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私たちは、時折、驚くことがあるだろう。
例えば、中国の「ディズニーランド」やら「サンリオピューロランド」もどきのものだ。
つまり、なまじ原形をとどめているだけに、問題がありそうだと思ってしまう。

そんなとき、私たちはどんな感情を抱くだろうか。
なんだか、薄ら寒い、嫌な感じを受けないだろうか。
中国では知的財産法は学習されておらず、ゆえに知的財産権は守られていないのだろうか、と上から目線で言ってみたくなるかもしれない。
そう、さも私たちは「先進国」の人間で、知的財産法を分かっているのだと言わんばかりだ。

ところが、<<まさかの反論>>が中国政府から出ていたことをご存じだろうか。
「みんな、中国が作った漢字を使っているじゃないですか。どうして中国が真似をしてはいけないのですか」
なるほど!思わず私は、ひざを打った。そうだ、漢字も、漢方薬だって、中国から伝来しているものだが、みんな普通に使ってしまっている。

どうやら、中国には「害意(一般的には悪意)」がなさそうなのであった・・。
中国の言い分は、つまり、お互いに真似しているじゃないですか、という所だろう。ビジネスの基本、ギブアンドテイクを地で行くビジネスマンである。

さて、例えばであるが、著作権法=Copyright Lawでは、「偶然、同じ著作物ができてしまっていたとき」には、著作権法違反にはならないとしている。
悪意がない者は罰しても仕方がない、という著作権法の意図が一般人の私たちにも、透けて見えるところだろうと思う。つまりは、「わざとじゃない」ってことだ。

著作権法には<<罰則規定>>があり、それは<<広義の刑法>>と呼ばれるものである。であるからして、著作物をコピーしたり、真似したりすると、広義の刑法(=罰則)の適用という憂き目にあうことになる。

ここで刑法と著作権法が符合するのは「偶然同じ物ができた」ことではなくて「罰則の適用がある」というところだ。

果たして、中国の「ディズニー」や「サンリオ」は著作権法に違反していると言えるのだろうか。

少々難しいが、この中国の「ディズニー」等はなまじ原形をとどめているので「改変」と著作権法上呼ばれる部類の著作権侵害に該当するのではないかという疑いが持たれると私は思う。全く似ていない訳でもなく、かといってコピー商品というには無理がある出来だからである。著作物を「改変」して作ったものは「二次的著作物」と言われており、普通の著作物のコピーとはまた区別されることになる。

「ディズニー」等の会社としてはたまったものではないだろう。だが、中国に悪意はなさそうだ。

ここで、私たちが本件について面食らっていて、笑ってしまった理由が見えてくるかもしれない。実は、これは「原著作物のコピー商品」ではなくて、「原著作物を改変した二次的著作物」だったのだ、ということに思いを致すことで、その理由が見えてくるだろう。問題は、なまじ原形をとどめている、と言う所だと思う。

今まで私たちは「なまじ原形をとどめている著作権法違反を疑われる著作物」を見たことがなかったように思う。これほどまでに【連想】力を用いないと、原形を探索できないコピー商品も珍しい。

そこで、大きなニュースになったのだと思うが、私たちは、中国の漢字や漢方薬に大変お世話になっているのであるから、<<実害のない>>中国国土内で繰り広げられる中国人向けのディズニーなどのアトラクションについては、あまり言及をすべき利益を持っていないのかもしれない、とふと思った。