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お題でプレイリストその7「都会の音楽」

この記事でお知らせすることでないような気もしますが今年もメルボルン市街中心部のビルにある巣にハヤブサ夫婦が戻ってきましたよー。
8月24日時点で卵は1個、交代で抱いてるのでだいたいどちらかが巣にいます。配信はこちら。交代するタイミングで動いてる姿がみれるかも。

という前置きで今日のプレイリストのお題は「都会」です。20世紀以降の音楽ならでは、という題材ですね。
現代になっても、というか現代になるにつれてますます作曲家も(というか人間全般)田舎や自然に憧れる傾向もありますが、そんな中でも都会に関する作品、都会で生まれ育った色が濃い作品も書かれています。

とはいえ20世紀から21世紀まで検索範囲に含めると人間文化のめざましい発展と変化により「都会」も時代によってものすごく変わるもの。共通点といえば夜に灯りがともるようになったことによる夜間の人間の活動、ある程度のごちゃっと感、暗さのなかの明るさによる独特の雰囲気あたりでしょうか。

色々ある中選んでみたのはここらへん。

パウル・ヒンデミットの組曲「1922年」だけちょっと時代が違うけどこれはこれで魅力的な都会とその文化の描写。目新しいだけじゃなく「けしからん」的なフレーバーがあるのは気のせいかな。当時の文化の記録でもありカリカチュア的な側面もある作品だと思ってます。

昔でいうメヌエットやワルツと同じように人が集まる場所には踊りがつきものなのは現代になっても変わらず。1922年組曲もダンスホール的な場所を描いてますが1990年代作曲のトーマス・アデス「Asyla」の第3楽章も当時のダンスフロアーのテクノミュージックが題材。流行の音楽には廃りもありますがクラシック音楽の中に残るという面白い現象。

オーストラリアの現役で活動している作曲家の多くは街で生まれ育っているので都会題材の作品も少なからず書かれています。このプレイリストでいうとStuart Greenbaumの「City Lights a Mile Up」は他の作品の夜の雰囲気とはちょっと違う曲なので入れないわけにはいかなかった。あとチェレスタ。

先ほど人間は田舎や自然に憧れると書きましたがこういう作品を探ってみると大都市への愛を感じます。アイルランド系オーストラリア人の詩人Victor Daleyの「the Call of the City」という詩(英語ですがここで読めます)にあるどうしようもなく惹かれて戻ってきてしまう魔力がある都会、それから漫画BANANA FISHでのアッシュのホームグラウンドとしてのニューヨークの描写と通じるものがあると思います。
その集大成といえる作品がジョン・アダムズの「City Noir」。大都市(アメリカ西海岸だったかな)のダークさとロマンにあふれた、大編成のオーケストラを贅沢に使ったジャズ風味ありの交響詩といった感じの作品です。

ごちゃっとしたところも夜の眩しさも人の様々な活動も合わせて都会の面白さであり魅力で、そんな大都市の風景・雰囲気に音楽を通じてわくわくできる作品揃い。時代的に大都市に対する憧れみたいなものはピークを過ぎて、そのうちノスタルジーとともに都会を描く作品が出てくる方向に向かってるのかも・・・?どちらにしてもちょこちょここういう作品が増えるといいな。