見出し画像

中医学の臓腑「脾と胃」②

みなさんこんにちは。今回は「脾と胃」の後半になります。
まだ前半パート読んでない方はこちらからどうぞ「脾と胃①

大前提として「腑」には共通の解釈と能力がありましたよね。

○「腑」は「袋」又は「管」である。
○機能は「伝導」と「消化」と「通降」である。

「腑」の中でも「胃」は伝導と消化の中心になります。
非常に重要な「腑」なので今回もじっくり説明してきます。

それではいってみましょう。

胃の機能

胃にはいくつかの機能があります。それが「受納」と「腐熟」、「通降を主る」です。

「受納」は文字だけで食べ物を受け入れる機能だなと想像できますよね。
もう一つ関わりがあるのが「食欲」です。
正常な「胃」の働きは『適切な量の食事を求め、「脾」に負担をかけすぎないようにコントロール』をしてくれています。

二つ目の機能である「腐熟」は簡単に言うと「消化」です。小腸や大腸で消化は進行していくので、あくまで消化の初歩段階を担うと思ってもらえると良いですね。

臨床にいると、こんな質問をもらうことがあります。
「ダイエットのためにいいツボとかってあるんですかぁ?」
みんな楽して痩せたいですよね。私もそうです。
この答え方はいろんな先生によって違うと思いますが、私は「急激に痩せるツボはないですが、異常な食欲を抑えることはできます」と答えます。

⭐︎異常な食欲は「胃に熱がこもっている」

胃の病変として「胃に熱がこもる」と言うのがあります。
胃が熱くなってしまうと「受納」と「腐熟」の機能が更新しすぎてしまって適切な量食べても、すぐにお腹がすいてしまう状態になります。
「受納」と「腐熟」の機能が更新しすぎてしまってるかどうかは「口臭」でも判断できます。
きちんと歯磨きなどをしていても「マスクをすると自分の口臭が気になる」という方は胃に熱がこもっているかもしれません。

胃熱にはもう一つ問題があります。
それは「便秘」です。
便秘は胃熱だけではないですが、「腑」にあるはずの「津液」が失われてしまっている状態で発生します。
胃熱によって「津液」が蒸発してしまうんですね。水分のないウンチはやはり出づらいですから、胃腸の中にこもってなかなかでようとしなくなってしまいます。
このような場合に、胃経のツボにお灸をするのは得策とは言えないでしょう。

さらに「腑」の共通機能である「通降」のコントロールをするというのも胃の機能になります。
水穀が「濁」(ウンチ)になって排泄されるまでのルートは
口→胃→小腸→大腸→ウンチ
です。

胃は「通降」の状態をコントロールすることで、小腸で「濁」の再チェックを行い、液体を「腎」、固形物を「大腸」に送ります。
胃の通降機能が阻害されてしまうと、このルートどうりに進まなくなります。

胃や腸で食べ物が止まれば腹部の張痛や便秘。逆流しようとすれば、嘔吐やゲップがでます。

逆流は主に胃の通降機能の地下で起こりましたます。
そのため、吐き気や胸焼けは「胃経」の治療ということになります。


臨床だと、歳をとってからたくさん食べると胸焼けする、脂っぽいものを食べると胸が気持ち悪いという相談があったります。

その場合は、食事内容やその人のパーソナリティのチェックもした上で、「胃」の治療をしてあげると良いでしょう。


水穀から「水穀の精微」を作り、それが後天の精になる。
この流れを行う上で、脾と胃は重要なポジションにあります。
そのため、脾と胃は「後天の本」と呼ばれます。

土タイプの五行色体表

タイトルなしt


五行  土  あらゆるものを変化させる    
五臓  脾  運化 昇清 統血 生血 を主る
五腑  胃  受納 腐熟 通降 のコントロール
五主  唇  唇が荒れる、又は血色が悪い
五華  毛  体毛が減る又は荒れる
五竅  口  口が乾く、苦くなる
五液  涎  粘り気のあるツバが少なくなる、又はネバネバしすぎる
五神  意  記憶や思考力を主る
五志  思  思い悩みすぎると土が弱る
五味  甘  甘いものを欲する
五色  黄  黄色を好む?
五労  久坐 長時間座りっぱなしが悪い

土タイプは上記のような特徴があります。五労  久坐 長時間座りっぱなしが悪い
五臓  脾  運化 昇清 統血 生血 を主る
五腑  胃  受納 腐熟 通降 のコントロール
五主  唇  唇が荒れる、又は血色が悪い
五華  毛  体毛が減る又は荒れる
五竅  口  口が乾く、苦くなる
五液  涎  粘り気のあるツバが少なくなる、又はネバネバしすぎる
五神  意  記憶や思考力を主る
五志  思  思い悩みすぎると土が弱る
五味  甘  甘いものを欲する
五色  黄  黄色を好む?
五労  久坐 長時間座りっぱなしが悪い

冬場でもないのに唇がめくれたり、暗い色になりがち
脇や陰部が該当するかなと思いますが、体毛が抜けやすかったり荒れている状態になる
よだれはある程度粘り気があって口の中を潤してくれていますが、その粘り気が少ない。
又は口の中が苦い感じがする(胃酸の逆流)
物覚えが悪くなったり勉強が捗らない
考えすぎてお腹が痛くなる
長いデスクワークで血流が悪くなる

このようなことがく傾向としてあると思います。

補足ですが五行論には
「五行相生説」「五行相克説」「五行相侮説」というのがあります。
この説明はまた別の機会にしましょう。
それとは別に「五行土王説」という言葉もあります。

「土」が「王」です。

図で言うと下のような感じです。


http://tzkblog.sblo.jp/article/112516292.html
参照

土がその他の4つの性質を助ける、生み出すということですね。
このように五行はお互いに助け合いながら存在しています。
中でも土は、相生、相克では隣り合わない「水」と「木」にも影響を与えます。
それだけ「土」は大切ということですね。
精や気の話だけを聞いてしまうと「腎」や「肝」が治療のターゲットになりやすいですが、「土」が弱っている人は臨床でたくさん出会します。
よかったら参考にしてみたくださいね。

次回は「金」タイプの「肺と大腸」について書いていきますので、よかったらそちらも参考にしてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?