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【 天才集団R&Dチーム特集企画#4 】「SGXといえば」の櫻井さんをもっと深掘り!

秘密計算や合成データをはじめとしたプライバシーテックの基礎研究を推進するAcompanyの「コア」であり「ブレイン」こと、天才集団”R&Dチーム”。この記事では、R&Dチームメンバーのひとり、櫻井さんに焦点を当てて、今まであまり紹介してこなかった専門性についてインタビュー形式で深掘りしています。

過去すでにアカントピックというオウンドメディアSpotify Podcastでもゆるく深掘りしていますが、大学時代の専門性やAcompany入社後の業務の観点でもっと深掘りして、優秀なメンバーのことを世に押し出していきたい!!というR&Dチームマネージャーの牧野充朗さんのリクエストからこの企画が生まれました!

アカントピックでは、R&D特集回でチームの他メンバーについても配信しているので、ぜひそちらも聴いてみてください!

こちらは上記Podcastの文字起こしで、Acompanyの#バレンタインアドカレ、3日目の記事として投稿します!


Acompanyに入社したきっかけ

戸田:
櫻井さんはたしか、最初はX(旧Twitter)での弊社CRDO近藤さんからのDMをきっかけに入社したと聞いています。その前から近藤さんとは面識があったのですか?

櫻井:
2年弱前ぐらいに前職でやっていたプロジェクトがあまりにも非効率でしょうもなくて、自分は普段あまりボヤかないのですが堪りかねて愚痴を投稿していました。そのときに近藤さんから「ぜひうちに来ませんか?」みたいなDMをいただきましたね。

私はスタートアップ界隈は全然詳しくなかったのですが、話を聞いてみたところ「結構イケるかもしれないな」と。「何様やねん」って感じですけど、それで入社することになりました。

面識は全くありませんでしたね。そのとき初めてフォローされたのか、もともとフォローされていたのかの認識もありませんでした。近藤さんは、私が「未踏」というのをやってたので、その時から知ってくれていたみたいです。

牧野:
面接ではたくさん逆質問したって聞いてますが、何を聞いたんですか?

櫻井:
私は「未踏」とか大学院の研究で技術的なところ、特に秘密計算っていうのをメインでやってたので、その周りの話です。どういう感じでやってて、どういう感じのプロダクトを作ってるのかとか、そういう事柄を中心に色々聞きました。特に技術面だと「お前は面接される側だろう」と言われる程度には聞いていた気がします。笑 でも、色々聞いた結果、ここは多分ガチでやってるなっていうのがわかりました。それで入ったというのがあります。

戸田:
櫻井さんもR&Dの技術ブログを見たり、何かうちのことを調べたりはされたんですか?

櫻井:
そのときは直接近藤さんから色々聞きました。ブログを見たのは確か入社が決まった後ですね。秘密計算技術をキャッチアップするために、ここ見るといいですよみたいな感じで、拝見したのがR&Dの技術ブログだったっていうのは覚えていますね。
総括すると、前の会社が嫌になってるときに、たまたまなんか肌感覚が合いそうな、しかも自分のやりたいことに近いことができそうなAcompanyと巡り会えたという感じになります。普段SGXの話しかしてない自分をよく見つけてくれたなと思います。

専門について

戸田:
今専門の話とかちょっと出てきてましたけど、前職でもその専門領域を生かしてお仕事をされていたんですか?また櫻井さんが入社した当時私は入社手続きを担当していて「月に一回講師をやっているので平日に休みを取れるかどうか」というのやり取りをした覚えがあるのですが、そちらも関係ありますか?

櫻井:
いや、活かせていたら愚痴ってはいないですよ。笑 前職にいたときは、専門はやっている余裕がなかったので完全に凍結状態でした。一応、最後に入ったプロジェクトでは、私が元々セキュリティ系にある程度詳しかったことに気付いていただけたのか、「ちょっとしたセキュリティ上の問題を見てくれ」と依頼がありました。ただ本当にその程度で、それもたかだか普通の暗号化とかの話だったんで、私の専門であるSGXには絡んでこないっていう。

入社当時は、月1で産総研の研究者の人たち相手にSGXについてレクチャーをする講師をやっていたので、入社後すぐに平日に休みを取れるか確認しました。SGXを使って何か社会に役立つことできないかと考えていらっしゃるような、日本で稀に見る方々です。

戸田:
なるほど。稀に見る方々なんですね。笑
櫻井さんがよく、社内版SNSなどでSGXに苦しめられているような発言がありますが、その苦しさの根源は何なのでしょうか?

