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会計年度任用職員を悪意全開で解説【市役所職員】


 うちの部署では、正規職員の平均残業時間が45時間を超えました。ちなみに私は70時間でした。4月に引き続き、2ヶ月連続で60時間超という始末。一方、会計年度任用職員の残業時間は、平均して5時間もなく、一番残っている人でも10時間は超えていないです。この格差たるや…。

 業務量の差は明らかなのに、仕事が多いと課長にぶー垂れたり、正職からのSOSを拒む会計年度職員もいる始末…。もうね、なんというか…。

 色々と文句を言いたい気持ちは多分にありますが、単なる愚痴で終わってしまっては私の主義に反しますので、ストレス発散と気分転換を兼ねつつ、市役所の会計年度任用職員という働き方について情報発信していこうと思います。はじめに言っておきますが、悪意全開です。ごめんなさい。ときおりシンプルな悪口を言うこともありますけど、全員がそうとは思っていないのでご容赦ください。自分の気持ちの整理のためです。




会計年度任用職員とは

 ざっくりといえば、地方公務員法と地方自治法の改正によって整理された一般職公務員の採用形態の1つです。一般職というのは、特別職以外の職員のことで、皆さんがイメージする役所の人はだいたい一般職です。特別職というのは、国家公務員法/地方公務員法の適用を受けない例外的な公務員のことです。代表的な特別職公務員は、首長や議員ですね。ざっくり、特別な使命がある職員は特別職、それ以外は一般職と整理できます。

 ただ、これまでは特別職と一般職の線引きが自治体によってまちまちだったらしく、単なる事務職員が特別職で採用されているなど、課題が散見されたため、統一的な基準の会計年度任用職員ができました。

 と、総務省の資料に書いてありました(多分間違ってない)。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000638276.pdf

 もっとざっくり申し上げると、名前の由来が、会計年度(1年度)任用(採用)職員ですから、1年度単位で契約を結ぶ契約社員的な公務員です。



会計年度任用職員の闇

 では、会計年度任用職員の闇を悪意全開でお話させていただきます。


(1)低賃金

 まず、給料はめっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃ安いです。詳細はお伝えできませんけど、事務系会計年度の額面は、バイト時代の私の手取り以下です(私は逆に働きすぎ)。会計年度として働いている同僚(20代)に話を聞いても、「とても1人じゃ生活できない」「毎月トントンか赤字」「税金が払えなくて貯金切り崩した」と言っていました。


 会計年度任用職員として働く場合、地域の最低賃金程度だと覚悟してください


 あと、法令上は公務員なので、副業も禁止です。よって、副収入も基本的にないと考えてください。

 ただ、低賃金がそれほど大きな問題になっていないのは、会計年度の大半が他に主収入のある人達だからです。家計の中心というよりは、家計を助けるため、または、社会参加のために働いている人が多いですから、給料のやすさが求人倍率を大幅に下げる原因にはなっていないのだと思います。


(2)不安定な雇用

 公務員といえば安定雇用というイメージですけど、こと会計年度に限って言えばそんなことはありません。先述のとおり、会計年度は1年契約の派遣社員です。毎年更新する・しないの面談がありますし、毎年年度当初は試用期間という扱いを受けます(試用期間中の勤務態度が不良だと契約解除)。

 まぁよっぽどなことがない限りは、そのまま契約更新(1年だけ)になる可能性が高いです。ですが、年度またぎのタイミングで別の部署で任用される(要は異動する)可能性はありますし、人件費を補助金で賄っている部署の場合は、補助金が打ち切られたらスパッと更新を止められます

 今のご時世、正職でも安泰ではありませんけど、足元が崩れるのは会計年度任用職員からだと思います。


(3)つぶしがきかない(かも?)

 これは部署と本人の努力に依りますけど、同じ部署で長く続けても専門性が身につかない可能性があります。

 採用形態や組織の構造上、正規職員が判断し、会計年度が具体的な作業や業務の補助をすることになります。なので、極端な話、正規職員からの指示を機械的に処理しているだけの人もいます。

 機械的な処理だと、自分の担当している業務が、どの制度どの法律に基づいたどのような手続きかは知らないまま、コピーを何部とってこの引き出しへ入れてここのボタンを押すみたいな具体的な作業だけを覚えてしまい、他の部署ではまったく役に立たない知識・技術だけが頭に残る可能性はあります。下手し、ロボットに代替される可能性もあります

