ネットビジネス進化論 何が「成功」をもたらすのか 読んでみて

■初めに

ネットビジネスと聞くと、副業や情報商材を浮かべますが主に情報を取り扱う商い全般を指します。
広告もそうですし、検索エンジンのプラットフォームなどなど
GAFAMを筆頭にインターネットを利用したビジネスは拡大の勢いを止める事はありません。
普段インターネット広告に関わってはいるものの、インターネットの仕組みや理解が追いついていないと考えました。
何事も点で見てしまうと、理解が点からの派生になってしまうため、
自分の所属する業界の更に大枠を理解したいと思いまして本書を選定しました。

■書籍紹介

■「入口」こそがインターネットビジネスで最強

Yahoo!は日本が誇る最大の検索エンジンです。
元々はインターネットという情報の海をまとめあげるポータルサイトに需要を見出し、
今の地位を築かれたという背景があります。
無数のインターネット上のリンクを、当時は人力でまとめ挙げたというのだから凄いはなしです。
このことは検索エンジン=Yahoo!という、一般ユーザーへの浸透に繋がりました。
この浸透を「純粋想起」と言います。

・香川県=うどん
・レシピサイト=クックパッド
・お店のクーポン=ホットペッパー
など

「○○と言えば○○」という状態を作り上げる事を純粋想起と言います。
ことインターネットビジネスにおいては、
純粋想起より下のサービスはその他大勢として扱われます。そのため、インターネットビジネスではこの純粋想起をさせる事が肝と考えられます。
しかし人海戦術をとっていたYahoo!を脅かす存在が今の検索エンジン市場を背締めるGoogleです。
Googleは機械を利用したクロール技術でYahoo!よりも効率良くリンクを集める事ができました。
加えて、アルゴリズムにより役に立つページから順に表記できるように動きを変えていったのです。
アルゴリズムの論理は学術論文に似ているとの事で有益な学術論文ほど引用されている事から、インターネット上にあるリンクが他所に貼り巡られていれば、役に立っているとみなすという具合で動いていた様です。

こうしてコンマ数秒で役に立つ検索結果の表示が日本でも評価され、Yahoo!を圧倒しました。
日本でも「ググる」というキーワードが流行語になり、検索エンジンの純粋想起を塗り替えたのです。

■入口の定義は2つ

インターネットの行動変容は主に2つに分ける事ができます。
目的型(検索)と非目的型(探索)です。
Googleは検索側の覇者となりましたが、日本でのネットニュースはYahoo!ニュースが主流です。
こちらは非目的型のワントップに位置するため、Yahoo!はポータルサイトとしての地位を確固たるものにしています。

またYouTubeに関しては面白く、以前は非目的型(面白い動画を探す)でしたが、
近年は目的型(ハウトゥーを知る)へシフトしました。
時代の流れとともに、プラットフォームの役割が変わっていく事もネットビジネスの1つの特徴でもあります。

■いち早くπを囲う

今となっては誰しもが利用する、した事があるメルカリというサービス。
最近ではメルペイというメルカリ内での売買金を決済できるサービスもスタートさせました。

メルカリの月間利用時間はなんと5時間と言われており、これはAmazonの5倍、そしてコミュニュケーションツールであるLINE並に頻繁に使われています。

ここでメルカリの競合になってくるのは、楽天のラクマではなく、女性誌です。
ライフスタイルを提供する雑誌は週一、月一のリリースが限度ですが、
メルカリは秒事に情報が刷新されていきます。

フリマアプリという立ち位置では、メルカリに叶うものは居ません。
創業時、資金調達の資金を手数料の無料化や広告費に投下、
更には投資家達の出資も募り続け
新興勢力が来た際には、既にメルカリへ出資しているから厳しいという状態を創り上げたのです。
ビジネス版の「兵糧攻め」ライバルが攻めたい時に資金を枯渇させる技法です。
この様な参入障壁を立てられては、手も足も出ないでしょう。

かつてはフリマアプリに近い役割は、ヤフオクでした。
しかし、インターネットがパソコンでなく、スマートフォンでやり取りされるようになると
「高く売る」⇒「早く売る」に需要が転換されました。
早く売る需要のプラットフォームに、メルカリは参入障壁を立てたと言えます。

