スクリーンショット_2019-06-21_9

飲食店が知っておきたい「グルメサイトの歴史」


※2015年11月02日に書いた記事のリバイスです。元記事が非公開になりましたのでこちらに移設しました


私は1999年から2014年まで15年ほど、某グルメサイトの会社で中の人として、営業またはサイト運営に関わっておりました。

1996年にグルメサイトが誕生して以降、さまざまなグルメサイトが現れては、去って行きました。それはグルメサイトの歴史であるとともに外食産業の歴史の一部と言えます。ただ残念なことに、その歴史をまとめた資料が今までありませんでした。何ごとも歴史に学ぶことは未来の道標にもなります。

そこで今回、グルメサイトの歴史を知る証人の端くれとして、あくまで私見ではございますが、僭越ながらグルメサイトの歴史をまとめさせていただきました。改めて大きな流れをみることで、今後のグルメサイトの行方を考えてみたいと思います。(もし事実と異なる部分があるという場合は訂正させていただきますのでご連絡ください)

グルメサイトのトレンドは5年周期で変わる

振り返ってみると、グルメサイトの歴史は大体5年周期で、トレンドが変わっていることがわかりました。

 1)グルメサイト黎明期(1996~)
 2)グルメサイト戦国時代(2000~)
 3)次世代グルメサイトの登場(2005~)
 4)新旧世代交代(2010~)
 5)? (2015~)

 ひとつひとつご紹介していきます。(下記につづく)


1)グルメサイト黎明期 1996~

グルメサイトの歴史は1996年に鉄道系広告会社の株式会社NKBが一事業としてはじめた「ぐるなび」から始まります。(現在は株式会社ぐるなびに分社化)

当時はインターネット自体の普及がはじまったばかり。ネット接続はダイヤル回線でいちいち「ピーヒャラララ~」となって、接続時間によって従量課金されていた時代でした。

私も某社に入社した当時はフロアにネット接続できるパソコンは数台しかなく、今だから言えますが、お店さまからの電話で「うちの店のページ見られる?」と聞かれてすぐ対応できるよう、あらかじめ紙にすべて印刷しておいて、電話口で「ページ立ち上げますね」といってから、実際は紙を探していたりしていました(笑)。

当然、当時は自店のホームページを持っている飲食店はかなり珍しく、ぐるなびは"自店のホームページ代わり"として普及していきました。それゆえ、ぐるなびは現在もお店からのメッセージ、PRをダイレクトに表現する場になっています。ちなみに当時の掲載料は月額3千円でした。

また同時期にクチコミ型グルメサイトの元祖と言われる「askU東京レストランガイド」がスタートしています。こちらはレビュアーと呼ばれるユーザーがお店のクチコミを書いて作られていくグルメサイトでした。

ただ、サクラや荒らし、競合店の嫌がらせの書き込みなどで荒れやすく広告収入が得にくかったため、多くのユーザーを抱える人気サイトながらもこの先、収益化に永遠苦しむことになるのです。さらにポータルサイトの王者Yahoo上でも電話帳に近い形ではありますが 「Yahooグルメ」というグルメサイトができたのもこの時代でした。


そして1999年の「@グルメぴあ」の参入を皮切りに、出版社、地図会社、ポータルサイトなど、あらゆるグルメコンテンツをもつ会社が参入する戦国時代に突入していくのでした。

▼この頃登場した主なグルメサイト

*ぐるなび(1996~)
*askU.com 東京レストランガイド(1996~2012)※終了
*@グルメぴあ(1999~2014)※現「美味案内」
*Yahooグルメ(不明〜2011)※現「Yahooロコ」


参考

2)グルメサイト戦国時代 2000~

ぐるなびの成功を受けて、ぐるなびをモデルにエリアやジャンル、目的などで検索できるサイトを構築し、掲載料金をお店からもらうスタイルのグルメサイト(以下、便宜上"ガイド型"と呼びます)が続々と登場しました。

この時代に参入したのは当時人気の情報誌「東京ウォーカー」展開していた「グルメWalker」、また有線放送による飲食店販路を活かして参入した USENの「ぐるめピタ」、人気フリーペーパーから派生したリクルートの「hotpepper pockets」 ※1などでした。

