【声劇】ペルシウムの戦い(仮)(3人用)

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♂：♀＝2：1
約10分
上演の際は作者名とリンクの記載をお願いします。

【登場人物】
カシム：エジプトの兵士｡
ファリバー：ペルシアの兵士｡
ネコ：ネコ

【あらすじ】
かの有名なペルシウムの戦い｡その世界線の下には、もしかしたらこのような物語があったかもしれない。

【本編】

【両兵士、剣をふるい、戦う】

カシム：うおぉぉおっ！！

ファリバー：っ！

カシム：っ…貴様、どれほどの鍛錬を…

ファリバー：一日たりとも欠かしたことはない…っ、お前たちを倒す日を夢見て…っなぁっ！！

カシム：っ…！これでもくらえぇっ！！

ファリバー：っ！！なっ！？、剣が…っ

カシム：隙あり！…はぁあっ！！

ファリバー：…ふんっ！！

【ファリバー　盾を突き出す】

ネコ：にゃー

カシム：…

ファリバー：…どうした？早く来い

カシム：っ…おおおっ！

ファリバー：ふっ！

ネコ：にゃっ

カシム：ぐぬっ…うおおっ！

ファリバー：っ！！

ネコ：にゃっ！にゃー！

カシム：盾にネコくくりつけるのは反則じゃない！？！？！？

ファリバー：はぁ、はぁ…なぜだ、立派な戦略であろう！

カシム：男なら一対一で戦うんだよ！なんだよネコの盾って！聞いたことねえよ！！

ネコ：にゃーん

ファリバー：以前、エジプトの民から聞いたことがあるのだ。お前たちにとってネコは神と崇められる存在。ゆえにネコを盾にすれば、お前たちは攻撃ができないと！

カシム：そーなんだけど、間違ってないんだけど、お前らひどすぎない！？人が嫌がること進んでやるタイプ？

ネコ：にゃーお

カシム：ほら、ネコたんだってそんな目で見てるぞ？

ファリバー：だとしても、だとしても！僕たちはここで勝たなければならないんだ！

カシム：そんな熱意があるなら真っ向から来いよ！！ずるせんと！！

ネコ：にゃー！

ファリバー：もういい…剣が折れても、卑怯な手を使っても、僕はお前たちを倒す！

カシム：っ…どうやら、俺はネコを傷つけないようにお前を倒さんといかんようだな。…俺だけ難易度高すぎないか？

ファリバー：いくぞ…っ、おおお！

カシム：っ…っそこだ！

ファリバー：っ！！盾のひもがっ…

ネコ：にゃーっ(地面に降り立つ)

カシム：よぉーし、これでネコたんは自由の身！俺とお前の一騎打ちだ！

ファリバー：っ…貴様、卑怯だぞ！

カシム：おまいう！？！？！

ネコ：にゃー

カシム：さぁ、かかってこい、俺にはもう、いろんな意味で怖いもんはないんだよ！

ファリバー：っ…こうなればやるしかない…！

ネコ：にゃおーん

カシム：…っ(睨む)

ファリバー：っ…(睨む)

ネコ：にゃぁーん、にゃーん(少し大きな声で)

カシム：…

ファリバー：……

ネコ：にゃあーーん、にゃおーん、みゃー！(だいぶ大きな声で)

カシム：んだぁぁぁぁぁっ！！

ファリバー：な、なんだ！！？

カシム：わかんねーーのか！！その子腹へってんだよ！！

ファリバー：そ、そうなのか

カシム：穀物庫に行ってくる、お前もここで待ってろ！

ファリバー：お、おお…

【しばらくの間】

カシム：ほら、これ食べろ

ネコ：んにゃー

カシム：ほら、お前も

ファリバー：えっ…す、すまない

カシム：情けなんかじゃない、俺も腹がへっていただけだからな

ファリバー：…いただこう

ネコ：(もぐもぐ)

カシム：…

ファリバー：…

カシム：…俺はエジプトのカシム、お前は？

ファリバー：僕は、ペルシアのファリバー

カシム：まだ若そうだな

ファリバー：18になる。もう兵士としては長い。

カシム：…そうか

ネコ：(もぐもぐ)

カシム：なぁ、お前の国で大事にされてるもんはなんだ？信じられているものとか、神聖なもんとか。

ファリバー：火だ、僕たちは、火をとても大事にする。いつも感謝して生きろと、教えられてきた。

カシム：そうだな…火がないと食うにも苦労する。動物も追っ払えない。

ファリバー：…なぜそれを聞く？

カシム：いや、例えばな…お前たちが大切にしている火を、目の前で消されたら、お前たちはどう思う？

ファリバー：…とても、腹立たしくなる

カシム：だろう？…お前たちがやったことも、同じなんだよ。

ファリバー：…ネコ…

カシム：俺たちは神の頭をネコにすげかえるほど、ネコを大事にしているんだ。それを盾にくくりつけられちゃあ、いい気持ちはしないね。

ファリバー：…すまなかった

カシム：…まぁ、お前だけが悪いんじゃない。ただ、今度会うときは、正々堂々、勝負したいものだがね。

ファリバー：…ふっ、そうだな。礼を言う。

ネコ：にゃーお

カシム：おお、いい食いっぷりだ。お前も大変だったな。今日はご主人と一緒に帰りな。

ファリバー：…いいえ、その子、あなたに差し上げます。

カシム：え、どうしてだ？

ファリバー：ネコを戦略に使う国よりも、愛してくれる国にいたほうが、その子も幸せでしょう。

カシム：…ファリバー、お前

ファリバー：それに、僕はイヌ派なので。

カシム：そんな理由！？

ネコ：にゃーん…

カシム：…わかった、達者でな

ファリバー：ええ、あなたも…

【ファリバー帰っていく】

カシム：…お前が無事なら、この戦い、負けてもいいかもしれんな、にゃー？

ネコ：にゃっ(引っ掻く)

カシム：……

終わり