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ラリックの真珠 6月2日〜365日の香水

世界史の中の真珠、オールスター
酢にそれを入れて飲んだクレオパトラ、カトリーヌ・ド・メディチがメアリー・スチュアートに贈り、後にエリザベス1世のものになったという首飾り、フェルメールが描いた少女の耳に揺れる耳飾り、自分では本物を身につけ顧客向けにはイミテーションパを流行らせたココ・シャネル・・・真珠にまつわるエピソードは古代から現代までたくさんあり、まさにオールスター。
日本人イノベーターによる養殖が始まるまで、特に17世紀18世紀においては、ダイヤやエメラルドなど以上の高値で、真珠は取り引きされていたという。

ラリックの真珠、ニッポン
ラリックの1930年代のシリーズにニッポンNipponというものがあり、庭園美術館のコレクションとしても好みシリーズの燭台をよく見る。アンティークマーケットでニッポンのワイングラスを見かけることも。いつも迷うけれど、今のとこを手を出さずにいる。
このニッポンのシリーズは真珠がモチーフになっている。
養殖に成功して以降、真珠はニッポンの代名詞になったのだ。

マリリン・モンローの真珠、ギンザ
マリリン・モンローが新婚旅行で日本を訪れた時も真珠のネックレスを買い求めた。周囲の人が有名なブランドを勧めたけれど、マリリンは、当時女性が一人で開業したばかりの銀座の真珠店を選んでいる。
「頑張っている女性から買いたいの」という理由だったそうだ。

perles de lalique/lalique/2006
パールの名を冠した香水は意外とある。
ラリックのパールは、私が真珠店で香りのイベントをした際、来場者へ紹介するためにコレクションに加えた。
真珠がボトルを縁取るようなデザイン。
あのニッポンシリーズを想起させる。
香りは、実は画期的。
タイプはフローラルシプレーだけれど、20世紀からのシプレーの伝統的な香調から脱皮し、少しソープ様の香気、既存より軽やかなシプレー。
このラリックのパール以降、21世紀のシプレーといえばだいたいこの香調と言っていい。
ローズを引き立てるシプレー、バイオレットやパチュリ、程よいパウダリー感と人肌の感覚を併せ持つ。
調香師は実は昨日に同じくナタリー・ローソンである。

ナタリー・ローソンの真珠
エスティ・ローダーでの画期的で歴史的なワークが多いソフィア・グロスマンとの師弟関係を私は感じる。
共通して「いい」と思った香りは20世紀ならソフィア・グロスマン、現代ならナタリー・ローソンなのである。
真珠を香りで表現するのに、ホワイトフローラルに寄せず、新しいスタイルのフローラルシプレーにしたことがなんとも彼女らしい。
オーセンティックより女性のエンパワメントを選択したマリリンにこの香りを届けたくなった。

香り、思い、呼吸。
6月2日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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