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「ゴミを入れらたゴミが出てくるのよ」と言って妻は淹れたてのコーヒーを恨めしそうに眺めている。そうか彼女は猫舌だ。

私の妻は風水師だ。

風水師というと、「ファイナルファンタジーのジョブのようなものか」と聞かれることがあるが、それとは全然違う。「今年の方角はどっちなの?」と聞かれることもあるが、そういうのともちょっと違う。

では、風水師とは何なのか?

私のつたない理解によると、何やら風水とは、運を創ることができるもので、そのプロフェッショナルが風水師ということ。
間違ったことを言ってしまうとマズイとは思うのだが、そのうち私の理解が追いつきしだい、正しく訂正してゆきたいと思うのでお許し願いたい。

しかし、運が創れるのであれば、私も創りたい。
そして今、私はまさに「運を創るにはどうしたらいいのか」、と、妻に問うているところなのだ。

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私「運は情報だ、ってどういう意味?」

運を創るには運とは何なのかを考える必要がある。という話しを続けてきたのだが、現在までのところ、妻から出てきた回答は「運は情報だ」というところまでである。

妻「そうねぇ」

と言って、妻はキッチンに向かっていった。

彼女は、デロンギのコーヒーメーカーの蓋をあけ、キャニスター缶からコーヒーの粉を2杯入れた。豆は、近所のコーヒーショップで買ったもので、ペーパーフィルター用に挽いてもらっている。コーヒーメーカーはデロンギのkmixというものなのだが、これで2代目。1代目は、私が棚から落下させて壊してしまったのだ・・・。

妻「マザー・テレサの言葉があるんだけど、

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

 ってやつ」

私「あぁ。似たような物がスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』にも書いてあったね。あれはサミュエル・スマイルズの言葉で、確か

思いの種をまき、行動を刈り取り
行動の種をまいて習慣を刈り取る
習慣の種をまき、人格を刈り取り
人格の種をまいて人生を刈り取る

(※実際には、ここまでしっかりと一字一句間違えずに覚えているわけではなく、
  編集の際に、ググった物を掲載しています)

妻「そうそう。他にも似たような言葉がたくさんあると思うけど、
  結局ね、考えていることが人生の結果になるのよ」

いわんとしていることはわかる。しかし、これが風水の話とどう関係するのだろうか。

私「まぁ、そういう話もわかるけど、それがどう関係するの?」

キッチンからは、デロンギがコポコポとコーヒーを淹れている音が聞こえはじめてきた。そして、ほんのりとコーヒーの良いにおいも漂いはじめてきたころ、リビングにタイマーを片手に妻が戻ってきた。デロンギのkmixは良いのだが、コーヒーが淹れ終わったことをお知らせする機能がない。なので、念のためタイマーで時間をセットして忘れないようにしているのだ。

妻「何を考えるのか、ってところを、自分自身で管理できると良くない?」

私は、まあそうだね、と頷いた。

妻「たとえばコーヒーの良い匂いがすると、いい気分になったりしないかしら?」

確かにね、と私は小さくつぶやいた。

妻「いい気分のときって、良い考えができるのよね。逆に悪い気分のときって、悪い考えをしちゃいがち。だからなるべくいい気分でいられるようにしたいわけ」

タイマーがなり始めたため、妻はキッチンにコーヒーを取りに行った。
私も立ち上がり、食器棚から、カップを選び始めた。今日はどれにしようかと考えた末に、ウエッジウッドのコロンビアというカップ&ソーサーを2客取り出す。

リビングに戻ってきた妻は、カップにコーヒーを注ぐ。
そして、私はさっそくコーヒーを飲みはじめる。

妻「ゴミを入れらたゴミが出てくるのよ」

と言って妻は淹れたてのコーヒーを恨めしそうに眺めている。
そうか。彼女は風水師であるが、猫舌でもある。

いや、そんなことはいまはどうだっていい。
それよりも、私には妻が何を言っているのかさっぱり意味がわからない。


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