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お題でプレイリストその11「A day in the life of human」

年が明けてやっと安定して夏がきたメルボルンです。「普通」の夏に比べると旅行などの活動は全体的には控えめだそうですし、様々なエリアに影響は少なからずありますがそれでもある程度は夏を楽しんでいる様子が見られます。

海に行くにしても家で洗濯物干すにもだらだらするにもスポーツ観戦するにもカフェに行くにも外で遊ぶにも(注:外に出るときは日焼け対策はしっかりと!)今年の夏は特に「人間が活動してるなー」としみじみします。なのでそんなしみじみを反映すべく2022年最初のプレイリストは「人間が人間してる」「人間の存在と生活を感じる」曲をまとめてみました。

いつもCD一枚分目安に使っててこのテーマで8分残りはあと1曲くらい入れられたかもなー・・・と思ったのですが単純に根気が尽きました。キーワード検索するのにも向かないテーマなのでしょうがない。

でも追加で探すならアメリカ音楽周りにありそうですね。今回選んだ曲もアメリカの作品が多いです。自分の知ってる狭い範囲で歌曲に使われる詩やその他の文学でも大自然をバックにして人間の営みを描く作品が結構ある印象。バーバーの「Knoxville: Summer of 1915」は日常の中のふとした風景と思いを家族の集まりの中の子供の視点で語る、このプレイリストの代表格として選んだ曲です。

上記バーバーとの次に欠かせなかったのがSculthorpeの「Small Town」。ANZACデーなり終戦記念日(第一次世界大戦の)なり、「The Last Post」の音が響くのはそこに人間の営みとコミュニティが続いているから。オーストラリアに住んでいると自然風景の中にはっきりと人間の存在を感じ取ります。

ちょっと方向性が違うけどこれも入れたかったのがアデスの「Life Story」。歌詞となった詩を読んでいると本当になにげない、なりゆきでの人間の出会いと展開が予期せぬエンディングを迎える、日常と隣り合わせの人生の儚さみたいなものがあるユニークな歌曲。他の曲とはまた違った意味でたまらなく「人間だなー」なんですよね。

人間の声を介することなく人間の存在を聞き手に感じさせる曲もいくつか集めてみました。Rigneyの「Two Swings In The Heart Shaped Garden」でブランコの揺れる様子は人が乗ってるそれですし、グローフェの「山道を行く」ではロバの背に揺られ、オルゴールを回す人間がいますし(ロバの存在感の方が強いにしても)、メシアンの「ダイシャクシギ」は灯台の霧笛を鳴らす人が「鳥のカタログ」に唯一出演する人間として描かれています。どういう描写の仕方で存在を感じさせるかまで含めて注目です。

ただこういう作品って単発のものが多い中サティが(各楽章が短いとはいえ)日常の人間の活動を曲集「スポーツと気晴らし」にまとめているのは面白い。そして100年くらい経って流行廃りあるかと思えば今と内容がそんなに変わらない(笑)こういう側面もシリアスな人間の感情や思考に劣らず間違いなく人間の一面で、楽しく愛しい部分です。

今回のプレイリストは人間の日常の範囲内だけど必ずしも毎日見るものではない、ちょっと特別な機会やふとした心の動きによりささやかな何かがふわっとハイライトされたような音楽を選んでみました。作曲家みたいな表現ができるわけではないにしても作品中の&自分の生活や日常を大事にしたいですね。
(それで言うと自分が普段撮る写真もほとんど人間を写さないものばっかりだったのでサムネに良い写真が見つからず。自分こそさりげない人間風景を大切することを肝に銘じないと。)