FRIENDLY DOOR ー ありのまま、住まい相談 ー
こんにちは。
LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL 公式noteです。
投稿2回目となる今回は、「LIFULL HOME'S ACTION FOR ALL」が取組む「FRIENDLY DOOR」について、事業責任者の龔 軼群(キョウ イグン)が紹介します。
FRIENDLY DOORとは
FRIENDLY DOORは、外国籍、生活保護利用者、LGBTQ、高齢者、シングルマザー・ファザー、被災された方々など一人ひとりの多様なバックグラウンドを理解し、親身になって住まいを探してくれる不動産会社を検索することができるサービスです。
全国で約2,800店舗の不動産会社がFRIENDLY DOORの取組みに参画しています。※2021年5月末時点
FRIENDLY DOORに込めた想いと目指すビジョン
「国籍や人種、性別や年齢、背負うハンディキャップにかかわらず、誰もが自分らしく、自由に住まいを選択できる社会にしたい」
FRIENDLY DOORへ込めた想いには、自分自身の原体験があります。
上海で生まれて日本で育った私ですが、住まいを探す際は”外国籍”というハードルでなかなか物件が見つからないことがあります。日本で育ち日本語がネイティブであっても、LIFULLという東証一部上場の企業に勤めていても、物件審査の際に ”中国人は入居できない”、”日本人の保証人がいないとNG”という理由で物件審査に落ちたことが何度かありました。
もちろん自分の家族、留学生として来日した従姉妹も同じ苦い経験をしています。
”国籍の違いで、なぜ住めない物件があるのだろうか。日本の文化・慣習も十分に理解しているのに、なぜ国籍というものでフィルタリングされ、私個人を見てくれないのだろうか。”
入居したい物件を断られた時は、自分に限られた選択肢しかないことにとても悲しい気持ちになりました。
「物件の選択肢が限られている人たちは、外国籍の人たちだけではない」
2016年からLIFULLの社会貢献活動委員として活動を始め、生活保護利用者の住まい支援を行う認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの取組みをサポートするようになったことで、生活困窮者の住まい探しの大変さも実感するようになりました。
経済力がないことで家賃滞納や近隣トラブルを懸念され、入居を拒まれるケースが多くあること。
それは、外国籍の方々が懸念される問題と全く同じではないですが、入居リスクがあるととらえられて、同じように断られている現状があることを知りました。
外国籍も生活保護利用者の問題も根本は同じで、不動産管理会社やオーナーの理解が必要。そこを解決していくことが住まいの選択肢を広げることにつながる。そう確信しました。
さまざまなハンデを抱えた人たちに理解のある不動産会社やオーナーを集めて、必要としている人とつなげていこう。誰もがありのままの自分で、住まいを相談できるように。
「ありのまま、住まい相談 」というビジョンは、このような経緯からつくられました。
FRIENDLY DOORの主な取組み
1. FRIENDLY DOORを必要な人たちに届ける
FRIENDLY DOORをリリースして約1年、参画してくださる不動産会社は全国で約2,800店舗になり、現在も増え続けています。
一方で、まだFRIENDLY DOORを利用するユーザーは少ない状態にあり、FRIENDLY DOORを必要としている人たちにもっと届けていく必要があります。
そのため、生活困窮者や外国籍、LGBTQ、高齢者、ひとり親、被災者の方々を支援されている非営利団体や行政の方々、住まいの社会課題に興味関心のある方々にFRIENDLY DOORの取組みを知ってもらうべく、noteやSNS(Facebook・Twitter)を活用した情報発信を積極的に行っていこうとしています。
また、非営利団体などへFRIENDLY DOORの取組みをご紹介する中で、”こういった取組みは必要なのでもっと広めてほしい”、”安心して住居を探すためのツールだと思う”といったリアルな声をいただいていて、FRIENDLY DOORの必要性を改めて認識しています。
2. FRIENDLY DOORに参画している不動産会社の対応力を向上させる
① FRIENDLY DOORセミナー・研修
”FRIENDLY DOORを使ったけど、結局不動産会社に断られた” という経験を絶対にさせない。
そのためには、参画する不動産会社が利用者への理解を深め、親身に対応することがとても重要になります。
現状、参画意思を持って理解を示している不動産会社は多いですが、必ずしもすべての不動産会社がユーザー一人ひとりのハンデに寄り添って適切な対応ができているわけではありません。
