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Old Gucci~らしさとマーケのコンフリクト 7月18日〜365日の香水


グッチの始めての香水とそのペア
グッチについては依然、最初の香水について書いた。

今日の香水は、この"グッチの1番(Gucci NO.1)"の次に発売されたもの。前者が女性用であったのに対し今日のGucci Pour Homme(グッチ男性用)はその名の通り男性用である。
流れからこの二つはペアフレグランスと考えていい。

ボトル、パッケージデザインに見るグッチ的なもの
グッチの1番、グッチ男性用のいずれも、パッケージとボトルにグッチらしさ、厳密にいえば現在は”オールドグッチ(old gucci)”とカテゴライズされている”いにしえのグッチらしさ”が顕著。
まずは「シェリーライン」と言われる緑と赤のイタリアンカラーのラインが施されていること。
シェリーラインは馬具の腹帯からきている。
そして同じく馬具のくつわからきているホースビット。
この二つが明確にシンボルとして施されていて、元来のグッチという世界観だ。

ハウスの”らしさ”と”独立性”
グッチの一族による経営がまだ破綻していなかった時期、オールドグッチの時代と言い換えてもいいけれど、その頃のデザインには、シェリーラインもホースビットも「乗馬はハイソサエティな文化」という考えから作られたように、創業者の探求心や哲学が投影されていた。
2004年に一族は経営から離れた。
他のハウスもそうだけれど、資本が変われば、これまでの伝統や技術を継承しつつ、徐々にクリエイティブはマーケティング志向になっていく。
そのハウスの”らしさ”は独立性により担保されるので、資本が入りマーケティングが絶対的な介入をするこで、”らしさ”と”マーケの結果”はコンフリクトすることも少なくない。
どちらがいい悪いではなく、そういう違いが出てくる。

マーケティングからしさの創造か
以前、香水に関して二人の巨匠のマーケティング論に触れた。

一人のクリエイターから創出される物語と、マーケティングから創出される物語がある。
できれば、常に物語に出会う時、私はどちらにも触れたいと思う。
マーケティングが消費者の物語とのインタラクティブとすればそれはそれで、良いけれど、ある人の圧倒的な物語のパワーを見せつけられたいという思いも残る。

Gucci Pour homme/Gucci/1974
70年代のメンズらしく、骨太でキレッキレ。調香師はGucci No.1と同じギー・ロベール(Guy Robert)。
ㇻベンダー、バジル、スパイスなどのハーバルでドライな香り立ちに、モス、ムスクやバニラなどが時間の経過に伴い香りに溶け出してくると、香りがスケールアップしていく感覚がある。
ベーシックだけれど、このような調合が可能にする世界観。
やっぱり香水もオールドグッチの格を持ったものだ。

香り、思い、呼吸
7月18日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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