見出し画像

借金が怖い初年度はスモールスタートでいい@個人事業主のためのお金のはなし

「趣味のハンドメイドが波に乗ってきたから、開業届を出そうかと思っている」という方からの相談を受けたとき、その売り上げ状況にもよりますが、私はまず「スモールスタートから始めること」をおすすめしています。

・素材にこだわりたい
・海外へ仕入れに行きたい
・オリジナルパーツを作りたい
・ラッピングをもっと可愛いものにしたい
・ロゴデザインをプロに依頼したい

そうやって幸せそうな笑顔で夢を語り、目を輝かせて「全部やります!!」と仰っていた方が、資金繰りに失敗し、げっそりとした顔で「廃業の相談を…」と声をかけてくる現実を、何度も目の当たりにしました。

そしてその度に、もっとやれることがあったんじゃないか・もっと厳しく留めていればよかったんじゃないかと、ひどく後悔します。

だから、ご家族の応援や支援があって趣味を広げられそうな方にはまず
「無理のない範囲から、ご家族の扶養範囲内の売上を目指しましょう」とお話ししています。

扶養範囲内の売り上げって?

ここで、「扶養範囲内ってよく耳にするけど、実際どのくらいかわからない」という方のために、簡単な一覧を書いてみます。

  • 住民税 100万円を超える収入の方が支払い対象

  • 所得税 103万円を超える収入の方が支払い対象

  • 社会保険料 106万円から、条件を満たす方が対象(国民年金は、収入が低い場合だと免除申請や納付猶予申請をすることができます)

  • 配偶者控除 「48万円以下の収入の扶養家族」がいる場合に、納税者が一定の所得控除が受けられる

  • 配偶者特別控除 「48万円以上、133万円以下の収入の扶養家族」がいる場合に、納税者が一定の所得控除が受けられる。(133万円を超えると徐々に控除額が下がり、201万6000円を超えると控除額が0になります)


小さな一歩の先は、年商100万円を目標にしてみる。

あなたの事業の成長スピードや、商品の人気度合いに応じての設定が必要ですが、もし本当にゼロからのスタートなら、この年間売り上げ100万円を目指すのがおすすめ。

100万円を12ヶ月で割ると、1ヶ月8.333…万円です。

ここで目指すべき月間の売上目標金額が決まったら、次は自分の商品の価格で売れるべき個数を考えます。

700円のキーホルダーなら約120個、1500円のヘアアクセサリーなら約55個、2300円のリングなら約35個、という感じです。

100万円を途中で越えられたなら、200万円をゴールにする。

次の目標は「配偶者特別控除」の目一杯である201万円を超えない売上げを目指しましょう。

もし、早々にこれを超える売上を作れそうなら、200万円からは一気に稼ぐ手段を考える必要があります。

確定申告で支払う分が一気に減るので、ギリギリ年内に200万円を超えてしまうと、支払いが苦しくなってしまうからです。

そしてこの売り上げ目標を立てていくのと同時に、その材料費や運送費、販売するならどこで売るのか(家賃やショップ運営費)、どうやって売るのか(イベント参加費や広告費)、自分の時給など、一般的に経費と呼ばれる「事業を運営する上で必要なお金」を考えます。

大きなイベントは半年前の応募だったり、抽選だったりすることもあるので要注意。イベントに参加するとどのくらいの出費があるのか(交通費や宿泊費、食費、設営のレンタルや装飾代位などがかかってきますよね)も、先に調べておくと安心です!

この段階で「ラッピングもこだわらないと売れないから」「参加費が高いイベントじゃないと売れないから」と、経費をたくさんかけてしまうと、後々材料費すら捻出できなくなり、制作も支払いも追いつかない…という苦しい状況になってしまうので…

何度も言いますが、まずは必要最低限で進めましょう。

まずは小規模ではじめてみる。
波に乗ったら、そこに投資するように少しずつグレードアップさせていく。
目玉商品や人気商品が生まれたら、そのデザインや機能性を横展開させて、さらにファンの興味を逃さない。

そんなスモールスタートから、幾つものブランドを持つ会社に成長させた社長さんも多くいらっしゃいます。

迷ったらまずは小規模から、はじめてみてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?