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性的同意を思春期のこどもに伝えてみよう

書籍『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』の中で、大きなテーマの一つとしていたのが性的同意。

思春期の子どもに、性的同意をどう教えるのが良いのか。中でも、今まで性の話を全くしてこなかった家庭、反抗期真っ只中でなかなか親子でゆっくり話すことが出来ない家庭で、親は子どもにどう伝えれば良いのか。

そこで考えたのが『セックス性的同意準備シート』。セックスをする際、特に異性間のセックスではペニスを腟に挿入する行為が重視されることが多いですが、挿入行為に同意が必要なことはもちろんのこと、相手にふれるひとつひとつの行為に同意が必要なこと、避妊/性感染症予防方法も事前に双方で確認しておくこと、など、セックス前にパートナーとチェックすることができるシートです。

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こんなシートを、こどもの高校入学時、誕生日、恋人ができたことを知った時など、それぞれのタイミングで、手渡してみるのはいかがでしょう?コンドームと一緒に渡せると更に良い!

「は?」「なにこれ?」「キモイ?」などなど言われてしまうかもしれませんが、言いつつも内容的にちらりと見るはずです。

写真のシートは、書籍『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』の巻末についているものですが、自作でアレンジしてみるのも良いと思います。我が家では、このシートをラミネートして渡そうかな。娘、息子のどちらにも、コンドームをいれた缶(コンドームを破損せずに持ちはこべるように)とともに、それぞれのタイミングで渡す予定です。

ちなみに、書籍での巻末のシートの裏側は、コンドームの使い方。

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この『セックス準備シート』、こどもだけではなく、大人の皆さんも是非使ってみてください。パートナーとのセックス、無理して相手にしたがっていませんか?ひとつひとつの行為、相手が本当に望んでいるかきいたことがありますか?セックスの前にイチャイチャしながらでも、改めて確認してみてください。

性的同意やセックスそのものについて、書籍ではこんな解説をしています。

学校ではセックスについて教えてくれません。可能な限り家庭で伝えて。

「セックスについて親子で話すのはちょっと・・・・・」。家庭や学校で十分な性教育を受けてこなかった親世代がそう感じてしまうのは当然だと思います。ただ、「セックスのしかたを知りたい 「準備しておくことは?」など、思春期の子どもはセックスについて興味津々。

日本性教育協会の調査によると、セックスを初体験する年齢は全体的に遅くなっているものの、中学生までに初体験をする子は少しずつ増えてきています。つまり、中学生も性行為における同意の必要性(性的同意)、性感染症予防・避妊などについて正しい知識をもっと学ぶ必要があるということです。ところが、現在のところ、学校でしっかりと教えてくれるカリキュラムにはなっていません。

一方で、インターネット上には、無料で見られるアダルトコンテンツがたくさんあり、暴力的なものもとても多いです。いまの子どもたちのセックスに関して心配なのは、こうした暴力的なアダルトコンテンツをセックスのお手本にし、性的同意や性感染症予防、避妊などをないがしろにしてしまうことです。

とはいえ、反抗期真っただ中の子どもとセックスについて話し合うのはむずかしいもの。そこで、おすすめなのが「セックス準備シートです」。

恋人ができたら渡したい「セックス準備シート」

「セックス準備シート」は、子どもに正しい性の知識を身につけさせるために有効なツールです。私たちの子どもにも、16歳になったとき、あるいは恋人ができたことを教えてくれたときに、コンドームとともに渡そうと思っています。性感染症予防・避妊についてだけではなく、万が一避妊に失敗したときはどうすればいいのか、といったことも事前に考えられるような工夫もしてあります。

私たちがこのシートでお伝えしたいのは、セックスの時に自分が何をしたいのか、何をしたくないのかをよく考え、相手にも確認し、お互いの意見を尊重してほしいということです。このように相手にひとつひとう同意をとることを「性的同意」といいます。性的同意は、セックスをするか、しないかを確認するだけではありません。セックスでおこなうひとつひとつの行為に対して、お互いの意思を確認し、尊重し合うことが目的です。

性的同意を「紅茶の進め方」にたとえた興味深い動画がYou-tubeにあります(Consent:it's simple as teaと検索してみてください)。他人の紅茶に勝手に砂糖やミルクを入れないのと同様に、相手の意向を無視してセックスをすすめるのはよくない、というメッセージをわかりやすく発信しています。セックスについて子どもにうまく話す自信がない人は、このような動画をさりげなくすすめてみてもいいでしょう。

知識を持つことで初体験は遅くなる。

ドームやこのようなシートを渡すと、セックスをするのが早まってしまうかも、と心配になるかもしれません。しかし、子どもが正しい知識を持つことで、セックスの初体験はおそくなることがオランダや北欧の調査でわかってきています。

大人から「セックスなんてまだ早い」と真実を隠されたり、「セックスなんてしちゃだめ!」と頭ごなしに禁止されたりすると、むしろ反発心からいろいろと体験してみたくなるものです。セックスをする・しないを判断するのは子ども自身であることを前提に、性的同意や性感染症予防・避妊の正しい知識について機会をみて伝えていきましょう。

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コラム:「セックス=ペニスを膣に入れる」ではありません

セックスはペニスを腟にいれるいわゆる「異性間のセックス」以外にも、同性でのセックス、オーラル(口での)セックスなど、誰とするのか何をするのかもさまざま。一口に言いあらわすことはできないものです。

ただ、どんなときも大切なのが「お互いが望んでいて同意がしっかりとれていること」です。セックスは、キスして、お互いのからだをさわり合って、ときにはなめたりする行為も含めてセックスです。挿入できるカップル間なら、最後に挿入するといった一般的な流れがありますが、そのひとつひとつの行為が、お互いがしたいことなのかを確認し合う必要があります。

セックスをレストランでの食事にたとえるなら、コース料理ではなくて、お互い話し合って注文するアラカルトです。お互いに何を食べたいか、嫌いなものはないか、確認しますよね?

セックスにかぎらずほかのこともすべて、パートナー間でお互いの意見をきいて尊重できることはとても大切です。こどもの将来のパートナーシップのために親ができることは、ふだんからこどもの意見をきいて尊重すること。このような親の姿勢が、子どもがセックスを経験するときに相手を尊重できることにつながっていくと私たちは信じています。

そしてもう一つ大切なのは、「性感染症予防をしっかりとすること」。異性であっても、同性であっても、ペニスの挿入行為には性感染症のリスクがあります。挿入行為をせずに、なめるだけでもリスクは生まれることも子どもたちに知ってもらいたいと思っています。

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書籍『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中あこんなことになってるなんて!』は、明日10月2日発売です。

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妻・夫。二人とも医師。子どもに必要な性の知識を楽しく・ポップで・まじめなコンテンツにしてお届けします。 https://acrosstone.jimdofree.com https://www.facebook.com/acrosstone インスタグラム:@acrosstone