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視聴期間残り少ないけど 2023年BBC Promsの注目どころ

もう何度言ったかわかりませんが今年はオーストラリアでサッカーの女子ワールドカップがあってそれにかなり時間と労力を割きました。めちゃくちゃ楽しみました。でもだからといって他の事を全く忘れてもいられない。特にBBC Promsは毎年新しい音楽含め音楽と良い出会いができる貴重なイベント、しかも後から聞ける期間が限られてる(10月9日までだそうです)。
なのでなんとしてでも聴かなきゃ、と気合いを入れて1ヶ月弱の遅れをなんとか取り戻して視聴期限前に(全部は無理としても)なるべく多く聴いてきました。やっぱり北半球の夏休みいっぱいかけてこの量聴かないと1年持たない。

今書いたように今年はだいぶ遅れて聴き始めたのですが、そんな時期でもTwitterでBBC Proms公式とか関連ツイートで聴衆の反応などちらほら流れてるのを把握して聴くときの参考に心に留めたりはしていました。開幕してから最初の週はProm 2: Northern Soulの話題が飛び抜けて多かったですね。後から聴いたらなんというかFeel goodな感じの音楽で確かに楽しかったです。Matildasの命運がかかってる大事の試合の朝に聴いたのですがタイミングがちょうど良かった。明るくて良い感じで力が抜けていわゆる現代社会に嬉しい音楽。

BBC Promsは毎年メモリアルイヤーの作曲家などイベント期間通して多めに扱う作曲家が何人かいるのですが今回はリゲティ(生誕100年)、ラフマニノフ(生誕150年)、そしてクロアチアのドーラ・ペヤチェヴィチ(没後100年)の作品が多く演奏されました。
リゲティが大きく扱われるのは嬉しいですね、なかなかコンサートでは(生でも配信でも)聴ける機会が多くないので。(Prom 36: Space Odysseyでは2曲演奏されました)ただ同時にリゲティはほぼ全曲感想が「これ生でコンサートホールで聴きたかったな」でした。あの静寂や緊張は家でステレオ通して聴くのでは味わえない。
ペヤチェヴィチは最近女性作曲家の作品を取り扱う演奏が多くなりちょこちょこ出会うようになりましたが解説で言ってたように大きい規模の作品の方が得意な作曲家という印象を受けました。交響曲面白かったです。なのでもっと大きい作品どんどん演奏しようぞ。私もピアノ作品弾きたいなと思ってるのでいいのがあるか探していますがそういう大きな作品は一人で弾けるものではないので残念。
そしてラフマニノフは交響曲第3番やってくれたのが地味に嬉しい。2番もあるけどそっちはコンサートではまあまあよく聴くので。

ものすごく大変なんだろうけどものすごく楽しかったのがProm 38: Audience Choice。全く何の曲を弾くか決まってない状態から交響曲の各楽章を聴衆(席番号で無作為に選ぶ)のリクエストを何人分か募り、そこからおおまかな多数決で選んでいくという画期的な構成のコンサート(ちなみに楽譜を探してくる間演奏される音楽はあらかじめ決まってました)。BBCのオケライブラリと担当の人を駆使してこそ成り立つ企画でした。クラシックオタクちょっと無茶振りもあってはらはらしましたが様々な曲が楽しめるコンサートです。
あと楽しいでいえばProm 10: Horrible Histories: 'Orrible Operaはものすごく楽しかったです。笑いながら見れる系。間違いなくリピートするやつ。

あとPromsは夜のコンサートも大きいコンサートとはまた違う魅力があって、ここ数年恒例になっている?Prom 34: Mindful Promも今年もまた当たりでした。色んな作曲家による色んな音楽(主に現代方面で比較的短くて静かな系統の曲)をミックステープのようにつなげてひとつながりのプログラムにするコンサートなのですが、毎回全体の雰囲気がどんぴしゃに好き。ただ欠点としては個々の曲の印象が残りにくいので後でフォローアップしにくい。毎回このタイプのコンサートをCDかアルバムにまとめて出してほしいと思ってます。普通のヒーリング系クラシックとはひと味違うのが売れると思うんですが。

クラシック以外のコンサートも面白かったよ、という話もしたいのですががっつりシリアスな純クラシック音楽という感じのコンサートにあまり言及していなかったのでそちらもいくつか。
プロコフィエフの5番とかラフマニノフの交響曲全部とかマーラーの交響曲がいくつも聴けちゃうのとか本当に贅沢で、ながら聴きなのが勿体ないのですが毎年良い機会だと思って欠かさず聴いてますが今年の特別はサイモン・ラトルがロンドンフィル最後の公演をマーラー9番でフィニッシュしたコンサート。文句なしのmust listenです。
あと毎回一つはある「私の好きな曲ばっかり盛られたコンサート」、今年のベストはラフマニノフの「鐘」&ショスタコ5番でした。

振り返ってみると今年は新しい音楽との出会い要素に関しては(多分自分側の心の余裕の関係で)ちょっとおとなしめだった気がします。でもそれでも聴いたことない曲に触れたり、色んな曲を色んな組み合わせで聴けて、ついでに流し聴きでも面白いハーフタイムトークも聴けて、だいぶ駆け足ながら今年もBBC Promsをめいっぱい楽しみました。来年はもちょっとリアルタイムでゆっくり聴きたいです。
ところでふとこのサイトで調べたら来年のメモリアルイヤーはなかなか大物がいるようです。来年のプログラムにどれくらい反映されるかな・・・?