見出し画像

中医学の臓腑「脾と胃」①

みなさん、こんにちは。この記事を書いているのは夏真っただ中。こんな日はついつい冷たい飲み物に手が伸びてしまいますね。
もちろん、水分補給は大事なのですが…身体の中が冷えてしまうと…ということで、臓腑のお話第三弾は「脾と胃」です。
五行で言うところの土タイプですね。

西洋医学では脾臓は、血液のろ過や、リンパ液、免疫能力に関わる場所です。
ほぼ左右対象にある臓腑中で、左にしか存在しないのも特徴の一つですね。
脾臓の機能が弱ると「赤血球のろ過ができない」「胆汁が作れない=食べ目ものの消化・吸収力の低下」「免疫能力が下がる」など様々な影響がありますが、中医学でも「脾」が傷つくと弊害がたくさんあります。
その機能から順に見ていきましょう。

①脾

タイトルなしt

                             作成:ACT
機能;運化・昇清・統血・生血
「脾」は機能が4つもあります。
ただそれぞれの機能はそんなに難しく無いので1つずつ順番に解説していこうと思います。

○運化;栄養を吸収し、作ったエネルギーを全身に配布する
中医学では食べ物のことを「水穀」と呼びます。


○昇清
「清」=清いもの、食べ物からえたエネルギー
食べ物は口から入ったら下降していきますよね。でも必要なエネルギーを抽出したら、そのエネルギーは上の方にも与えたいので「清」を「昇」らせて栄養します。
※「濁」=残りカス、は下降して排泄


○統血
血が漏れ出ないようにして、脈の中を押し進める能力

○生血
血を作る。


シンプルですよね。
食べ物から得たエネルギーを血に変えて全身に運搬する。出血しないように血をコントロールして、エネルギーを全身に配布する。特に心と肺にはエネルギーが行きやすいようにする。

このように、食べ物をエネルギーに変える力が「脾」の主な役目です。
この機能の為、「脾」は「気血生化の源」だ、といわれます。

脾が傷つくと・・・

食事の過剰摂取や悩みごと・ストレスなどが大きいとこの「脾」にダメージが発生します。なにかしらの影響で「脾」にダメージが入った時、どのような症状が出るでしょうか?

症状①「脾失健運」
運下機能が低下する為、「下痢」が起きます。
運下機能は食べ物からのエネルギーを全身に散布する役割でした。
その機能が止まれば食べ物の吸収はできないので、そのまま下に落ちていきます。
弱っている脾の機能は「腑」の機能だけで補うことはむずかしい為、下痢となってお尻から出ていくと言う仕組みです。
しかも食べ物からエネルギーが吸収されていないので「後天の精」が不足します。
「後天の精」が不足すると、「気」「血」を作ることができません。
すなわち「気虚」「血虚」も起きてきます。
わかりやすく言うと「体力低下」と「疲労蓄積」「貧血」がイメージしやすいと思います。
この状態のことを「脾失健運」といいます。

症状②「脾虚湿盛」

運下機能低下に2つ目の症状は「むくみ」です。
食べ物の中には「水分」も含まれますよね。
「水分」も重要な栄養素です。
「脾」が弱り「運下」機能が低下していくと、水分の代謝も下がっていきます。
「津液」と呼ばれる体内の水分は全身を循環し、体を潤すように機能していますが、この循環が滞れば体は浮腫み、不要な水が体に蓄積していきます。
不要な水のことを「湿」といいます。それが過剰に蓄積すると「痰」と呼ばれます。
口の中にたまる痰がからんでしまうと言う方は、「津液」の巡りが悪いと言うことになりますから「脾」経を治療してあげてください。
この状態を「脾虚湿盛」といいます。

症状③「脾不昇清」
「昇清」機能の低下で精神不振・めまい・食後の眠気があります。
「昇清」機能は食べ物から作った「水穀の精微」を昇らせるとうことでした。
送り先はメインが「心」や「肺」になりますが、「頭」や「顔面」を含む上の方になります。
通常「昇清」機能がうまく働いている場合、頭はスッキリと冴えているはずです。

しかし、「脾」が弱っている、又は「運下」に精一杯で「昇清」機能が働いていないとなると頭がぼんやりしてしまいます。
食後に頭が重くなり眠くなることはありませんか?
あれは「昇清」機能がうまく働いていない状態の症状です。

症状④「脾気下陥」
脱肛・胃下垂・子宮脱など内臓下垂も脾に病です。
「昇清」機能にはもう一つの側面があります。
それは内臓を安定させると言うことです。
脱肛・胃下垂・子宮脱は全て昇清機能が低下した結果、内臓を上に引き揚げることが出来ずに起こる症状です。

症状⑤「脾不統血」
血便・血尿・崩漏(女性の不正出血)は脾の統血機能の減退です。
「気」には固摂作用があります。漏れ出さずに抑える能力ですね。
「脾」に「気」が不足すれば当然「統血」作用は機能せず出血しやすい人になってしまいます。
鍼灸の臨床ではまれに、細い針にもかかわらずすぐ内出血や出血しやすい人という方に出会すことがあります。
そのような方は、「脾」が弱っている可能性大です。
個人差はあると思いますが筆者が臨床で出会う「脾不統血」の方は、下腹部がぽっこりしていて、甘党な方です。


ちょっと量が多くなってしまいましたので、ここで一旦休憩にします。
各自一旦ストレッチをしましょう、必要なら水分補給もしてください、脱水にならないように。

続きは「脾と胃②」で解説しますので、ぜひ見てみてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?