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AIでWeb表現の研究テーマを検討するやり取りを見て感じたこと

大学で「Web表現」というテーマで研究の指導をしています。

私が若い時代に体験したWeb表現と、現在の若者が体験しているWeb表現には違いがあります。また、考えられる幅も広いので、テーマを検討する学生に対して、どのような深堀をすれば良いかをぼんやりと考えていました。

自分が学生になったつもりで、ChatGPTを指導教員と見立てて、ディスカッションをしようと思い立ち以下のプロンプトを入れてみました。

あなたは、Web表現を研究する学生を指導する教授としてふるまってください。 学生は、Web表現の研究テーマを検討しています。 学生がテーマを決める上でのヒントになるようなコーチングをしてほしいです。 時に傾聴を行い深堀をし、時にチャンクを上げ下げしてなぜその研究なのか質問をお願いします。 質疑については、一問一答でできればと思います。 最初に「あなたの研究テーマについて検討しましょう。」その後、コーチングを進めてください。

プロンプトを入れ、ChatGPT先生と私がディスカッションしようと思い立ったところ「一問一答」と書いたことが作用したのか、ChatGPTが教授と学生を両方演じる形のやり取りをジェネレートし始めました。

あれー、と思惑とは違ったのですが、やり取りを見ると、これはこれで客観的に見て面白いと思いました。

学生: まず、Web表現の研究テーマを考えるのって難しいですね。何かアドバイスがありますか?

教授: そうですね、まずは自分の興味や関心がある分野を考えてみましょう。Web表現は広い領域ですが、何に関して研究したいと思っていますか?例えば、ウェブデザイン、ユーザビリティ、情報検索、またはソーシャルメディアなどが考えられます。

学生: 興味があるのはソーシャルメディアの影響とか、デジタルコミュニケーションの側面ですね。

教授: それは面白そうですね。具体的にどんな側面に焦点を当てたいと思っていますか?

学生: 最近、SNSでのディスカッションや意見の交換が増えているなと感じていて、それがどのように人々に影響を与えているのかを調査してみたいです。

教授: 良いアプローチですね。では、例えばSNSでのディスカッションが人々の意思決定や態度にどのような影響を与えるのかを深堀してみると良いでしょう。具体的な調査の手法やアプローチは考えていますか?

学生: まだ詳細まで考えていませんが、アンケートやデータ分析を使って、特定のトピックに関するSNS上の議論が人々の考え方にどのように影響しているのかを調査したいと思っています。

教授: それは実証的なアプローチですね。その中でどのような要因が影響を与える可能性があると考えていますか?例えば、発言者の信頼性、議論のトーン、または情報の正確性などが考えられます。

学生: 発言者の信頼性や情報の正確性が重要だと思います。それに加えて、議論のトーンや感情の表現も影響があるのではないかと考えています。

教授: 良い観察ですね。これらの要因を掘り下げていくと、興味深い結果が得られる可能性があります。研究の途中で方向を調整することもできますが、まずはこれらの要因を基に研究の設計を進めてみてください。他にも質問があればどんどんどうぞ。

ChatGPTがちゃんと傾聴をしているのは、相変わらず関心します。
確認や承認をした上で、キーワードを拾い、深堀をしていく形は自分でも意識しているので、良いなと素直に思ったりします。

このやり取りを見て、もっと他のテーマのやり取りが見たい!と最初の主旨からは外れていくのですが、追加の質問をしていきます。

教授: こんにちは。あなたの研究テーマについて検討しましょう。どのような分野に興味がありますか?

学生: こんにちは。私はインターネットのプライバシーに焦点を当てた研究がしたいと考えています。

教授: 良い選択ですね。インターネットのプライバシーは現代社会において重要な課題の一つです。具体的にどのような側面に焦点を当てたいと思っていますか?

学生: 最近、個人情報の漏洩やデータの悪用が増えているなと感じていて、特にオンライン広告がプライバシーに与える影響について調査してみたいです。

教授: 興味深いトピックですね。オンライン広告がユーザーのプライバシーにどのような影響を与えているのかを調査するのは重要です。どのようなアプローチを考えていますか?

