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パッシブ運用のエンゲージメントを再考する -レポート紹介-

皆さま、こんにちは。アクロポリス・アドバイザーズです。

今回はニッセイ基礎研究所の金融研究部 準主任研究員・ESG推進室兼任の原田氏が著した「パッシブ運用のエンゲージメントを再考する」をご紹介いたします。


■パッシブ運用のエンゲージメントを再考する

パッシブ運用投資家のエンゲージメントの重要性

2014年に日本版スチュワードシップ・コードが策定され、それ以来、機関投資家と企業のサステナビリティに基づく「エンゲージメント」が推進されています。

2017年にはコードの改訂が行われ、その中でパッシブ運用におけるスチュワードシップ活動が重要視されました。

●改訂後の指針4-3
「パッシブ運用は、投資先企業の株式を売却する選択肢が限られ、中長期的な企業価値の向上を促す必要性が高いことから、機関投資家は、パッシブ運用を行うに当たって、より積極的に中長期的視点に立った対話や議決権行使に取り組むべきである」

パッシブ運用は、ペンチマークの株価指標と同様の運用成果を目指す運用スタイルであり、その性質上株式を保有し続ける必要があります。
そのため個々の投資先企業に対し中長期的視点に立った価値向上を目指すエンゲージメントや議決権行使に取り組むことが重要となります。

これは企業が長期的な計画の下で経営を行う上でも有益であり、企業にとって、パッシブ運用を行う投資家は協力し合って価値向上を目指す最良のパートナーとなります。

パッシブ運用エンゲージメントの課題とそれに対する動き

パッシブ運用におけるエンゲージメントは注目されていますが、課題も多く存在しています。
例えばパッシブ運用は多数の企業に分散して投資を行うため、運用人員数が足りていおらず、効率的かつ効果的なエンゲージメントための体制作りが急務となっています。エンゲージメント件数の増加により、投資家と企業への負荷も年々増加しています。
また、投資家と企業にはそれぞれの視点・味方の違いが存在しており、その認識合わせが重要です(例:企業はESG・SDGsへの取り組みと経営計画が重要視されているが、投資家はそれに加えて対話方針の強化を求めている)。

近年のエンゲージメントに対する動きとしては、「投資家同士の共同エンゲージメント」が挙げられます。
国連責任投資原則(PRI)のプラットフォームやClimate Action 100+など国際イニシアチブ等が積極的に推進しています。

共同エンゲージメントはコスト節約に加え、共通の対象企業を持つ合理的な選択であり、投資家の影響力向上にも貢献すると思われ、課題解決の重要な動きの一つと思います。

アクティブ運用が銘柄選択を通じて優良な企業の選別を行う一方で、パッシブ運用ではこうした長期的なエンゲージメントの強化が進められている。アクティブ運用、パッシブ運用それぞれが取り組みの改善を続けていくことでの株式市場全体の価値向上に期待したいです。

【参考資料】
パッシブ運用のエンゲージメントを再考する

■最後に

今回は、ニッセイ基礎研究所の金融研究部 準主任研究員・ESG推進室兼任の原田氏が著した「パッシブ運用のエンゲージメントを再考する」をご紹介いたしました。

日本株運用の約8割をパッシブ運用が占めており、パッシブ運用投資家と企業とのエンゲージメントは非常に重要だと思われます。
エンゲージメントを通じて企業価値向上に寄与することは、投資家/企業双方にとって大切なことだと思います。

一方で双方適切なエンゲージメントを行うことのできる体制作りが出来ていないという課題があり、その課題の解決が今後の日本企業の価値向上のための重要要素の一つだと思います。

弊社としても引き続きエンゲージメントにおける動向は把握し、発信していきたいと思います。




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