花とみどりでつながろう! 府中コミュニティガーデン講座@紅葉丘中央公園 第3回『いつもきれいで楽ちんたのしい花壇作り』
前日は大雨でしたが、無事にガーデニング日和となり、今回から初参加の方もお迎えして3回目の講座が始まりました。
前回の振り返りとアンケートの質問への回答
まずは、act634府中スタッフの佐藤さんより、5/25に行われた第2回の講座の振り返りです。
振り返りのポイントは3つ。
①植物の配置、②植えつけのコツ、③水やりの重要性です。
①配置・・・草花がジグザグになる千鳥植えが基本。これは、株間が均等になる、風通しが良くなる。日当たりが均等になる、植物の育つスペースが確保できる、同じ株数でも多く見える、といったメリットがあります。
②植え付けのコツ・・・掘った穴に苗を入れたとき、苗の表土と地面の高さを揃える(深植え、浅植えにしない)、根鉢を指先で軽く押さえて苗を安定させる。これによって早く苗が活着し、成長していきます。
③水やり・・・コミュニティーガーデンでの水やりは、基本的に植え付け時の1回のみ。ここで確実に活着させるため、苗1つあたりたっぷり10秒ずつあげることが重要です。
続いて、前回の講座受講後に皆さんが回答してくださったアンケートの内容の共有と、質問に対する三浦先生からのお答えがありました。質問と回答について紹介すると、
質問①「歩道近くの植物を守る対策など何かありますでしょうか?」
回答:平板や玉竜を配置して植物を守る対策をしています。平板は人の動線を考慮した足場であるとともに、植物のあるところではなく「ここを通って欲しい」というメッセージでもあります。ここを通行する歩行者の方に、その意図が伝わるかは今後検証していきたいです。
質問②「前回5/25に植え付けた植物は、どのようにアレンジしたのでしょうか?」
回答:公共花壇の場合、暴れる(コントロールしきれない)ような植物選びは避けたほうが良いでしょう。こぼれ種でどんどん増えてしまう植物や、背が高くなって倒れ込むような花は植えておらず、基本的に収まりのよい植物を選んでいます。
ざっと説明があったところで、今回の会場に飾られていたウェルカムフラワーアレンジについても、紹介がありました。
この花は、四谷のコミュニティガーデンで切り戻したものです。
もう少ししたら、紅葉丘でも講座で切り戻しした草花を使って、ウェルカムフラワーアレンジができるはず!?です。
座学スタート。少ない労力で最大のリターンを得るための工夫がたくさん
さて、今回の講座のテーマは「いつもきれいで楽ちん 楽しい花壇作り」です。
月1回のコミュニティガーデン講座で行われるお手入れでも、キレイが保てる方法とコツを三浦先生にレクチャーいただきました。
まずは、宮町、四谷でも何度も出てきている3つのキーワードを、紅葉丘の皆さんにもご紹介。
少ない労力で花壇をきれいに保つには、①ローメンテナンス、②エンジョイ、③ローコストの3つが欠かせません。
【コミュニティガーデン3つのキーワード】
①ローメンテナンス
”花壇活動を楽しむ余裕を持つために、管理は楽チンが第1”
丈夫で手間いらずの植物を選び、多年草をベースにした植栽は、少ない植え替えで成長を楽しめます。
②エンジョイ
”つくる人も、見る人も、みんな楽しい!”
花壇の前を通ると、いつもお花が綺麗で、とっても気持ちが良くなる!
花の香りや花の色に癒やされ、つくる人だけでなく、花壇を通る人たちも楽しいとなるような花壇づくりが大事。
③ローコスト
”無理せず長く続けるために、コストはできるだけ低く押さえる!”
