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蜃気楼 4月18日〜365日の香水

C'est  un Mirage~それは幻想
蜃気楼はある気象条件の下、遠くの景色が伸びたり、さかさまになって見える現象。実際はそうではないから、例えば英語でChasing a mirageといえば“叶わぬ夢”を追うこと、フランス語でC'est un mirageといえば“それは幻想”ということになる。
いずれも実現しない、現実にはないことをミラージュ(蜃気楼)に例えて言っている。
18世紀にこの現象が科学的に解明されるまで、各地域では、海の巨大生物が水面に浮上した時の吐く息によるものとか、旅人の幻視であるとか、神の啓示や未来の予兆であるなど様々の解釈がされてきた。
この自然現象は解明されるまでは、とても神秘的な出来事であったわけだ。

データはどこへ
今日の香水であるミラージュは、資料をあさってもデータベースで検索しても検出されない。
記録の世界では幻のようになってしまっているけれど、私のコレクションに確かにある。
こんなに便利な情報社会の真っただ中で、失われた記憶もあるのが面白い。
存在が事実であっても、時の流れの中で幻のようになるものもあるのだ。

言葉はどこへ
データベースというものはプロフィールを明らかにしていく。その存在にタグがつけられていて、それを整理して並べたものを閲覧することで私たちはそのデータをその存在の実態だと考える。
出所、構成要素、履歴などが言語化されてタグ付けされている・・・それが実体だと。
本来なら香水ミラージュにも、発売年、香りの特徴、調香師、などのタグラインがあって確認できたはず。
今日現在、これらの言語を(私にとっては)持たなくなったミラージュだけれど、スクエアなメンズライクなボトルと濃いオレンジの液体と、確かに存在している。何の言葉も持たないけれど。
言葉は「何かをわかりたい」私たちにとって、規定してくれ、限定してくれる便利なツール。言葉を与えられたら、それ以上悩まなくていい。
だから、データベース世界から消失したミラージュは、”悩み”のための存在と言える。
悩みとは、想像の枠を広げ、思考の堀を深めるものだという意味でだけれど。

MIRAGE/COTY/19・・
カーネーションやラベンダーなどのスパイシーノートがガツンと上がってきた後の清涼感。ベチバーやサンタルなどの落ち着いた包み込むような香調が意外と早く訪れる。
オーデコロンタイプの香りは、ブラームスの二つのラプソディのように駆け抜けていく。

香り、思い、呼吸

4月17日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。


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