推しが毎日私の体内で死ぬ5~制御性T細胞~
私がその存在を知ったのは、
「日経サイエンス 2007年1月号
免疫系の“守護神” 制御性T細胞」 です。
「免疫系の守護神」
このフレーズの強さよ…
えっ何何?と書店で手にとって、
開いて少し読んで、
迷いなくレジ行きました。お買い上げチーン
さぁ、紹介しましょう、
私の知識の及ぶ範囲で愛を叫ぶ!!!!
制御性T細胞 (Treg)
regulatory T cell
:防衛軍の過剰攻撃や誤った攻撃を制御するT細胞。
一昔前は、サプレッサーT細胞、抑制性T細胞と呼ばれたりしていましたが、今は「制御性T細胞(Treg)」でほぼ統一されています。
白血球(防衛軍)における割合は、
ヘルパーT細胞(司令官)と同じ0.449% 、
レアキャラです。
(今更ですが、当ブログの%などの数値は、
私がよく使う文献のものを参考にしていますが、
教科書によって多少異なりますので悪しからず)
人体の防衛軍は、
日々様々な敵と戦っています。
そして、その戦いで最も重要なのは
「自己」を攻撃しないこと。
思い出してほしい……
「自己」にオラオラ攻撃性を示したT細胞は、
胸腺(Thymus)の試験で
不合格になって死ぬんじゃなかった?
心折れずに読んでほしい。
人体はそんなに単純ではない
そもそも
細胞がどうやって「自己」を認識するか
細胞のどこを見て「自己」と認識するか
あなたの体を構成する細胞はすべて見た目や特徴が同じ?
そんなわけない。
実は胸腺(Thymus)での試験、
すべてのパターンの「自己」を出題できてるわけではないんです。
なので、
出題されてない「自己」に攻撃性を示すT細胞が
胸腺(Thymus)を卒業してしているかもしれない。
たとえば、
今まで紹介してきた推し細胞
ヘルパーT細胞や細胞傷害性細胞(CTL)が、
「自己」を攻撃対象と認識したらどうなるか…
推しに殺される(究極)
究極過ぎて頭が真っ白になりそうですが、
そこに燦然と現れる別の推し
制御性T細胞(Treg)
過剰攻撃や誤った攻撃をしている細胞に
直接接触して止めたり、
IL-10などを産生して止めたりします。
(ILについては後日)
と、まぁ、こんな感じで教科書等で説明されてるんですが…
(参考文献:「ハリソン内科学第5版」他)
この「直接接触して止める」というフレーズの攻撃力すさまじくない?
またもや体内で推しと推しが絡み合ってるんですけど??!
私どうしたらいい??!(どうもこうも)
……さて、
この最高の推し「制御性T細胞」ですが、
当然ながら弱点もあります。
弱点というか、
その特徴を様々な側面から見れば、
長所でもあり短所でもあり…ってやつですね。
落ちついて読んでね……
(私が一番落ち着いていられないんですけど!)
制御性T細胞の「攻撃を制御する能力」……
これが「がん細胞」や「侵入者」に
利用されてしまうことがあります。
なんたる悲劇!!!!
ちょっとどういうこと!
特定の疾患の説明で、
制御性T細胞の配役が超悪役なんですけど??!
待って待って、守護神だよ?!
免 疫 系 の 守 護 神 !
何が起きてるんだよ、守護神の存在が仇になるとか!
体内の物語展開が半端ない!!!!
でもでも本当に、
防衛軍には制御性T細胞が必要なんですよ…!
自己に攻撃するT細胞たちを止めるだけじゃない、
防衛軍の攻撃が過剰にならないよう抑制して、
攻撃対象の即時殲滅ではなく、
ある程度敵の勢力を落とした後は警戒に切り替えるとか…。
(敵の殲滅は、軍の消耗や軍の攻撃による人体のダメージが大きいので…
まぁこれが逆効果っていう場合もあるんですけどね!)
更には人体の中にいる非自己「胎児」も守ってるんです。
(がん細胞が「胎児」のふりして制御性T細胞に守ってもらってるって話もある…)
語り出したらキリがない…
強みと弱みがここまで表裏一体な推しとか。
最強の諸刃の剣
尊すぎる。。。
語りきれなかった魅力はまた後日。
次回は、もうどうなってるのか分からない超推しNKT細胞について語ります。
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