一度植えた植物は途中で枯らさず、綺麗な状態を保ち、植物を健全に育てていくのもローコストの一つ。
そして、コミュニティガーデンは、
①みんなで考える ②みんなでつくる ③みんなが楽しめる という3つのステップを経てつくりあげられます。
誰かひとりが一生懸命頑張ったり、声の大きな人が主導するのではなく、コンセプトや花壇の名前、デザイン、植物選びにいたるまで、みんなで考え、みんなで決めて進めて行くことが大事。
そういった合意形成の場と時間も、みんながその場所を「大事」と思うために必要なことです。
三浦先生、谷村先生たち、グリーンワークスの皆さんは、そういったステップを踏んで、いろいろなコミュニティガーデンをつくってきました。
講座では、過去の事例紹介として、調布駅や西調布駅、飛田給駅、府中宮町中央公園、府中四谷懸垂公園、日比谷公園フェリーチェガーデン等の様子が紹介されました。
これらコミュニティガーデンはいずれも市民の人たちが関わり、それによって、コミュニティガーデンが街の風景になっていったところが重要です。
自分たちの街の風景を、市民自らつくり出していくことが、結果的にそこに関わる人たちのやりがい、モチベーションになっていくからです。
最小限の手間で最大限の効果を得るには、”自然の真似をする”のが大事!!!
ローメンテナンスな花壇を実現するには、人の手をかけなくても済むようにするということ。つまり、生態系や生物多様性の仕組みを利用し、できるだけ自然の力を味方につけて運営するのが重要です。生態系を意識したガーデニングによって、病害虫の発生も抑制でき、発生したとしても必要最低限の被害で抑えることができます。
また、人間の手を入れる際も、ローメンテナンスに基づいた考え方が大事です。
それが、作業に優先順位をつける、という考え方です。
これは、宮町でも四谷でも、毎回言われてきたことなので、この先、紅葉丘の皆さんも何度となく聞くことになるはずです。それは・・・・
優先順位①「茶色いもの」を取り除く
「茶色いもの」→落ち葉、花ガラ、枯れた株、花後の球根の茎や葉など「茶色いもの」を取り除くだけで花壇全体がすっきり、花の存在感が増します。
優先順位②エッジ(境)を際立たせる
植物が植えてある部分と植えていない部分のエッジ(境)を明確にすると見た目の印象が変わります。通路と花壇の際を除草するだけでもすっきりとした印象になります。
優先順位③大きくなった草を取る
「選択的除草」→この場所で「育てててもよいな」と思う草と、「ちょっと遠慮してもらいたい草」を見分けて、遠慮してもらいたい草を抜く作業。後者は、覆い被さってほかの植物の光合成を邪魔する草や、成長が早く次回来た時には手がつけられなくなってしまいそうなつる性植物、外来植物などが該当します。
受講生の皆さんからの大切な質問
ここで、受講生の方から
「どうしてお手入れに優先順位を付けるのですか?」
「花ガラを摘むのはなぜですか?」
という質問が出ました。
谷村先生が受講生の皆さんへ問いかけながら、みんなで答えにたどり着きます。
まず最初の問いですが、コミュニティガーデンの活動は基本的に月1回1時間〜2時間程度。限られた時間に、限られた人数で作業を行います。
たくさん時間と人をかけられないからこそ、優先順位をつけて、時間内にできることを済ませる、というわけです。
そのため、講座の作業前には必ず公園内をざっと確認する「ガーデンツアー」をし、植物の状況、必要な手順などを把握します。
もうひとつの質問の花ガラ摘みとは、咲き終わった花を取り除くことです。
植物は、花は咲き終わると種をつくり、次の世代へ命をつなごうとします。そのためにエネルギーを使うため、株が消耗します。植物の営みとしては大事なことなのですが、花壇の花を長く見せるという意味では、妨げになります。
そこで、花がらを摘んで、次の花を咲かせるように促し、長い間花の楽しめる株にするというわけです。
ここまでが座学タイム。
トイレなどを済ませたら、公会堂を出て公園に移動し、これまで学んだことの実践です。
公園へ移動し、ガーデン作業の実践。知っていると、できるは大違い!