お店もどんどん複数のグルメサイトへ掲載をすることが普通の時代でした。

この時代の特徴は大きく3つ。


①メディアミックス
情報誌やケータイサイト(iモードetc)なども複数のメディアで掲載する

 
②ポータルサイトへの配信数勝負
Yahoo、nifty、excite、Lycos、Biglobeなどのポータルサイト運営のグルメサイトへ、より多く情報配信することで露出を競い合った   


③お店管理画面の普及
情報更新をグルメサイト会社が行うのではなく、お店側が管理画面を通じて情報更新するスタイル

先にお伝えしたように複数のグルメサイトに掲載させるようになってお店が悩んだのは、メニューなどの情報更新。印刷物とは異なり、ネット上の情報は最新でないとユーザーのクレーム対象になってしまいます。そこでぐるなびはいち早く、「加盟店管理画面(2001〜)」※2を開発し、飲食店に掲載情報管理を開放することで、常に最新情報が載っている、情報量が多いなどの優位性を獲得します。さらにぐるなびは、通常掲載より露出を高めるオプションの特集掲載を年間パックで販売する販促パックの販売強化を図り「販促正会員制度(2003〜)」 ※3を開始することで圧倒的な地位を確立していきます。

▼この頃登場した主なグルメサイト

*グルメWalker(2000~2013)※終了
*ぐるめピタ(2000~2006)※現「ヒトサラ」
*幹事さんいらっしゃい(2000~2006)※グルメコンシエルジュに変更後、終了
*東京グルメ(2000~2012) ※livedoorグルメ、ロケタッチグルメに変更後、終了
*hotpepper pockets(2003~)※現「ホットペッパーグルメ」(2010~)
*楽天ダイニング(2003~)
*各ポータルサイトのグルメサイト

※1 フリーペーパーのホットペッパーは前進の「サンロクマル」をリニューアルして、2001年に創刊された。デジタル版は「hotpepeppe pockets」の後、「Hotpepper.jp」 「FooMoo」と何度かブランドチェンジしている

※2 ぐるなび管理画面は月額プラス1500円で利用できた。お店に情報管理を開放することで、飾り文字や背景画像など、運営元の想像を超えるページの作り込みをして成果をあげるお店が続々と現れた

※3 特集掲載料を含んだ月額5万円以上を正会員とし、5万円未満のお店をビギナー会員とする制度。ビギナーはPV制限などがある。正会員制への移行が、ぐるなびの収益を一気に向上させ、黒字化、上場に貢献した。現在もぐるなびの収益のメインのひとつ。

参考 

3)次世代グルメサイトの登場 2005~

戦国時代を経て、「加盟店管理画面」「販促正会員制度」によって圧倒的な存在になった「ぐるなび」、2005年から本格的にWEBシフトして力をつけた「Hotpper.jp」の2強になっていく中、この二つのサイトのタイプとは逆張りすることで人気を得る次世代グルメサイトが現れました。


そのひとつが、満を持して登場する現在最も多くのユーザーを抱えるグルメサイト 「食べログ」です。「askU」「東京グルメ」など先行するクチコミ型の弱点であった収益化にはじめて成功したグルメサイトが「食べログ」でした。

大きなポイントは親サイトの価格.comで培ったノウハウでガイドラインに沿った巧みなクチコミの統制し、誹謗中傷やヤラセを抑えつつ、ユーザーの自由度を担保したことです。主流であったガイド型と大きく差別化しながらも、かつ健全性も保たれているクチコミサイトとして、ユーザーから絶大な支持を得ていくのです。


またクチコミ型はユーザーが勝手にどんどん掲載してしまう方式なので、ガイド型のように店舗からは掲載料がとれません。そのあたりも「食べログ」は絶妙な課金方法 ※4でクリアします。結果、圧倒的なトラフィックを元にユーザー、お店両方から有料会員を獲得するなどによって、収益を伸ばしていくのです。

一方、全国50万店ともいわれる飲食店(パブ、スナックなどは除く)を全網羅するのではなく、敢えてターゲットを絞ったお店のみに掲載を限定し、掲載料ではなく"予約による送客手数料"をもらうスタイル(予約特化型)のグルメサイトが現れました。

それが若い女性をターゲットとする 「オズモール レストラン予約」と、ビジネスマンをターゲットにし、ホテルサイトから派生した「一休レストラン」です。また海外からの黒船として、その分野のパイオニアともいうべき「Open table」が上陸したのもこの時代です。

