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コンドームってどうやって使うの?

私達のワークショップでは、カラダのしくみを楽しく学ぶことを大切にしています。 科学的な事実から入ると性の話もすんなりと理解できるし、何よりワクワクするような話がたくさんあります。 生理(月経)用品の使い方も、コンドームも、恥ずかしいものではなく日常生活の延長線上にあるものだと考えてます。

さて、先月京都にある私設図書館、梟文庫さんで行ったワークショップを行いました。 こちらは、精神疾患のある方のデイケアで看護士をされていた方が、精神疾患の患者さんも子どもたちも大人も高齢者もそれぞれが地域で安心して過ごせる居場所として図書館という形を作り上げたそうです。 この場所も、そしてワークショップにいらした方との出会いも、本当に素敵な経験でした。素敵すぎてワークショップレポートが遅くなりました。笑

今回は初めて中学1年生~大人までの年齢混ぜこぜで、workshop1,2,3全てを一度に開催!という盛りだくさんワークショップを開催しました。

workshop1『いのちがうまれるしくみのはなし』
内容:生殖に関するカラダの仕組み
実際の様子:https://note.com/acrosstone/n/n22ee2c0509f7workshop2

workshop2『せいり・こころとからだの変化のはなし』
内容:生理時の困りごと、生理用品の使い方
実際の様子:https://note.com/acrosstone/n/nee554c5324e4

workshop3『恋とセックスのはなし』
内容:避妊と性感染症

今回のnoteは初めての開催となったworkshop3について、実際の様子をお伝えします。

まず、導入として『セックスとは?避妊とは?』の話からです。
workshop1ではセックスは生殖のための方法として取り扱いますが、実はセックスはそれだけではないよ、と言う話からスタート。
「ここまでに子どもをつくる方法としてセックスについて学びました。でもセックスは毎回子どもを作ることを目的にしてる訳ではありません。もっと近くに寄り添いたい、愛情やコミュニケーションの方法としてのセックスもあります。
子どもが欲しいとき以外のセックスは、子どもができないようにしなければなりません。子どもを作らないようにする方法を避妊というのだけれど、どんな方法があるか知っていますか?」

みなさんからは、コンドームや低容量ピルといった声が出ました。

そこからは、今回のメインテーマ。コンドームの話。

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私達は性別に関係なくコンドームの使い方を知っていた方が良いと考えてます。実際に使う男の人だけではなく、女の人にも知っておいてほしいと。
なぜなら、セックスは一人だけのためのものではなく、パートナーと協力してする行為です。なので、その中で使うものはお互いに知っておいて欲しいのです。

このようなことを説明したところで、次はカラダの仕組み。『勃起』の仕組みについてです。
「勃起はどのような仕組みで起こるのでしょう?
実は勃起はペニスの筋肉が緩むことから始まります。ペニスの刺激や性的な興奮によりペニスの筋肉が緩むと、ペニスの血管が開き、沢山の血が入ってきます。それと同時にペニスから出る血流の出口が塞がり、血が溜まります。するとペニスが硬くなり勃起します。」

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ここでフニャフニャのペニスと固くなったペニスをみなさんの手元に。
これは布を巻いて作った私達オリジナルの教材。布の巻き方で固さや太さを調節しています。
表面はコンドームを付ける練習がしやすいようにメッシュ素材のもので覆いました。見た目はかわいいですが感触はリアルです。

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ここでコンドームの実物が登場。最近はパッケージ、材質、色々なものが出ていることを見てもらいました。そして、みなさんの手元にコンドームを配布。
「パッケージを触ってもらうとわかりますが、あまり強くありません。財布に保存する人がいますが傷ついてしまうのでやめましょう。あとコンドームは油に弱いものが多いので、化粧ポーチにしまうのも良くないです」

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開封の時にはコンドームを破かないよう端に寄せ爪で破かないように伝えつつ1人1個開封してもらい、次は付け方の話。
「まずフニャフニャだと付けづらいのが分かりますね。なのでしっかりと勃起してる時に付けます。精液ダマりを潰して空気を抜いて、根元までしっかり伸ばします」