まずはガーデンツアーをし、お手入れの優先順位決めです。
先生方は、
1)ブルーサルビア、アンゲロニア、サルビアなどの花がら
2)イネ科の雑草
が気になるとし、班ごとに歩道側の花壇と、野の花花壇(銅像のある花壇)に分かれ、作業に取りかかりました。
まだまだ梅雨の期間はありますが、時折晴れ間ものぞき、蒸し蒸しとしています。
前回の植え付けからはや1か月が経ち、植えた植物だけでなく、雑草たちもしっかり育っています。
ただし、歩道側の花壇を見てみると、雑草の多いところとそうでないところとグラデーションになっています。それを分けていたのは、街路樹のハナミズキの存在。ハナミズキの木陰になっているエリアだけは雑草の勢いが弱く、そういったこともその都度、先生達が説明し、みんなで共有していきました。
ちなみに、多年草が増えていくとこういった雑草は少しずつ減る(生えるエリアがなくなってくるため)とのこと。
今回行った作業をまとめておくと
【歩道花壇】1,2,3班(前半)、4,5班(後半)で10分程度のイネ科の除草作業
取った草:エノコログサ(ネコジャラシ)/メヒシバ/ハマスゲ(玉竜に似ている)
【野の花花壇】4,5班(前半)、1,2,3班(後半)で10分程度の花がら摘みと切り戻し
作業をした多年草:ブルーサルビア、アンゲロニア→1/2カット/アガパンサス→地際からカット/サルビア、ジニア、ペンタス→花ガラつみ/クリスマスローズ→茶色になっている部分をカット
今回の作業で皆さんの心をつかんだ先生たちの言葉は
!!!切り戻しは若返り!!!
花がついているとなかなか枝が切れませんが、切った方が若返ると聞いて、皆さんも少し意識が変化。花を後々まで長く美しく楽しむために、伸びた茎や枝をカットし、若返りを促しました。
休憩後は、全員で【歩道花壇】の除草とお手入れ作業
除草した雑草はハマスゲ、ツユクサ、ドクダミ、ノゲシ、ハキダメギク、トウダイグサ、スベリヒユ、シロザ、エノキグサ、コニシキソウ、アメリカセンダングサなどなど。
除草のポイントは、小さいうちに芽を摘んでおくこと。
さらに、除草後に花がらを摘むと、植え付けた時のように花壇がすっきりし、植物がいきいきと輝いて見えるから不思議です。
最後は【歩道花壇】で三浦先生による多年草のお手入れについて。
多年草のお手入れは、宮町や四谷を経験しているスタッフでも、いまだに勉強中の難しい作業。メモを取る手もつい真剣になります。いくつか紹介すると……
・宿根リアリナ→自立している枝だけ残す
・サルビア・レウカンサ(アメジストセージ)→1/2カットしコンパクトにして花を咲かせる
・カラミンサ→蜜源植物、2/3カットする
・アスチルベ→一年に一回のみ咲く、植え付けて一年目は種をつけないように1/2カット
・ネペタ(キャットミント)→花部分をカットすると秋に再び咲く
・ユーフォルビア→花が終わっているため1/2カット
・三尺バーベナ→倒れてきている辺りでカットすると再び咲く
・ロシアンセージ→花を咲かせずにコンパクトにカットして夏越しをする
・セントランサス→1/2カットし自立をさせる
・アガスターシェ→花穂の下で1/2カット
・オミナエシ、ノコンギク、ソリタゴファイヤーワークス→1/2カット
・ツルバキア、サルビア、チャイブ、アガパンサス→花がら摘み
と、1/2カットが多いものの、一様ではなく、草花によって、あるいは環境によって微調整しているところがまた難しいところです。
また、背の高くなってきているキキョウが2本あったことから、
一本はそのまま、もう一本は花芽はついていないけれど1/2カットし、次回どんな風に変わっているか、実験することとなりました。皆さん、ぜひチェックしてくださいね。
多年草のお手入れポイントをまとめると
・多年草ガーデンは季節ごとのお手入れがかかせない
・次回どんな風になっているか、実験して確認することが大事
・多年草の一年目は、花を咲かせるよりも、土にしっかり根付かせることを目的にする
この日、切り戻した花はご自宅で楽しんで頂けるよう。講座生の皆さんでお持ち帰りすることになりました。
次回4回目の講座は7月27日土曜日。
テーマは『花壇のお手入れと植物の活用』です。
切り戻した花々が夏の日差しを浴び、どんな姿になって皆さんを迎えてくれるか、とても楽しみです。
文:高村良恵/編集:小林 渡