ジャングルの象 4月2日~365日の香水
ジャングルの世界観
古代マヤ文明においてはジャングルに住むのは創造の神と破壊の神であったという。
古代インドの叙事詩「ラーマ―ヤナ」ではジャングルに追放された主人公がそこで自我を発見し成長していく。
鬱蒼とした熱帯雨林にひとたび迷い込めば、そこは現代でも、宇宙並みの未知の世界、多様な生命世界のサイクルを営みながら、ジャングルは存在している。
海底や宇宙の未知と少し異なるのはジャングルはそこに「危険」があることが明らかということ。だから月面は探査するけれど、ジャングルは探検に行く場なのだ。
マヤの人々がここには創造と破壊の神がいると考えたのも、生命が生まれ育まれながら、その生命は常に危険にさらされているという体験からだと思える。
心の中のジャングル
小宇宙のように、自身の内的世界をジャングルに擬えたらどうなのだろう。
一人の人間には、密林の王者である虎のような面、すばしこくて器用な猿のような面、数年に一度一日だけ咲くラフレシアのような面、全てを見守る熱帯樹のような面、きっと様々な面が内包されているのだ。毒のあるもの、調和をもらたすもの、育むもの。
そしてなおかつそこは、未知なのだ。未開なのだ。
香水が導いた摂理
今日はケンゾー(KENZO)のケンゾージャングル エレファント(kenzo Jungle L'Elephant)の日にしようと考えた。
ここ数日の鬱蒼とした気分をどこかへ、一旦、導きたかった。
徒然に書き始めたら、ジャングルのように自身も「まだまだ未知で未開なんだ」というところに行き着いた。
だから、私は再生する。
自分の知らない自分がまだいる、まだ変容できる。
それを思い出すために、この香りが今日という日に巡ってきたわけだ。
Kenzo Jungle L'Elephant/kenzo/1996
もう四月に入ったけれど、甘く重い香りもまだいい。
ジャングルを想起させるマンゴーなどの豊潤なフルーティノート、バニラやアンバーなどの甘く重いスイートオリエンタル、ミドルを担うフローラルもガーデニア、ヘリオトロープ、イランラインとスイートに咲く。
それでも、満腹感とは程遠く、いつまでも香りを味わいたいと思わせる結果は、ケンゾーというクリエイターのデリケートさのように思える。
いつも、大胆でも、重厚でも、ケンゾーの香りはどこかデリケートなのだ。
それは、アンリ・ルソーの描いたジャングルのように幻想的であり、誠実さを感じる香り。このエレファントの方は「夢」と題されたジャングルの世界観だ。自身の未知に対して、誠実でいたい。
香り、思い、呼吸
4月2日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。