国際ロマンス詐欺にほぼ引っかかった話
※LINEやDMのやり取りは削除してしまいスクショ忘れてました。臨場感ないのは申し訳ない。
※怪しむべきポイントを「怪しい度数」(マックスは100)として書いています。お楽しみください。
始まりはインスタグラムのDMだった。
加害者はSelena Smithと名乗る自称女。今考えると、どうせ男が糸引いてるんだろう。
聞くとどうやらアメリカの軍人で、現在アフガニスタンでタリバンと戦っており、親とも別れ、夫もおらず、娘のみがいるという。
ご丁寧に自撮りまで添えてくれた。
どうやら軍は秘密を多く持っているらしくインスタのDMよりLINEの方がパーソナルだからということで、LINEを交換して欲しいといわれた。
怪しい度数10である。
LINEの方がパーソナルという意味がわからないし、そもそもLINEはアジア圏で流行っており、アメリカ人なら普通はWechatとかそこら辺である。LINEの時点で「私はアジア人です」と言っているようなものだ。
ちょうど相手は英語で送ってきてたし、まあ別に英語のいい勉強になるかなぁ程度でLINE友達に追加した。
LINEを追加するや否や、とてもプライベートなことを語ってくれた。
会話を進める中で、「honey」だったり、「dear」だったり、とても初めて会った人同士の会話とは思えないくらい親しさこもった英語を使ってきた。
まあ、別に悪い気はしないので話を進めた。
そんな中、彼女には不動産ビジネスをしたいという夢があるらしい。また、仲良くなったと踏んだのか、I really trust you(あなたはとっても信頼できる。)と言って、結婚を迫られた。
いつ日本に来るの?と聞くと、今月末と返ってきた。
怪しい度数20。
初対面からの結婚はあまりに無理がある。しかし会話自体は楽しい。
結婚は無理だと言って、どうせいつかお金の問題になると思い、事前に I have enough money to live with you (僕にはお金がない)と言った。すると、彼女は Only what you need is Love, honey (愛さえあれば十分だよ)いう何番煎じかわからないくらいの粋な言葉をかけてきた。
それから3日ほど経っただろうか。日本時間午後11時。アフガン時間では18:00くらいだ。彼女は彼女の「ラストミッション」であるタリバンの新しいボスを捕まえる戦争に行かなければならないと言った。
それから1日。無事生きて帰ってくることができたと連絡があった。
この頃のぼくは100のうち80くらい彼女を信用していた。
キャンプの様子は写真撮れる?と聞くとすぐに写真が送られてきたし、インスタで毎日様子を更新していたし、送られてきた写真をGoogle画像検索にかけても一つも出てこなかった。
少しいうなら、夜に聞いたのにもかかわらず、送られてきたのは全て昼の写真だったということくらいだ。
話を戻そう。
彼女は「ラストミッション」が終わったということで、荷物をぼくのところに届ける手続きができれば、キャンプから出ることができると言った。
なぜぼくのところなのかというと、周りにつて(親や親戚など)が誰もいないからだ。
怪しい度数40
荷物を届ける手続きで軍をresignできる(脱退することができる)という辻褄が、「風が吹けば桶屋が儲かる」レベルで意味がわからない。
しかしとはいえ、軍の仕組みに対して嘘だろ?と聞くのは機密を破ることになるので、そういう仕組みなのか、と理解した。
最も、彼女は戦争に行くだの、軍のインターネットを使ってるだの機密を破りまくりだが。
さて、いよいよお待ちかねの本題。
とはいえぼくはこの時はまだ半分を超えて信じていた。不動産ビジネスはどっちにせよやりたかったし、彼女に話を合わせた。一縷の望みとやつだ。
荷物を送るから住所と名前、電話番号を教えて欲しいと言われた。
あっけなくぼくは教えてしまった。
問題はここからだ。
"FedEx"を使って、Moneygram経由で輸送料を振り込みして欲しいと言って、"FedEx"のメールアドレス、また文言(テンプレート)をご親切にも送ってきた。
「もうすぐインターネットができなくなるから、振り込み完了したら明細送っといてねハニー」と言って彼女は既読をつけなかった。
5分後、ぼくは住所や名前を"FedEx"のメールに記載してしまった。
すると1時間後くらいに返信が来て、「ここに振り込んで」と振込先の名前等を送ってきた。
ここまで。メール一部抜粋。
(ここから、振り込みの仕方がわからないと問い合わせた時のこ返信。
