみに重用された歴史がバイオレットにはあるためのイメージの繋がりだろう。

april violets/yardley london/1913
アンティーク香水をコレクションすると必然的にバイオレットの香水が揃ってくる。
バイオレットは「香水と言えば、シングルフローラル(一種類の花の香りをテーマにした香水のタイプ)」だった19世紀ころまでの香水の女王のような存在だったといえるのだ。
エイプリールバイオレット(april violet)を出したヤードレー(yardley)の歴史は古く創業は1770年。化粧品メーカーとして世界最古と言われることもある。石鹸や香水などを主力に特にラベンダーの香りの石鹸やコロンなどがヤードレーの顔のようなアイテムだ。
さて、このヤードレーのエイプリールバイオレットは、「喜び」に溢れている。
極めてシンプルな香調だけれど、ナチュラルで活気があるバイオレット。
春の始まり、四月の始まり・・・”デビュー”というイベントのときめきをシンプルな香調の中に潜ませている。

香り、思い、呼吸

4月1日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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#365日の香水

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