またこの頃、「ぐるなびポイント」「ポイコ」をはじめとするポイントサービスなどの周辺サービスを各社がはじめました。掲載料金の高騰や、情報管理の労力がかかるなどの理由から、飲食店側もさまざまなメディアに掲載するのではなく、より集客効果のあるグルメサイトに掲載を集中する流れができていきました。

 ▼この頃登場した主なグルメサイト

 *食べログ(2005~)
 *OpenTable(2005~)
 *オズモール レストラン予約(2005~)
 *Hotpepper.jp(2005~2009)※FooMooに変更
 *一休レストラン(2006~)
 *グルメGyao(2006~2012)※現ヒトサラ
 *サンゼロミニッツ(2008~)※2015年11月4日追記
 *FooMoo(2009~2010)※Hotpepperグルメに変更


※4 掲載自体にはお金はかからないが、「掲載情報のリッチ化」「サイト内の露出度アップ」「お店が選んだクチコミの上位表示」など無料掲載店と差別化できる機能によって課金した。当初は月額5千円だったが、幾度かの機能追加、プラン変更などを経て現在は月額1〜10万円の幅広いプランがある

参考 

食べログの中の人に会ってきました 価格.com研究ビジネスモデル編|食べログ・ぐるなび比較|

4)新旧世代交代 2010年~


相次ぐ老舗グルメサイトの終了、ブランドチェンジ

複数サイト掲載から集中掲載の流れになったことで、特長の少ない網羅型のサイトが変化を余儀なくされ、10年を超えるサイトが次々に、終了やブランドチェンジしたのがこの時代です。元祖クチコミサイトの「askU」や「東京グルメ」を起源とする「ロケタッチグルメ」、「グルメWalker」が終了し、「Yahooグルメ」「グルメGyao(旧ぐるめピタ)」 「グルメぴあ」 は 「Yahoo!ロコ」「ヒトサラ」「美味案内」として、それぞれ新機軸を打ち出したサイトに生まれ変わりました。

またこの頃あった2010年のフラッシュマーケブーム※5や2011年の東日本震災の影響で、新規客獲得の偏重から、もっと常連顧客を大切にしなくてはいけない意識の高まりができ、今日のキュレーション型サービスや台帳サービスへつながっていきます。またユーザーが投稿する食べログ掲載情報の真偽の確認や、足りない情報の補充を目的に、お店のオフィシャルページを確認するユーザーが増え、公式情報を扱うオウンドメディアページの重要性が高まりました。さらにtwitter、FacebookなどのSNSの急速な普及により、SNSを通じての来店も増えたのはこの頃からです。

  「スマホ」「キュレーション」「予約」をキーワードに第3世代のサービスが登場

 スマホの普及により「ミイル」「TERIYAKI」などのスマホアプリからスタートするグルメサイトも現れました。また「Retty」「TERIYAKI」は増えすぎた飲食店情報をナビゲートするために、"検索"ではなく知っている人や食通の人を通じてのキュレーションしようというのも特長です。

そして、もうひとつのキーワードが「予約」。いままでは、ホテルのオンライン予約などと異なり、予約フォーム送信して店舗から折り返し確認電話がきてはじめて成立するという「リクエスト型予約」が飲食店予約の主流でしたが、急速に「即予約型(オンラインですべて完結させる予約)」が増えています。

この流れにぐるなび、ホットペッパーなどの老舗が続々対応させているのはもちろん、食べログが「cena(チェーナ)」として専用サイト化(2014年に食べログに統合)してみたり、Yahooが飲食店の即予約に特化させた「Yahoo予約 飲食店」としてサイトリリースしています

▼この頃登場した主なグルメサイト

*Retty(2010~)
*ぐるリザ(2010〜)
*Hotpepperグルメ(2010~)※旧FooMoo
*Yahoo!ロコ(2011~)
*ミイル(2011~)
*ヒトサラ(2012 ~ )※旧グルメGyao
*ロケタッチグルメ(~2012)※旧livedoorグルメ
*ポケットコンシェルジュ(2013〜)
*TERIYAKI(2013~)
*Yahoo予約飲食店 ( 2013~)
*グルメWalker(~2013) ※終了
*cena(2013~2014) ※食べログに統合
*yelp日本版(2014~)
*美味案内(2014~)※旧グルメぴあ