そのため、対応ノウハウを学ぶことが重要であると考え、2020年6月から不動産会社やオーナー向けのセミナーを実施しています。
生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウからスタートし、LGBTQ、高齢者、シングルマザーなど、各カテゴリごとにセミナーを実施してきました。
次回の第7回目FRIENDLY DOORセミナーは、生活困窮者の居住支援をテーマにセミナーを行います。
FRIENDLY DOORセミナー シリーズⅦ
生活困窮者の居住支援 〜 制度の活用法と空室対策 〜
また、2021年6月からは対応ノウハウをワークショップ形式で実践的に学べる個社別の研修(オンライン・対面)も提供を開始しました。第1弾として、株式会社IRISと提携し、LGBTQの方々の対応ノウハウについて研修コンテンツを開発しています。すでに、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組まれている法人様を中心に反響をいただいています。
② 接客チェックリスト
対応ノウハウを学ぶ新たな切り口として、不動産会社自身がそもそも適切な対応ができているのかをチェックできる診断の仕組みをつくりたいと考え、2021年4月より「接客チェックリスト」の提供も開始しました。
LIFULL HOME’Sが2019年11月に実施した「住まい探し」の実態調査では、「プライバシーの侵害を感じた」「自分の状況をどこまで開示すべきか分からなかった」など当事者の不安が大きいことが分かり、この問題を解決すべく、まずLGBTQの方々に対応する際の接客チェックリストを株式会社IRIS監修のもと、リリースしました。
この接客チェックリストは、LGBTQの方を含めたオールフレンドリーな接客方法をもとに初級編と上級編(各20問)で構成しており、正答率だけでなく解説を通して理解を深めることができます。
解説では、基礎的な用語紹介、店舗での接客時などのシチュエーション毎に気を付けるべき項目や、お客様に配慮した店内のレイアウト例や書類フォーマットなど、店舗で役立つポイントを学ぶことができます。
<初級編>
https://forms.gle/1QbET9t6Ui23icAc7
<上級編>
https://forms.gle/YjgCugwGsZrJTj3V8
リリースしてから約1ヶ月で、100を越える不動産会社にご利用いただいている状況で、ニーズがあることを感じています。
今後はLGBTQだけでなく、高齢者や障がい者などの接客チェックリストの開発も進め、”より多様な人々のプライバシーを配慮できる接客ノウハウ”を広めていきたいと考えています。
3. 住宅弱者の問題を広く社会に認知させる
FRIENDLY DOORの啓蒙活動として、2020年9月に渋谷周辺エリアで「住宅弱者」問題を問いかける屋外広告を掲示しました。
誰もが高齢になります。
その時に、賃貸という住まいの選択肢を取ることができない現実が日本社会にはあります。
誰もが直面するかもしれない問題について、直面した時に初めて知るのでは遅い。これをより多くの人たちに知ってほしくて、住宅弱者度CHECK LISTを作成しました。
住宅弱者の問題は、誰かの問題ではなく、自分事である。
その意識変革が、住宅弱者をなくしていくことにつながると考えて、私はこの問題を継続的に世の中に問いかけていきたいと、啓蒙活動にも精力的に取り組んでいます。
さいごに
FRIENDLY DOORを始めて、一つひとつの社会課題の根深さを実感しています。
これから増えていく「高齢者」をひとつをとっても、孤独死や認知症・介護、見守りなど抱える問題はさまざまです。
「LGBTQ」についても、多様な性への偏見・差別、法的な問題、そこに対して制定された条例などの理解も重要になってきます。
「生活保護利用者」や「外国籍」も同様で、それぞれ固有の課題が存在しており、そして社会課題は重なり合って、さらに難易度が上がります。
「高齢かつ生活保護利用者」の方、「外国籍かつLGBTQ」の方も多くいらっしゃいます。
誰も取り残さない住まいの在り方とは。
それを実現するためには、クリアしなければならない課題が山のようにあることを知って、愕然としたこともありました。
だけど、誰かが動かなければ、社会は何も変わらない。
それだったら、私がやろう。
地道な一歩一歩ではありますが、歩き出すといろいろなところから手を差し伸べてくれる人が現れてきて、徐々にFRIENDLY DOORの活動は広がってきました。
まだ実現したい世界への道のりは遠いかもしれないですが、これからも愚直に歩みを進めていきたいと思っています。
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