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New Soundsのススメ

普段耳にする音楽とは違う音楽に触れてみたいと思いませんか?
日常から一歩二歩踏み出して新鮮な音に出会ってみたいと思いませんか?
ちょっとしたカルチャーショックで衝撃と刺激を受ける楽しみを味わってみませんか?
そんなあなたに「New Sounds」。

New Soundsは米クラシック音楽ラジオ局WQXRの現代音楽チャンネル、といえばシンプルですが実のところそれ以上に広く深く面白いオンラインコンテンツ。
クラシック音楽、現代音楽に限らず世界中の今の音楽をピックアップして放送するだけでなくライブ配信や新譜のお知らせなどもポッドキャストやSNSで活発に行っています。以前はクロノス・カルテットだけで40時間マラソン特集をやったことも。

なのでとにかく何か耳に新鮮な、出会ったことない音楽を聴くなら色々ここから飛び込んでみるのが面白いなのですがメインのラジオ放送だと本当に何が出てくるかわからないのでそこまでいきなり壮大に飛び込むのは、という人にはNew Soundsの1時間ポッドキャストシリーズをまずおすすめしたいです。

New Soundsのポッドキャストは再放送のものも含め数日毎にいくつか更新されるのですが様々なジャンルから各回のテーマに合わせて集められた曲をちょっとした説明も交えながら1時間分ずつ聴けますし各エピソードのページに曲一覧も載るのでフォローアップもしやすいです(ラジオも放送してる曲が出ますがあとでまとめてゆっくり、となるとポッドキャストの方が扱いやすい)。
ただたまに音楽配信サービスなどで出てない曲や音源になってない録音などもあるのはあしからず。

1時間でまとまって聞きやすいとはいえNew Soundsのポッドキャストの番号を見るともう4000以上エピソードが公開されているのでタイトルである程度テーマが分かるにしても選ぶのが大変。私もアーカイブ・新出どちらも全部聞くことはせず興味を引かれたテーマのエピソードを選んでちまちま聞いていますが、しばらく聞いているとやたらめったら聴くのではなく新しい好みの傾向や好きなジャンルが出来て固まってくるのが面白いです。

今はだいぶ「新しいもの聴きたい欲」がおさまってNew Soundsで出会った好きなものをフォローアップして深めるフェーズに入っているのでここまでで特に好きだったエピソードを自分が好きな傾向があるおすすめエリアに分けて紹介します。

【ワールド系】

New Soundsの魅力は様々な国の伝統的な音楽だけでなく今の時代の音楽に触れられることだと思っています。予想しないような多文化コラボも色々紹介していますがまずは特定の地域・文化に絞った特集が聴きやすいです。私は「Lucky Sevens」の七拍子特集に最初に鷲掴みにされ、地中海沿岸周りの「Music tour of the East Mediterranean」や「Mediterranea」あたりからイタリアや北アフリカの音楽に流れていきましたが違うフレーバーだとゴビ・タクラマカン砂漠周辺の音楽の回も面白いです。

【歌系】

色々ある特集の中でクラシック音楽とポピュラー音楽の間のどこかに位置するような音楽を扱う回(そういうタイトルのこの回を筆頭に)にはかなり面白いものがあります。その系統で色々聴いててはまった「When We Are Inhuman」はアルバムで購入しましたし、色んな回で登場する(割と理不尽に)人が死ぬMurder Balladのジャンルは一種の沼。万年筆方面で詩を手書きすることが多いので「Poetry and Music」は詩と音楽合わせて楽しめる良い回でしたし、「Laments and Sad Songs」は様々な文化における歌や声のパワーを感じる曲が色々。

【アンビエント系】

色々な曲に出会って聴き広げるのも楽しいけどぼんやり1時間通して聴いてて心地良く、個々の曲より全体の雰囲気が好きな回も多々あります。そういう意味ですごいなと思ったのが「Music of Trees」と「Musical Sunsets」と、それから海の回。「Atmospheric Songs」も上記の歌カテゴリとはまたちょっと違うフレーバーの曲で見事なアンビエント系。どれも1時間分合わせてこその楽しみというか、テーマに合わせてうまいこと曲を集めるんですよね-。

【その他】

特定の楽器(群)を特集している回は普通聞き慣れているような楽器の使い方とはちょっと違う新鮮な音楽が聴けるコレクションが色々あって気になったら聴くことが多いです。カテゴリに当てはまらなかったけどお気に入りの回としては科学にインスピレーションを得た音楽の回がなんだかすごく楽しかったり、「Unexpected Duos」は最近アフリカ音楽にはまった直接の原因ですし、Bryce Dessnerとオーストラリア弦楽四重奏のコラボの回はこちらでのバレエ公演の再演が待ち遠しいです。

実際の放送でもナレーションで説明がありますがこんなにたくさんのエピソードから目当ての回を覚えておく、探すにはエピソード番号が一番便利です。ただ検索ページから特定のアーティスト名で探してみてどんな回に出てるか追ってみるのもありです(私はビョークとクロノス・カルテットでそれぞれローラー作戦しました)。

そしてNew Soundsを聴き進める・聴き広げるにあたって自分が習慣にしてよかったと思うのがポッドキャストでぱっと聴いて好きになった曲をSpotifyでプレイリストに登録しておくこと。好きな曲をピン止めするように使ったり、フォローアップしたり聴き広げたりするための本拠地みたいに使っていてなにかと便利。もちろんそのまま聴いても好きな曲の連なりなので聴いてて楽しいのでコレクションしておいて損はないです。

私の持論は特に音楽においては理解できなくても面白いと思える、好きになれるというか、とにかく「新しい音楽、こわくない」でやっている・・・と言い切りたいところですが実際は現代音楽急進派とかじゃ全然ないですし知らない国に(音楽でも)ばんばん行けるような人間じゃなく、結構保守的というか引っ込み思案なところがあるのですが。
New Soundsのシリーズで扱う曲はそんな人にも、そんな人だからこそ好きになる音楽が多く扱われるので今回おすすめしてみました。
なので改めて、「新しい音楽、こわくない」(笑)。