英語が雑すぎる。)
「ねえ、やり方わかんないんだけど」彼女にLINEを送った。あ、そうか、夜使えないんだったと送った後に気づいたけれど、まあ明日教えてもらえればいいしと放置していた。
するとどうだろう。3分後、彼女から「「Moneygram」が使えるサイトを探して、そこから振り込むんだよ」と返信が来た。
怪しい度数70。
おい、インターネットはどうした。設定崩れてるぞ。
「 I see」(あーね) 。ぼくはうわべの返信をして、調べ始めた。
どうやら、FedExもMoneygramも実際に存在しており、FedExはヤマト運輸的な立ち位置で、Moneygramは銀行振り込みができるようなサービスらしい。
「ちょっと信用できないんだけど、軍のID見せてくれる?」
ぼくは彼女に聞いてみた。彼女は以前から信じてもらえるようにとIDをひたすらに見せると言ってきていた。今の今まで見せなかったのでここで聞いたのだ。
彼女からはちゃんと送られてきた。写真も相違なく、それっぽい。階級など調べてみると、確かに存在する。
この時点でもう騙されていると薄々気付いていたのだが、ここが人間だ。「信じたい」という気持ちが出てしまった。
FedExのメールには詳細に荷物の情報が書かれてあったし、どことなく「それっぽい」。
時刻は日本時間午後11時。
まあ、いっか。ぼくは振り込もうとMoneygramが使えるサイトを探し見つけた。
金額は550ドル、約6万円だ。
いよいよ振り込もうと思い口座残高を見るとそこには44000円の文字が。足りない。
ぼくは、とても信頼できる友人に「急やけど2万円貸して」とLINEで尋ねた。
友人は当然の反応で「急すぎる、用途を知りたい」と来た。
「海外から荷物が届くからその送料が欲しい」とボヤーっと伝えた。
友人は「いいよ」と言わんばかりの雰囲気だったが、何を思ったのだろう、ぼくは「やっぱいい」と言った。
この友人とはお金の貸し借りをする関係にはありたくない。友人の言うとおり、信頼できるからお金の貸し借りが成立するわけだが、何か知らないけど、「やめとけ」と天の声が降ってきた。
明日どうにかしよう。と思って就寝した。
翌朝。
一度寝たからか、様々な疑問が浮かんできた。
まず、荷物の送料がなぜ僕持ちなのかがわからない。書くタイミングがなかったので、今書くが、彼女は退職金として100万ドルを現金で受け取ったそうだ。アフガンの銀行は使えないらしいから。じゃあそれから払えよ。
何気ない会話の中での疑問もあった。
まず、英文法上のミスが目立つ。I am の I がよく抜けるし、you are を意味する you'reがyourになっていた。後者は聞いたことあるが、前者は聞いたことがない。ぼく自身、ネイティブではないからそう言うこともあるのかとむしろ勉強だった(?)
they がよく the になっていたし、ぼくのLINEに対する返事の英文法の正確性がバラバラだ。あるメッセージにはしっかりとした文で返ってくるのだけど、ぼくが突拍子もないことを聞くと少しおかしな英語になる
(pizzaが好きだと言ったのでマルゲリータの話をマニアックにするとよくわからない英語で返ってきた)
怪しい度数100。ついに100到達だ。
今まで怪しいと思った箇所はあまたあったが、僕は人を信じないことは好きではない。投資をしたことがあるから「恐怖」はないけれど、この世は信じてなんぼの世界だと思っている。確実に黒だと確信して初めて僕はその人を裏切る。
「僕を本当に信じているのなら、君が送料を払ってね。荷物を受け取ったら僕は君と結婚するよ」
僕はトドメを刺した。
それ以来、返信は途絶えた。
「I had dreamed a dream, my loveD」(夢を見させてもらったよ)、と言って僕は彼女をブロックした。
そして、いま、この体験談を書いている。
今回の体験ではたくさんのことを学んだ。
僕はどうも意外と英語ができるらしい。
僕はどうも意外と用心深いらしい。
僕はどうも意外とお金がないらしい。
でも英語ができたから怪しめた。
用心深ったからお金を払わずに済んだ。
あのときお金がなかったから、1日考える時間ができた。
のちに調べてみると「国際ロマンス詐欺」と言うらしい。見てみると、今回の僕が受けた手口とほぼそのまんまだった。
安心と共に、裏取りの大切さを再確認した。
唯一の後悔は住所を教えたことだ。
何事もないことを祈っている。
被害に遭う人がいないように、いますぐに闇に葬りたい体験談を赤裸々に告白する。
本っっっっっっっっっとうにありがたい限りです。