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クラフトだからこそできる柔軟な造りをーhanko屋さんのhonkiー新潟亀田蒸溜所訪問記

こんにちは!有限会社エィコーンのカエです!今回は新潟亀田蒸溜所にお邪魔してきた模様をお届けしたいと思います!それでははじまりはじまり~~

こ、これが蒸溜所の玄関?!

ウイスキーファンの皆様はご存知の方も多いかもしれませんが、実は新潟亀田蒸溜所の母体は、ハンコ業界でシェアNo.1を誇る、「ハンコの大谷」。株式会社大谷が90%超を出資している、大谷の子会社でございます。どうりで玄関がなんか事務所感が強い。(偏見)

中に入ると、各部への内線番号が書かれた電話機が。その中の「総務部」の右横に、テプラで「蒸溜所」の文字が貼られていました。本当に、ハンコ屋さんなんですねぇ~。

エントランスにはWorld Whiskies Awardsの賞状の数々が!!

玄関入って正面には賞状が多数飾られており、ああ、場所間違ってなかった、と少し安堵致しました。にしても凄いですよね!!今や世界に数多ある蒸溜所の中で、これほど評価されるとは…その秘訣とは一体?!

創業年は2019年3月。そして蒸溜開始は2021年2月。
設備の完成に約2年の月日を費やしたのには、コロナの打撃がありました。

まず、物資(設備)が入ってこない。次に、物資が届いても、本来であれば設備原産国の技術者が来て設置を行うものですが、コロナの影響で技術者が来られない。

それをどう乗り越えたかというと、やっとのことで手に入れた設備を、地元の会社に依頼をして、原産国の技術者とWeChat(中国版LINEのようなもの)を通じてやり取りを行い、どうにかこうにか設置したそうです。その際はこの蒸溜所の社長を務める堂田氏も自ら先陣を切って、配線など整備したそう。おかげで、現在の設備に関して、ほとんど熟知されているようです。全くの異業種からの転身なのに、物凄い行動力と情熱!!

この日は堂田社長ご自身にご案内頂く予定でしたが、同氏は体調不良につき、急遽近藤さんと小島さんという、素敵なスタッフの方々にご案内いただきました。

にしても、設備のインストールを自ら行う社長ってまずいらっしゃらないですよね。他の方が書いていらっしゃるインタビュー記事等で、なぜ異業種からウイスキー製造に転身されたのかなど、堂田氏のエピソードが紹介されているものもありますので、ご興味のある方はそちらも検索してみてくださいね~◎
僭越ながら、ざっくりまとめさせていただきますと、元々ウイスキー造りに興味を持たれていて、様々な機会が重なり、情熱が再燃し、着手されたということだそうです。

さて、そんな訳で、様々なご苦労を経て取り付けられた設備の数々を拝見いたしましょう!

入口
英国クリスプ社製のモルト

この時はたまたまノンピート輸入麦芽を仕込んでいらっしゃいました。
※亀田蒸溜所のピート:ノンピートの割合は8:2

モルト。食べました。軽いスナック感覚でおいちー🥰
ミル
ミルはイギリス製ですね~✨
粉砕されたミルはここに溜まります
粉砕された麦芽を覗く弊社社長🥰
今回は社長と二人旅でした!
これが粉砕された麦芽です。オートミールみたいな感じかな?
一回の仕込みで麦芽400kgを使います。

新潟亀田蒸溜所の特徴その①、粉砕割合。ハスク:グリッツ:フラワー=2:6:2。大麦の種類によっては 1.8:6.2:2 なんかにもなるそう。とにかくフラワーの比率が他の蒸溜所よりも大きいのが特徴です。フラワーを多くすると、普通は配管が詰まってしまうようなことが起こるそうですが、こちらではそのようなことが無かったため、限界まで糖の収量を上げるよう、この比率に落ち着いているのだとか!

特徴その②。自社精麦!!
モルトスターから調達する(ピーテッド麦芽は特に)こともあるそうですが、新潟産の大麦を自社で精麦するということもされているのです。

こちらが精麦装置一式
この中で大麦を水に浸すそうです
四角いタンクの中では大麦を乾燥させるのだとか

目指すところは、すべての原材料を新潟産にした、MADE IN NIIGATAのウイスキー。自社で精麦を行っている国内のメーカーといえば、サントリー、秩父蒸溜所、厚岸蒸溜所、そしてこの亀田蒸溜所くらいだそう。(これを読んでいらっしゃるメーカーの皆様、間違いがありましたらご指摘ください💦編集致します!)あのニッカすら、自社精麦はせず、モルトスターから仕入れているそうな。

さて、お次はマッシングの工程。

マッシュタンの下の配線・配管はこんな感じ。
これを自らインストールされたとは…!それも未経験の状態で!
驚愕ですよね😮
マッシュタンはドイツZIEMANN社の中国支社製。
ということで、中国の技術者の方々とWeChatでやり取りしてたという訳なんです。
かなり高い清澄度
香り高く雑味が無くなるようです
オートメーション化されていました。

現在は2番麦汁まで取っているそうですが、近い将来には3番麦汁まで取り、糖の収量を更に上げる計画だそうです。

3番麦汁を入れる予定のタンク

さてさて、お次は発酵の工程です。

こちらは木製の発酵槽(ウォッシュバック)が6つ。
アカシア製3つと、ホワイトオーク製3つ。
1個1個性質が異なるそうで、その都度適切なウォッシュバックを選んでいるのだそう。
麦汁が流し込まれています
発酵中
ウォッシュバックはイタリア製!

