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さそう伝説 1月22日~365日の香水

シルクロード
シルクロードの画家というと平山郁夫がすぐに浮かぶ。芸大生の時にカッパドキアの調査隊に参加したのが始まりらしく、画家とシルクロードの関係は長く続く。隊商ではないけれど、大人数でチームを組んで歴史遺産や貴重な光景を作品に残したらしい。いくつかは美術館で目にした。
その言葉はよくよく知っていても、いざそれはどんなものだったかと聞かれると、意外と堪えられることが少ない。

パミール高原
「東の香りの文化はシルクロード、パミール高原で発祥した」という一文を古書店で入手した文庫の中にみつけた。
パミールはかなりの高地で今の中国、アフガン、タジキスタンにまたがっている。この地域の行き来のルートで高地では空気が薄くなり、犬ぞりの犬の血圧を上げるために、額のあたりに刃を立てたというような極限の描写も何かで読んだ。どうしてここが、東洋の香り文化の発祥の地なのか未だにわからないし、そういう話は聞かない。
ただ、タジキスタンのあたりでは、今も乳香を飲み物に入れて飲む習慣があるようだ。(こちらは海のシルクロード経由でもたらされたよう)

砂漠
沙そう花というのはシルクロード聖域の砂漠地帯に春に咲く黄色い花のようだ。清朝の香妃という人に因むものらしい。
香りが花とも果実ともつかない妙味があるものらしい。
今は、いろいろな日用品にもその芳香が用いられていることもあるよう。
資生堂では、この伝説の花の香りを香水につかうためにシルクロードに調査隊を派遣したという。
シルクロードと一口に言ってもその世界は本当に多様なのだった。
知らないことが多すぎることを改めて思う。

MYTH OF SASO/SHISEIDO/1987
この香りができたのは、「未知」の魅力からだと思う。たとえばYSLのparisには世界中の誰もが思い描くパリの投影がある。同じように少し前に紹介したアンナパブロワにしても、瀕死の白鳥を舞うイメージが。
多くの人が描きやすいものを表現する香りと、多くの人にとっての道を香りで具体化する表現とがあるとしたら、資生堂のSASOはまさに後者なのだろう。調査団を派遣しなければ、実体のわからなかった砂漠に咲く花。
この香りのファンは多いけれど、残念ながら市場から姿を消した。
勝手な想像ではなく、未知に対して探検をし、具体化して、そして伝説として香りにした。
なんとも壮大なクリエイションで、シルクロードのスケールに相応しい。

香り、思い、呼吸

1月22日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。


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