デバイスの変更がそのまま市場を動かしたという1つの事例になります。

■カスタマー・オブセッション

Amazonは今では誰しもが利用するECサイトですが、始まりは書籍でした。
書籍から扱い始めたのは知っている人も多いかも知れませんが、
そこに「?」と思う人は少ないでしょう。

本に関して言うと、サイズが均一化されておりかさばらない点や
商品の表紙さえあれば「売れる」事で目を向けられたのです。
通常在庫を抱えてしまうと、売れるまでは赤字ですが、
Amazon上でバーチャルで売れた後に仕入れて配送すればリスクが減らせるからです。
そしてAmazonはこの仕組みを利用し売上を伸ばし続け、加えて配送の磐石化を狙いどんどん物流に投資を続けたのです。

オブセッションは強迫や観念を意味します。

全ては顧客の為、、という創業者であるジェフ・ペレスの想いがあってこそでした。

ペレスは顧客に最高の体験を与えれば勝手に売上が上がるという考えの元、
当時では画期的なレビューやランキング機能をAmazonへ導入しました。

書籍が売れるのは良いが、
「何の本を買えば良いのか」と迷っている人への道標となりました。

一方で書店からは「なぜ、うちの書籍を販売させてやってるのに、ケチを付けられる」と難癖を言われる事もしばしばあった様です。

酸いも甘いも、商品に対してプラス・マイナス関わらずに正当な評価を下す=信頼性を掴みにかかった事で、今日のAmazon帝国を築きあげる事に成功したのです。

顧客体験=CRMのお話になってきますが、直近ここに注目していたのは売上が上がるかの部分ばかりでした。

ユーザーがサービスの利用や商品の購入をするにあたってどういった顧客体験が心地よいのか?本来の意味に立ち返って考える事も1つだと思いました。

■迷わせる事の勇気

効率を意識した上で、Amazonの右に出るものはいないでしょう。

しかし、Amazonと相対する楽天市場も負けず劣らずの地位を確立しています。

楽天市場は商品事に縦長のページが用意されており、下手をすれば普段製作しているランディングページに近いものが並んでいます。

これは各ショップが、商品出店の際に自由に想いを書けた方が伝わるという楽天の意向で仕組みとなっています。

Amazonは最低限の情報ですが、楽天市場を見てみると、最低限どころか過剰に商品の特徴や使い方がずらりと並んでいます。

例えばプレゼントには何が良いのか…などと、時間を使っているユーザーに納得して選んで貰う為のものになっています。

余談ですが、人生で未だ楽天市場を使った事がないのは買う物がハッキリしているAmazonとは異なり、楽天市場はある種の選ぶエンタメを提供しているからだと思いました。

迷わせるという意味では、畑違いですが『ゼクシィ』が迷わせるマーケティングを使っています。

カップルの結婚前の思考としては、貯金額から逆算してそこそこ…と考えがちですが、
ゼクシィを読んでいくうちに、理想の結婚式を浮かび上がらせて予算を当初の5倍〜6倍に引き上げる事をしてやっています。

あの人も呼びたい
来賓の方に楽しんでもらいたい
じゃあ、どうしようという迷いを生じさせる事で、単価をアップさせているのです。

自分達が取り扱っている広告や媒体や商品、サービスがどんな役割で検索や購買、利用、興味をもたれるのか?
カスタマージャーニーマップからあらゆる面で俯瞰をしないと、
知らずのうちに機会損失を産む可能性があると
感じました。

■まとめ

ネットビジネスの発展や歴史を探ると、なぜ今のサービスがこの地位にいるのか?を紐解く事ができました。

そこには、顧客体験であったり、時代の変化にいち早く飛びついたり、参入障壁を高くしたりなどと
インターネットとは言えども、多くの企業がこれ迄に伸びてきた事を同様にやっていた事がわかりました。

なぜ、これらの行動が生まれるのかと言えば、日頃から思考しているからだと思います。

1つのビジネスの拡大へ、真髄に向き合える様に業界の知識や情報、常識など多角的に収集しないといけないなと感じました。

■具体的なTO DO

・業界の常識をしる
⇒他者のやっていないことやあれば有難いニーズを探る

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