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二人一組で、一人が手作りペニスを支え、一人がコンドームを付けます。お互いにやり方を教え合いながらやっている方もいました。

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ここからコンドームの注意点へと移ります。
「このコンドームですが、実は完璧に妊娠が避けられる訳ではありません。失敗する可能性が4~15%あると言われています。失敗する理由の一つは先程やったような正しい使い方をしないから。あとは一番最初にペニスを膣に挿入する前にコンドームを装着していないことが多いのも原因です。最初の挿入時にはコンドーム無しで始めてしまい、射精の少し前に装着する人がいます。しかし、射精前から少しずつ精子が出ていることがあります。だから、挿入する前からコンドームを付けないといけません。」

避妊の失敗の話が出たところで、避妊の成功が高い方法について考えます。
「ところで低容量ピルの成功率はどのくらいだと思いますか?」
ほぼ完璧、という返答がありました。
「そうですね。ちゃんと内服していれば、ほぼ妊娠することはありません。なので、低用量ピルはとても良い避妊の方法です。」

ということは、低用量ピルを内服していればコンドームは使わないでよいのでしょうか?
答えはNOです。子どもをつくることを目的としないセックスでは、コンドームは必須です。なぜ?

「低用量ピルでは防げず、コンドームで防げるものがあるのは知ってますか?」
性病とか、エイズ、クラミジアといった答えが。中学生も名前は知っているようでした。

「性病や性感染はコンドームでは防げますが、低容量ピルでは防げません。ペニスも膣も粘膜が直接触れ合うことで性感染症はうつります。だから子どもを作ることを目的としたセックス以外は全てコンドームを付ける必要があります。」

コンドームは必須であるにも関わらず、実際にコンドームが使われずにセックスする人が多い実情についても触れました。
「実は、セックスの時に色々な理由でコンドームを付けたがらない人が結構います。コンドームがあると気持ちよくない、とか、直接触れ合いたいとか、言う人もいます。子どもを作ることを目的としていないセックスなのに、パートナーがコンドームを使いたがらない場合、どうしたら良いと思いますか?」
ちゃんと使ってと言う!との答えが。頼もしい!!

「そうですね。しっかりとコンドームを付けるよう伝える必要があります。
でも、もしかしたら、そんなことを言ったら嫌われるのでは、とか心配になるかもしれません。好きになった人に嫌われたくないって思うかもしれません。でもそんなので嫌うような相手とのセックスはおススメできません。
コンドームを使おうよ!と気兼ねなく言えるような関係、もし間違った使い方をしてたら教えてあげられるような関係性ができてからセックスをして欲しい。」

中学生から大人までいたワークショップなので、セックスをしたことがある人もない人もいるであろう場ですが、それぞれの状況に応じて改めてセックスについて考えてもらうことが出来たのではないかなと思っています。

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最後に中高生に向けて、ひとこと。
「今日は望まない妊娠や性感染症の話などを沢山したけれど、セックスすること自体を否定してる訳ではないです。お互いの同意のもと、思いやりをもってセックスが出来るような関係性がもてると良いですね。」

もともとこのworkshop3は、workshop1を学んだあとに回を分けて実施する想定でつくったものですが、今回はなかなか行けない京都での開催だったので(詰め込みすぎかな…と危惧しつつも)、workshop1+2+3の同時開催に踏み切りました。結果、中学生たちも約100分の長丁場に集中力が途切れることなく、盛りだくさんな内容も楽しんでくれたようです。

また、夜には同じくworkshop1+2+3で大人向けにも開催しましたが、こちらも様々な背景の方が参加してくださりとても盛り上がりました。

性の話はとても身近な話であり日常生活に密接に関わっているのに、日本では教育であまり扱わない(扱うことができない)ため、大人でも知識が薄かったり、間違っていることが多い分野です。大人向けのワークショップ開催も今後考えていこうと思っていますので、ご要望がある方はご連絡お待ちしております。

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#性感染症 #避妊 #ワークショップ


妻・夫。二人とも医師。子どもに必要な性の知識を楽しく・ポップで・まじめなコンテンツにしてお届けします。 https://acrosstone.jimdofree.com https://www.facebook.com/acrosstone インスタグラム:@acrosstone