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万年筆たちが気圧の大きな変化に試された結果 in メキシコ

12月は年末振り返り記事がありますがその前に一つ。
11月の後半に両親が住んでいるメキシコに妹と旅行に行ってきました。
両親がなぜメキシコにいるかとかそういう話は割愛しますがそんなに遠くに旅したのは初めてのこと。
以前記事に書いた通りの処置をして万全の体制で(という認識で)万年筆を持って行きましたが今回の旅はこれまでの一時帰国・州外旅行・NZ旅行とは環境がかなり違ったため予想していないことが起こりました、ということを記録としてまとめておきたいと思います。

前述の通り今回の行き先はメキシコ。メルボルンからダラスで乗り換えて(空港から外にでて観光して)両親の住んでいるグアナファト・レオンに行きました。飛行機移動・トランジットの間はずっと万年筆は使用せずジップロックを開けることなく手持ち荷物に入れて、飛行機ではニブが上向きになるように立てておいていました。
メキシコではメキシコシティ、グアナファト、サン・ミゲル・デ・アジェンデに観光に行きました。

メキシコは標高の高い場所だということはもちろん聞いて知っていて、身体的な影響に関しては注意していました。ただ現地に到着してから特に高山病的なことも(そして時差ぼけ的なことも)影響がなかったので完全に油断していたようなところもあり。それでも水の沸点が数℃低くなるくらい気圧が低い環境は人体よりずっと繊細な万年筆に(そして後述の通り他の物にも)かなりの影響がありました。
ちなみにレオンの標高はWikipediaによると1815mだそう。メキシコシティはもう少し高いそうですがレオン→メキシコシティの移動では特に追加で影響はありませんでした。

最初に気づいたのはジップロック内の複数の万年筆からキャップ内でインクが漏れていたこと。さらに預け荷物に入れていたインクサンプルのバイアルも(全部きっちり蓋を締めたのに)一部インク漏れがあったのにも気づきました(これは初めてのこと)。
それから万年筆で書き出した途端にインクがドバッと出たものもあり(カバー写真参照)、インクが出にくくなった万年筆もあり。向こうに着いてからも通常通り使える軸はそのまま普通に書けたものの、インクが出にくかったものは最後までいつもの調子を取り戻せないままでした。
気圧ほどではありませんがメキシコは乾燥しているメルボルンよりさらに乾燥しているので一旦インクのフローが滞ると乾きやすくなって復活するのが難しくなったのかもしれません。

今回の旅で持って行った万年筆のタイプ毎にメキシコでの挙動を評価するとこんな感じになります。

パイロット キャップレス(細字):◎(問題ゼロ、普段通り使用可。ただメカニズムの関係上中でインクが漏れたりしていても外に出にくく観測できなかっただけかも)
パイロット プレラ(CM):△(初めて使う時にドバッと出た後は普通に使えました)
パイロット カクノ(中字、2本):×(インク漏れあり、キャップの穴もあり乾燥にも弱め。書きにくくなったのはインク側の性質も関係ある?)
パイロット コクーン(中字):△(飛行機移動中に若干インク漏れ、使い慣れたインクなので書きにくさが目立った)
セーラー プロギアススリム(中細):○(ちょっとインクが漏れたけど普段からたまにそんな感じなので挙動は通常と変わらない)
プラチナ センチュリー(細軟):◎(青墨を入れてる軸ですが書き味が僅かにドライかな?と思うながらも気のせいかもしれない程度で他に問題はなかったようです)

カクノは価格を含め何かと持ち歩きに便利な万年筆なので今回環境条件の変化に屈してしまったのはちょっと残念。ただ一番普段使いのインクを入れてるキャップレスやプロギアスリムが頼れることがわかったのは収穫。
あとプラチナセンチュリーはキャップの気密性がすごいそうなのでメキシコの乾燥にも強かったのかもしれません。
あとあまりピストン式の万年筆を旅行に携帯しないので例えばTWSBI Ecoだったら挙動がどうだったかは気になります。

インクサンプルは(漏れたインクの色を見る限り)3つのバイアルのうち1~2つ漏れている様子でした。ただ少量でもなかなかドラマチックなビジュアルにはなってしまうのでちょっとパニクりかけました。気圧の諸々はしょうがないにしても自分のリアクションは冷静を心がけたいと反省しています。
あとやっぱりジップロックは偉大。もしものために積極的に利用していかないと。

あとは万年筆に関係ないもので気圧の変化にやられた物品は:

リキッドファンデーション(チューブから中身が吹き出しました、そしてやっぱりパニクりました)
ロールオンタイプの制汗剤(ロールオンの球がパコっと外れました。そもそもメルボルン以上に乾いてる場所と知りながらなぜこれを持っていったのか不明)

他にもよく言われますがポテトチップスの袋が膨らんだりとかもあるようです。
ちなみにメキシコ→メルボルンと帰ってきてからの影響は万年筆も他の物にも見られていません。(ロールオンの球は直さずじまいで中身も少なく乾燥したので廃棄しました)

あくまでも両親が向こうにいたのでメキシコまで行ったという旅行だったので今後メキシコおよびアメリカ周りの標高が高い場所に行くことはまずない・・・と思います。なので他の万年筆や物の挙動がどうなるかは試す機会はなさそうです。山なら日本やNZにもあるけどそこまで標高が高い場所に万年筆を持って行くような旅はするかというとこれもなさそう。
ということで今後追記などもなくあくまでも限定的な経験談としてのまとめということで。
さきほども言いましたがジップロック(そしてティッシュ)は万年筆を遠出に持ち歩く場合全般に大事。来月の州外旅行でもしっかり対策していきたいです。