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透け軸のススメ

それが何でも「スケルトン」、つまり透明なもの、特に透明で中のつくりが見えるアイテムは小さい頃から一種の憧れみたいなものがあり。
一番わかりやすい例でいうとスケルトンの時計はその中身の複雑さと動き、正確に時を物理的に刻んでいるのが肉眼で見えるのが今もずっとたまらなかったりします。

万年筆にも軸やキャップが透明・半透明なものは多々あって、時計ほど中の造りに魅了されるわけではないのですがふとした瞬間に手に取って透けるのを見たりなんだりして楽しんでいます。
万年筆においての透明軸に関しては「安っぽく」見えるという意見も一部の人からあるようで、確かに色と透明度と全体的なデザインによってはそういう印象もあるかなあ、とは思いますがそれでも透明軸には透明軸のメリットがあると思います。
見た目としての「魅力」となると好き嫌いがわりとはっきりしそうなのでそれ以外で透明軸の万年筆持っておいた方がいいよ、と思う点をいくつか。

兎にも角にも透明軸というのは「中が見える」ということが特徴の大部分。先ほど書いたように時計の中身みたいな構造はありませんが、それなら何が見えるのか。
まずは一番よく話にあがる「インクの残量が見える」という便利さ。
カートリッジでもコンバーターでもピストン式でも軸が透明なら中のインクも見える。特に万年筆を使うのがイレギュラーだったり使い始めだったりはたまた頻繁に使用するなどで自分がどれくらいインクを使っているか知っておきたい、という場合に万年筆の中のインクが見えるとわかりやすい。
あと無色透明の軸で明るい色のインクを使って中のインクの色を楽しむ、というのもそれに関連した楽しみですね(ただかなり明るい色でないとただ黒く見えるだけになります)。

そして普段万年筆を使っていて知らない間にキャップの中にインクが出てペンの首あたりに付着したりして手が汚れた、なんてことがたまにありますがこれも透明軸で外から見えることの一つです。ペン周りが汚れているかどうか、だけでなくどういう環境でキャップ内にインクが付くかも観察できます。自分の住んでいる場所の気候が関係してるのか結露は結構起こりますし、なんならペン先のあるキャップ側だけでなくピストン式万年筆のピストンの後ろなんかも結露してたり(機能に支障はありませんが)。

さらに軸が透明だと万年筆を使う時だけでなく洗うときも色々と見えてきます。どこかに前のインクが溜まっていないか、すすいだだけでは届かない箇所はないか、そして水に漬けたパーツからインクが溶け出ていく様子も透明軸で一番よく見えますし、最終的な乾き具合もまた目ではっきり見える。
もちろん万年筆の細かいつくりは種類毎に違いますが、いくつか透明軸を持って洗っての経験を他の軸にも応用してメンテナンスに活かしています。

ということで透明な軸はきれいなだけでなく万年筆の状態や扱い、ご機嫌などを色々と教えてくれる、より使い良いよう親しませてくれる役割もあります。それが無色の透明であれ、色つきの透明であれ、半透明の軸だって色々教えてくれる。
なので特にパイロットのカクノみたいな、万年筆を初めて使うような人が手に取る万年筆に透明なラインアップが広がったのはとても理にかなっていると思います。あらためてここでもカクノをオススメ。

最後に手持ちの透明軸をいくつか。

上からパイロットのプレラ、TWSBIのEco、ペリカンのM205(今年のペンシリーズ、アクアマリン)、パイロットのカクノ、セーラーのプロギア(カクテルシリーズ、アプレスキー)

セーラープロギアのカクテルシリーズのアプレスキーも実は半透明で少し透けるんです(キャップも結露が見えるくらいに透けます)。ネットの写真だと結構わからない感じではあります。最近他に似た色の軸があれやこれや出てますがそちらは透ける仕様なのかな、どうなんだろう。

中のニブがうっすら見える

今年は忘年筆購入を目論んでいますか果たしてその軸は透けるかどうか・・・?