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鉄のペン先もいいぞ

2021年忘年筆、2022年新年筆をすっかりすっ飛ばして今手元にある万年筆で手書きしながら年末年始を過ごし今年もまた毎日何かしらん書く生活が続いています。
前回新しく万年筆を買ったのが去年の今頃だったので所有している万年筆全てが1年以上使ってるものになりました。まあ「万年」筆なんで1年経ったところでまだまだこれからなのかもしれませんが。

ただ1年も使っているとそれぞれのペンの癖や書いたときの感触の些細な違いが分かってくる、というかたまに気になるようになってきます。たまに特定の万年筆の書き心地がダメになることもあれば別の万年筆で書く時の感覚に突発的に愛着が湧いたり、それが別の日には全く変わったりすることも。

そういう場合書き心地が「より柔らかい」とされる金のペン先の万年筆が好まれるかと思われると必ずしもそうでなく、むしろ最近「鉄ペンもいいな」と思うことが多くなってきています。
やっぱり万年筆なら金ペン、と言いたくもなりますが鉄のペン先の万年筆も使い良いし持っていて損はない、と今回ヘッダー写真に撮った3本をピックアップしたいと思います。
万年筆界隈ほとんどそうですが好みは人それぞれで多分個体によって違う部分もあるのであくまでも主観的な評価、個人的な感想としてどうぞ。

その1:セーラー「ほしくず」

この記事を書こうと思った直接の理由がこの万年筆でした。今は「四季織」の「ひさかた」というシリーズですが私が手元のほしくず(細字)を買ったのはシリーズチェンジのだいぶ前。もう5年以上使ってますがなぜか年末ぐらいからすこぶる調子が良いです。
もともと使い始めてから何も悪いところはない優等生だったのですが最近・・・説明するのは難しいのですがなめらかさといいニブの硬さといいランクが一つ上がった、あるいは自分によりフィットしてきた感じ。

ちなみにこのシリーズのニブは「職人が研ぐステンレスペン先」(セーラー万年筆公式より)だそうで、既に金ペンを持っていてその良さを体感している人に優先しておすすめするとしたらこれになるかも。
職人の技+比較的お手軽の組み合わせもいいですし、あとやっぱりほしくずのラメ軸は特別でほぼ唯一無二といって良いと思います。そこまで含めると自分にとっては「優等生」を軽く超える一本。

その2:ペリカンのM200/205

ペリカンも金ペンと鉄ペンとどっちも持ってるのですが、同じ極細でも金のニブのもったりなめらかな書き心地もいいしM205のすっとしたちょっと神経質さのあるなめらかさも好きです。
書き心地にはニブそのものよりも軸の太さや重さがだいぶ関係していると思います。ちなみにM200/205は意識してちょっと寝かせ気味にして書いた方がスムーズです。あまり立たせるとひっかかる。細身で軽いけどピストン式でインクもたくさん入る、使いやすいペンです。

ペリカンの宝石モチーフのインク「エーデルシュタイン」は定番色の他に毎年「Ink of the Year」という限定色が出ますがインクに合わせた色のM200(ゴールド系)またはM205(シルバー系)も一緒に出るようになっています。もちろんどちらも限定品。
今年のGold Berylはインクも初のラメ入りですし万年筆もこれまでとは違った美しさがあって今後デザインの幅が広がるのかも?気に入った色が回ってきたら是非入手したい。

その3:TWSBI Eco

今回書く個人的な感想の中でも一番個人的な感想になりますが、自分にとって鉄ペンということを最も意識しない鉄ペンがこれ。ある程度の柔らかさ、極細でもぬるっとしたなめらかさ、立て気味に持っても書きやすい、と三拍子そろっています。TWSBIはいくつか軸の種類があってそれぞれニブも違うのですが手持ちの2本だとEcoの方が好み。(ただし580ALの方はスタブなので字幅による違いもあるかも)

ただTWSBIの中でも特にEcoはシンプルなというか実用性重視な印象のデザインなのが上記2つとはちょっと違うところ。カクカクしてるんですよね(笑)軸は太めでまっすぐ、ピストン式でインクもたっぷり入る仕様も合わせて日常的にどんどん使う用万年筆という感じがあります。それでいてこのなめらかな書き心地は嬉しいです。
あとTWSBIは基本の軸で様々な限定色が出るのも楽しみがあります。Ecoでいうと最近出たJadeが色の薄いヒスイみたいな(または蛍光塗料みたいな(光らないですが))淡いグリーンできれい。

鉄ペンと一言でいっても色々ありますし最近はお手頃な価格帯の万年筆の種類も増えて、良い書き心地の鉄ニブもたくさんあります。
「お気に入りの万年筆は」と聞かれたらやっぱり金のニブを先に挙げてしまうのは変わらないですし次も金ペン狙いですが鉄は鉄で使いやすいところもあり。
素材や価格にかかわらず書き心地が合えば愛着もわきますし、どの万年筆も大事に長く使っていきたいです。(そして素材や価格にかかわらず惹かれる軸があったらいずれもう一本・・・)