夏場は72時間から96時間、冬場は96時間から120時間程度の発酵を行うそうです。発酵時間を長めに取ることで、十分な乳酸菌発酵を促し、複雑な味わいを実現するため。
酵母はいろいろな種類のものを試して使っていらっしゃるとのこと。ディスティラリー酵母、エール酵母、パン酵母、プレス酵母、乾燥酵母…ここも亀田蒸溜所の特徴。「ずっと同じ作り方」をするのではなく、「とにかくどんどん変えていく」。異業種から転職してきた堂田氏ならではのチャレンジングな方針に思わず👏

いよいよ蒸溜の工程ですよ!

初溜器 フォーサイス製 ランタン型
再溜器 フォーサイス製 バルジ型

この組み合わせ、珍しいですよね!
実はロゴのモデルにもなっています。

わかりますか~?!
初溜器、再溜器を上下に配置して、亀のようなシルエットにしている、
一度見たら忘れないロゴですよね。
太く短いラインアームは下向き
スピリッツセーフの中

初溜釜の容量は2000L、再溜釜は1400L。
ミドルカットは官能試験を通じて行われ、初溜液、再溜液、ミドルカット後のハートの部分がそれぞれ下の画像のタンクの中にため込まれます。
ハートは一回に約200Lできるそう。

中に仕切りが入っていて、3槽に分かれています。
10回分のハートを溜めてから、樽詰め!

という訳で、最後は熟成庫です。

空調が効いていてひんやり涼しかったです。

七月の暑い日に伺ったということもあり、空調が稼働していました。湿気もすごいそうで、日によって空調を使ったり、使わなかったりしているようです。
夏は大体34、35℃まで上がり、冬場は-1、-2℃程度まで下がるそう。

可動式のラック!

上でご案内してきた一連の設備、倉庫は、株式会社大谷の敷地内にこじんまりとありましたが、同じ新潟県内の弥彦にも倉庫を持っていらっしゃるそう。そちらはダンネージ式らしいです。
メインはバーボン樽、次にシェリー樽や新樽、ワイン樽、ミズナラ樽など、こちらも幅広く色々試していらっしゃる模様。
クーパレッジも将来的には持ちたいのだとか。

さて、お待ちかねの試飲を頂きながら、
(写真撮り忘れました💦New Pot Niigata(Non Peat)、New Born Non Peat、New Pot Peated、New Born Peatedを頂きました!香り高く味がしっかりしていて、滑らかな印象を受けました)

写真を撮り忘れてしまったため亀田蒸溜所公式HPから拝借💦

恒例の一問一答!

Q.製造開始にあたり、設備導入や製造方法など、どなたに指導を仰いだのでしょうか?
A.ウイスキー文化研究所の土屋守氏に指導を仰ぎ、特別技術顧問として元キリンのチーフブレンダーである早川氏に教えを受けました。設備は木内酒造さんの技術支援を賜り、国内研修は本坊酒造津貫蒸溜所で研修を受けさせていただきました。

Q.バルク原酒を購入して、新潟の地で熟成させ、ブレンドして販売するようなことは検討していらっしゃるのでしょうか?
A.検討していません。しかし自社でグレーンウイスキーを製造し、完全オリジナルのブレンデッドウイスキーを将来的には造りたいと考えています。

Q.新潟亀田蒸溜所の個性とは何か、お聞かせください。
A.トップノートの香りより、余韻の長さと甘さに重きを置いています。

Q.目指すウイスキーについてお聞かせください。
A.香り高く飲みごたえのあるウイスキーです。

Q.これから新潟亀田蒸溜所のウイスキーを飲む皆様にお伝えしたいことがあれば是非お聞かせください。
A.万人受けを狙っていないので、賛否両論はあると思いますが、一度お試し頂けましたら幸いです。

最後に、ご案内してくださった小島さんをパシャリ!

スタッフは全部で五名、コンパクトですが中身がぎっしり詰まった
とても楽しい蒸溜所でした。
新潟亀田蒸溜所の皆さん、どうもありがとうございました!!

今後のリリースが楽しみでなりませんね!
ご覧頂きありがとうございました!今夜もスランジバー🥰