見出し画像

シングルで生きる妙な工夫

どういう観点で人を見ていけば、好きな人ができるんだろう。

男女問わず、親切な人に出会えば心から感謝するし、この人に恩返ししたいという気持ちになる。

優しい人に出会えば幸せな気持ちにもなるし、
成熟した人を知れば憧れる。

ただ恋愛感情は全く別物なのだろう。
私には明確な恋愛感情を抱いた経験がない。

あの人イケメンだな、と感じて、もっと話したいと思ってことは、学生時代にはあった。
あの人が私のことをよく知ってくれていて嬉しかった、ということもあるし、
気になる男子と二人きりになると、ちょっと意識したような記憶もある。

でもそれ以上の感情になった経験がない。

私の基準が、恋愛とは無関係なところで下されるせいもあるかもしれない。

動物的本能がすぐれていて、勘がいい人に憧れたこともあった。

知らない言語でもだいたいの意思疎通ができたり、なぜか予感がよく当たるような人。
先を見通す力を持っている人。
細かい話は理解できていないのに、最終的にはうまく帳尻合わせができてしまうような人。

そういう人に私はなりたい、と願った日もあった。
 
20年ほど前、私はよくライブに通っていた。
あるバンドの追っかけをしていて、東名阪はもちろんのこと、青森や盛岡にも行ったし、広島や福岡にも行った。

移動はほぼ高速バス。
ライブが終わった後、夜中に出発する高速バスに乗って、早朝に東京着なので、とても便利。
 
カプセルホテルにも何度か泊まった。
カプセルホテルの中はけっこう居心地よかったけど、カプセルホテルにたどり着くまでが怖くて、
私は、私とつり合いの取れる男性の近くを歩く術を学んだ。
 
自分を客観的に判断するのは難しいけれど、私はまあ、見た目は中の上かなと思っているから、
そのぐらいの男性を物色して、勝手に至近距離に位置し、歩調を合わせて歩く。

新宿のような人混みであれば、その男性が私の連れ”風”になっていることに、本人は気づかない。
ライブハウスからカプセルホテル近辺までの臨時彼氏。

それでも十分に護衛の役目を果してくれるらしく、その作戦を使ってから、変な男に付きまとわれたことはない。
 
一人で歩いていると必ずと言っていいほど、嫌な目に合う。

夜中に女が一人でいるんだから何されても仕方ない、と諦めていたけれど、ビジネスホテルのロビーにある女性トイレに逃げたら、女性トイレまで男が入ってきて、非常ボタンを押したこともある。

付きまとわれてしまうと、110番をしても一瞬で警察が来るわけがないのだから、どうしようもない。

そういう点では彼氏がいると安心なのかもしれない、と思うと同時に、
彼氏のことだってどこまで信用していいかわからないじゃん、とも思う。

酔ったら性格が変わる人もいるし、悪気はなくても何かの弾みでこちらが被害にあう恐れもある。 

私は最近かなり仕事をしている。

稼ぎが増えれば増えるほど、親しくなった男が私のお金に目をつけるかもしれない、とか、
男を養うようなことは絶対に嫌、というようなケチな気持ちも強くなってくる。

根本的に私には協調性がないのだろう。
だから私には本当に、今の生き方が合っている。

私は自分で、私の生き方を創れたし、これからも工夫して生きていけると思う。

道を歩く時には、自衛力。
おしゃれするときは、自己満。
料理するときは、自作自演。

そこに切ない響きを感じる人もいるのだろうけど、
私には一番合っているスタイルだ。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?