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アムール 6月3日〜365日の香水

ジューンブライド
ジューンブライド(June bride)の風習は古代ローマまで遡る。
愛、家庭、出産などの女神ユーノー(JUNO)に捧げる月が六月であった。
そこから、女神に敬意を表して六月に結婚するということになっていったらしい。
戦の神がいれば、家庭の平和のための神もいる。日本には縁結びの神様がある様に、いろいろな形で各地に存在しているのだろう。

amour
ちょっと不思議だったのはジューンブライドの流れで「愛〜amour」についても語源を調べたけれど、このラテン語は最初から愛という言葉だった。
牛とか食べるとか交換するとか生きるために必要な事象に言葉がついて、時の流れとともに意味を変えたり意味をズラした新語ができたりしてくるものと思っているから、「愛」が古くから存在していたというのがちょっと意外だった。

愛するということ
エイリッヒ・フロムの「愛するということ」では、愛を前提に結婚するのは近代になってからで、それ以前は政治経済上の理由で結婚して、結婚後に愛を育んでいたと書かれていたと記憶している。
つまり愛はトレーニングして(愛することが)“できるようになる”ものであると。

愛のある結婚

だから、愛〜amourという言葉はもっと別の何かから生まれた言葉のような気がしていて、意外だったのだ。
ナルキッソスの自己愛の概念があることからも、愛は昔から人類に存在していても、結婚とは結びつかないものだった、ということなのかもしれない。
もちろんどんなことにも例外はあるだろう。

un amour de patou/jean patou/1998
これは一時期よく長期の旅に携帯していた。理由は単純にピンクの蕾のようなハートのようなボトルがスーツケースにころんと入っている様子が可愛いと思ったから。パッキングの最後に、これを入れた。そういう意味では私と一緒にいろいろな国を巡った香水と言える。
何度もでてくるけれど、フルーティフローラルの大隆盛期だった1990年代から2000年代。香水の「kawaii」時代と私は呼んでいる。そのど真ん中に登場したジャンパトゥのアムール。

高級、大人路線のジャンパトゥらしからぬキュートで愛らしい作品。よくよく眺めるとボトルの花のようなハートのようなラインは可愛いというより優美で、そこはこのブランドらしい。
香りは、過度にフルーティにならず、ミュゲ、ローズ、ジャスミンなどが主体。若干、ベースノートのウッディが早めに立ってくるので、この領域では、シックで落ち着いた香調。

ボトルのピンクに惑わされるけれど、香りから想起するカラーは、もう少しブルーがかった色合いの方がしっくりくる。

香り、思い、呼吸

6月3日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。


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