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類まれなる体臭と悲しみの竜脳

挙体異香~類まれな魅力的な体臭
「天然」といえば私にとっては楊貴妃という話を昨日書いたので、楊貴妃について続きを。
貴妃の入ったお風呂の湯が真っ赤になったとか、墓石からも芳香が漂うとか多くの逸話を持つ彼女は胡族の人と言われています。中東の民族の血がかなり入って面立ちもエキゾチックであったと想像されます。さらに彼女は腋臭であったという説もありますが、独特の体臭、それがとても魅力的なものであったという記述は散見されます。
挙体異香。中から香る独特の体臭の持ち主、そういわれていました。
勝手な想像ですけれど、アンバーのような動物性の香りにシナモンやクローブのようなスパイシーな香りが合いまったような、肉感的でありつつ乾いた感じの甘さ、そんな想像です。

竜脳と楊貴妃
さて、唐代における高価な香料の一つに竜脳があります。聖書に出てくる乳香や没薬と同様で樹脂の一種です。いわゆる樟脳の最上級のもので、すっきりした涼やかなほんのりと甘い上品な香りのその竜脳を、ある時、玄宗は楊貴妃に贈ります。
彼女は竜脳の匂い袋を生涯、肌身離さず持っていたようです。
安禄山の変の最中に非業の死を遂げた楊貴妃ですが、反乱を平定した皇帝が都に戻り、ひそかに楊貴妃の亡骸を都に運び入れさせたという話があります。その亡骸にはあの竜脳の匂い袋がともにあり、それを見た玄宗がさめざめと泣いた、という記録があるそうです。

命とともに失せたのか、それとも香りだけは残ったのか
この本の中で、著者は、全てが過去になったように竜脳の匂いもすっかり消えていたから泣いたのか、愛する楊貴妃はこの世に既にいないのに香りだけは残っているから泣いたのか、詮索するのは野暮だと言っています。
(なるほど!)

「香りは記憶と結びつきますね」ということを、よくワークショップに参加される方々がおっしゃいます。
姿かたちを持たない香りだからこそ、過ぎた日を鮮やかに蘇らせてくれるのかもしれません。

愛する人を思って、泣いちゃう英雄って素敵だと思います。

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