 組織での役割上仕方ありませんし、それで優劣をつけるつもりはまったくありませんけど、つぶしをきかそうと思うならば、最低限、自主的な学習はしておくべきです。


(4)レベルがピンキリ

 これは職員の立場から見た闇で、完全に私の悪口なんですけど、人のレベルがピンキリです。人間国宝のような至高の仕事をされる方がいる一方、素人から毛が抜け落ちたくらいの粗末な仕事しかしない人もいます。人格面でも、聖人から畜生までいます。どうしてこのような事態になるのか、採用試験を通過して入っていない人がほとんどだから

 会計年度の採用は、基本的には面接のみ(しかも、職員のような役員面接ではありません)で決まり、筆記試験が課されることは稀です。それに、基本的には人手不足故に募集をかけるので、役所側に人を選ぶが余裕ないことが多いです。なので、職員のレベルに小さくないバラつきが生じます。

 もちろん、これは採用試験を通過した職員にも当てはまりますし、私も身なりを正さないといけないというのは承知のうえです。ですが、傾向として、会計年度のほうがバラつきやすいです。

 あと、正職は数年ごとに異動するため、自分のほうが長くいるから偉いと勘違いする愚か者も少なからず発生します。そんなやつがいると、職場の空気が悪くなることもしばしば。これほんとにやめてほしいです。あ、愚痴です



いい面もある

(1)充実の福利厚生

 賃金面・契約面での課題はあるにせよ、正職の公務員とほぼ同等の手厚い福利厚生が受けられます。公務員といえば額面よりも待遇の良さがメリットですので、部分的とはいえ、これを享受できるのは明確な強みです。

 有給休暇は十分程度使えますし、年2回の賞与も出る。産休・育休・時短勤務も充実しているし、各種手当もきちんと出ます。


(2)公務員という肩書

 普通の人からすれば、正規の職員と会計年度任用職員に違いはなく、どちらも「公務員」です。というか、法令上はどちらも同じ一般職公務員です。よって、採用試験のような狭き門を通らずとも、「公務員」という強い肩書を得ることができます。「市役所で働いている」と言えば世間体は良いですし、履歴書に書くこともできますから転職活動でも活きるでしょう。


(3)ケツは正職が拭いてくれる

 組織の構造上、正職と会計年度任用職員の関係は、社員とバイト、総合職と一般職、将軍と兵士のような関係になります。よって、責任は正職がとって然るべき立場になります。ということで、「公務」という極めて社会的責任の重い仕事に従事しつつ、肝心の社会的責任は正職が代わりに負ってくれます。

 うちの部署の会計年度みたいに、面倒なことや責任のあることは全部正職に放り投げて、自分がしたい仕事だけを時間内にやって、毎日定時で帰るという働き方でも、ほとんど咎められないのは特権だと思います。あ、愚痴です


(4)公務員と出会える

 独身の人に限ったメリットですけど、婚活をするにはこの上ない環境だと思います。身元が保証された公務員がゴロゴロいますからね。日々の業務をしっかりやって、周りの人と良好な関係を築いておけば、自然と良い出会いが増えてくると思います。しかもお金(給料)までもらえる。下手に合コンやマッチングアプリに手を出すよりよっぽど効率的な出会いの場だと思います。実際、ドリームを掴んだケースをいくらか聞きますし。



こんな人におすすめ

 このように、メリット/デメリットがはっきりしている立場なので、おすすめできる人とできない人がはっきりします。以下、独断と偏見で会計年度任用職員をおすすめできる人を挙げていきます。


(1)地元の主婦/夫

 この層には会計年度任用職員を大いにおすすめできます。お近くの市役所で募集があったら、すぐに応募してください。多分すぐ通りますから

 家から近ければ通いやすく、失業(倒産)のリスクも低く、休暇も取りやすく、世間体も良く、異動(仕事覚えなおし)のリスクも(正職に比べれば)低く、お給料も(最低賃金とはいえ)それなりにもらえます。


(2)転職活動中の人

 次の仕事を見つけるまでの場つなぎとして会計年度任用職員を選ぶのも有効な手段だと思います。先述のとおり公務員であることには変わりありませんし、履歴書にもしっかり書けます。「○○市役所勤務」というだけで仕事ができそうと思ってもらえ、食いついてもらえます。実際、私が転職活動した時もそうでした。


(3)公務員と結婚したい人

 これも強いですね。会費不要(しかも給料もらえる)で、職業フィルタ、年収フィルタ、頭脳フィルタを通過した独身者がたくさんいる出会いの場に入れるのと同義です。

 ただ、公務員と結婚するのは、それはそれでしんどさがあるので、その辺は覚悟したほうがいいです。これは別で記事を書く予定です。ちなみに、年齢に比して既婚率高めです。



最後に・・・

 全国で会計年度としてかんばっている皆さん。なんかゴメン。いつも感謝していますよ。いや、本当に。


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