※5 フラッシュマーケティングと呼ばれる共同購入型のクーポン販売サイト。「piku」「groupon」「ポンパレ」などピーク時には10以上のサイトが乱立した。

参考


5)これからのグルメサイトはどうなる?予想

 いかがだったでしょうか。このような歴史の流れを見ていくと今後の流れがなんとなく見えていきます。最近はこんな記事( ぐるなびや食べログはもう古い!?女子大生は「Instagram」(インスタグラム)で 飲食店を探し、雑誌感覚で画像も検索する! )が話題になったように、

すでに新たな動きが出てきてはいますが、長く飲食店に携わる株式会社カゲンの子安氏の言葉を借りれば『大切なのは流行のような"さざ波"ではなく、もっと大きな視点で"潮の流れ"をみること』です。そこで最後に僭越ながら、そのあたりを踏まえつつ、グルメサイトの今後を予想してみたいと思います。

 *即予約型ネット予約競争の激化
 *さらなるオウンドメディア、SNS活用の重要性の高まり
 *管理労力軽減による複数メディア掲載戦略の復活
 *ユーザーと店舗のマッチングの向上
 *サービス連携増加やデバイスの進化によるサービスのシームレス化


 中でも注目は「即予約型ネット予約競争の激化」です。最近ではLINEも「LINEグルメ予約」として参入を果たしています。なぜグルメサイト各社は即予約を推進するのでしょうか。

それはグルメサイトの「集客効果基準の変化」によるものです。集客効果基準はお店から収益を得るには大切な指標です。当初、グルメサイトの効果指標といえば「ページビュー数」や「クーポン回収枚数」が主でした。

ただ、PVあっても来店がなければあまり意味がないという考えが広まったり、クーポン枚数を効果指標とすると、特典目当てのお客しか測定できないことや、お店側でアナログ集計するしかないというその正確性が大きな課題でした。

そこで、近年は「050ではじまる転送電話コール数の測定 ※6」、とともに、大きく数値を伸ばせる可能性があり、さらにグルメサイト側できちんと効果数値を把握できる「ネット予約」に改めて注力することとなったのです。

※6 お店ページに専用番号を掲載し、お店の電話番号へ転送するサービス。コール数の把握や、接続時に「◯◯(メディア名)からの入電です」という音声ガイダンスを流すことで、お店に効果を実感していただける効果もあり、各社こぞって導入した。ちなみにこの機能の普及までは電話番号横に「◯◯(メディア名)を見たというと予約がスムーズです」などユーザー自身に言ってもらえるように促していた。

こうしてホテルや医療、理美容業界に遅れながらも、ようやく飲食店にも「即予約型のネット予約」が普及しつつありますが、実情は、いまだ多くの飲食店が「即予約」のために裏側では空席管理を"人力"で行っている状態です。

また、より気軽に予約できることによって、気軽に"無断キャンセル"を行うユーザーも増え、抜本的な対策が必要になってきています。持論ではありますが、これらの課題に対する根本的な解決には「各グルメサイトと台帳サービスとの連携」が進む以外にないと考えています。

グルメサイト側から空席管理ツールを提供する形では「競合関係にあるサイトととの公式連携が難しい」「飲食店の販促メディアの選択の自由が損なわれる」など、 どうしても飲食店の現場に労力負担をかける空席管理になってしまうことに限界を感じました。

それこそが、私がグルメサイト側から前職の台帳サービスに転職した理由のひとつなのです。

各グルメサイトとオープンな形で台帳連携することで、「飲食店」はメディア選択の自由が担保され、空席管理労力や望まない予約から解放されます。

また「ユーザー」は予約のとれなかった人気店に24時間365日予約ができる利便性を得て、その利便性ゆえに「グルメサイト」は利用者が増え、集客効果も数値化できるという、皆それぞれがハッピーになる飲食店の「ネット予約」のカタチが実現できるかと思います。

 さて、未来予想の他のキーワードについても詳しく書きたかったのですが、スペース足りなくなってしまったので、またの機会にさせていただければと思います。長文駄文読んでいただきありがとうございました。



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

わー、カンゲキです!ありがとうございます😊
36
8人姉弟で育ちました。チチとして愛娘2人を溺愛。飲食関連のIT会社2社(グルメぴあ、トレタ)の立ち上げを経て、保育業界の改善を目指すベンチャー「コドモン」で3度目の挑戦中
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。