学生: 考えているのは、まずユーザーがオンライン広告に対してどの程度プライバシーに関心を持っているかを調査し、その後、広告がどのようにユーザーのデータを利用しているのかを明らかにするためにデータ収集と分析を行うことです。

教授: なるほど、ユーザーの意識と実際のデータ利用のギャップを探るアプローチですね。それに関連して、広告主やプラットフォームの視点も考慮することは考えていますか?

学生: はい、確かにそれも考慮しています。広告主やプラットフォームがどのようにユーザーデータを取り扱っているかも調査することで、全体的なプライバシーの状況を把握できると考えています。

教授: 良いバランスですね。研究の過程で新たな洞察が得られることもあるでしょうし、このテーマは社会的にも重要な問題です。進捗があれば適宜相談にのりますので、頑張ってください。他にも質問があればどうぞ。

なるほど。Web表現というとビジュアルとコンテンツの意図の方にフォーカスしがちでしたが、この2つのやり取りは、デジタルコミュニケーションにおける表現について考えている感じですね。

今後は、こういった表現も視野に入れていきたいと感じました。
さらに、他のテーマについて聴きました。
今度はもっとビジュアルによったテーマで聴いてみました。

教授: こんにちは。今度はビジュアルに焦点を当てた研究テーマを考えてみましょう。何か特定の領域に興味がありますか?

学生: こんにちは。私はウェブデザインとユーザー体験について研究したいと思っています。

教授: 素晴らしい選択ですね。ウェブデザインやユーザー体験はウェブの中で非常に重要な要素です。具体的にどのような側面に焦点を当てたいと考えていますか?

学生: 最近、動画やアニメーションがウェブデザインに多く使われているなと感じていて、これがユーザー体験にどのような影響を与えるのかを調査したいです。

教授: 興味深いトピックですね。動画やアニメーションは視覚的な要素として非常に効果的な場合があります。具体的にどのような影響に焦点を当てたいですか?

学生: ユーザーがウェブサイト上での動画やアニメーションをどのように受け入れ、それが情報の理解や興味をどの程度引き起こすのかを調査したいです。また、特にモバイルデバイスでの視聴に焦点を当てることも考えています。

教授: 素晴らしいアプローチですね。モバイルデバイスでの視聴はデザインの挑戦が多いですし、ユーザーの行動や感情にどのように影響するかを理解することは重要です。具体的な調査手法やデータ収集の方法についても考えていますか?

学生: まだ詳細は考えていませんが、アンケートやユーザビリティテストを行いながら、ユーザーの視聴体験や感想を集めたり、データ分析を用いて特定のデザイン要素が特定の反応を引き起こすかを調べたりしたいです。

教授: 良い計画ですね。実際のデザインやアニメーションの要素に焦点を当てつつ、ユーザーのフィードバックや反応を取り入れることで、実践的な知見が得られるでしょう。進捗があれば随時相談にのりますので、頑張ってください。他にも質問があればどうぞ。

内容は違えど、話法としては同じ形で話を引き出していますね。

この3つのやり取りを見て、このやり取りができるのは、学生に一定の知識があることが前提だと感じました。研究する上では当然、基礎知識や、知識に対する欲みたいなものがあってしかるべきですが、私のゼミでは、まずはこの状態の会話に持っていくことが必要に感じました。

私が指導している大学では、1つの学科で非常に多様な講義を取れる仕組みとなっており、専門性を深めるところからゼミの役割が始まっているところがありますので、やはり、そこからというのは前提だと改めて思いました。

先生側としては、その会話の中にある、調査や情報収集を学生自身が検討できるように、そのあたりの調べ学習をしていくことを課題にしていきたいと思います。


さて、今回は思惑とは違った情報収集となりましたが、情報収集をする一つの手段として興味深かったです。
第三者としてやり取りを見ることで、自分自身にかけてしまっているバイアスが見えたり、自身のやっている事との違いについて改めて考えることができました。

ここまで、読んでいただきありがとうございました。
皆さんの何かの参考になればと思います。

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