櫻井:
苦しさの根源は何なんですかね。全てじゃないですかね。この前アドカレで出した記事にそのあたりは結構書いたりしましたけど、やることに際して前例がないことが多いんですよね。

SGXは前例がないケースが多く、見本になるようなものがないから探しに行くけれどもソースも見つからないんです。強いてヒントになるといえば、めちゃくちゃ不親切な英語のドキュメントが稀に役に立つことがあるくらいです。SGXの機能を、実装を全部読んでいってそれでもまだ足りないっていうことも。ぶっつけ本番で試すしかないっていうのが、最近やったタスクだとありましたね。

もちろん私以上のレベルでやられてる方なんかも海外ではいらっしゃいます。英語の文献というのは、大抵の場合はIntel公式の文書なんですよね。海外の文献でいうと、英語圏の誰かか、中国圏の誰かが書いてくれてる文書が結構わかりやすいです。

牧野:
大学のときからやっていて、大学院に入ったと同時に「未踏」に通ったんでしたっけ?

櫻井:
「未踏」は、院の二年で通りました。大学3年間くらいまでは本当に何も考えていませんでしたね。「セキュリティ系の何かができたらいいな」ぐらいの感じでいて。多分これ前回も話したと思うんですけど、今の研究室に配属された際、「ハードウェアに近いところが好きなら、SGXなんてどう?」と紹介されたのが全ての終わりの始まりでした。笑

学部のときは適当に、ある程度支援ソフトみたいなものを使いながら、卒業論文というのを書きました。大学院に進んで一年生のときに、いわゆる「未踏」にも出したBI-SGXっていうシステムの雛形を作ってたんですよね。
申請開始が大学院一年の頃の年明けぐらいだったので、その頃にはいわゆる元となるコアの部分はもう結構完成していました。それを使って「未踏」に申し込んでみたらいいんじゃないか、と指導教員に提案されたので、申し込みました。そこで未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクトマネージャー(以下PM)の方に大いに面倒を見てもらい、お世話になって、対応していただくことになりました。大学院の二年の6月ぐらいから「未踏」を始めました。そして、卒業直前の翌年2月に成果発表という流れになります。

戸田:
すみません、「未踏」とは、そもそも何なのかについて教えてもらってもいいですか?どういう人が何を申し込むんですか?「未踏」に採択されるというのは、どのような意味合いがあるのでしょうか?

櫻井:
独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)の「未踏」ですね。これは「未踏」というぐらいなので、前例がない。ちなみに、IPAというのは応用情報技術者試験を管轄している組織になります。IT系の人材をひたすら発掘したいっていうのが主な目的になっています。

特にIT系において、これは前例がないんじゃないか、みたいなものを一次審査・二次審査を通して、PMによって採用された人たちのみが通れるのが「未踏」になります。採用されても、それを完成させなければならないんですが。

毎年50人弱ぐらいの人たちが、採択されるみたいな場所です。これから発達していきそうな最先端ことや、発展していきそうなことをやってる人たちが集まる場所、という意味を持ちます。もうみんなすごいことばっかりです。

大体6月に開始して、2月に発表なんで8ヶ月弱ありますけれども、最後の方はもう発表とかに追われてしまうので、実質、本当に年内と年明けちょっとが勝負みたいな感じになります。

戸田:
未踏スーパークリエイター2019年度のページ(P.8)で見ると、櫻井さんは早稲田大学のコンピュータサイエンススチューデントワークショップ優秀賞、最優秀賞をはじめ受賞歴がたくさんありますね。すごい!!

櫻井:
私の大学には情報理工学研究科の学科みたいなところがあって、そこの選考にて学生全体でポスターセッションみたいなワークショップを開催していたんですよね。そこでBI-SGXの話などを掲載していたところいただいたものだったりします。「未踏」のおかげもあって、存分に才能を発揮できたかと思います。

戸田:
「未踏」のスーパークリエイターというのはその2019年に選ばれて、ということですか?

櫻井:
これに関してはさらに狭き門でした。「未踏」は、途中で頓挫しちゃう人もいるんですよ。リアルが忙しいとか、思うように行かないとか、人によってへそ曲げちゃう人もいます。思ったより発表を、みんなちゃんと聞いてくれないとか。人によってはそういう人もいるんですよね。なので、そういったことにもならず、最後まで「未踏」としてやりきった上である程度評価できるぐらいの実装力だったりが対象となります。「未踏」が終わった後、3ヶ月くらい後にPMの方が判断して、さらにそこからまた選ばれる、年に20人いるのかなっていう感じのものになります。

戸田:
今聞いても思いましたけど、櫻井さんはすごい忍耐力というか、突き詰める力がありますよね。忍耐する才能は、何を経てそうなったのでしょうか?

櫻井:
それは自分でも本当にあると思います。SGXに鍛えられた、というのもあります。それと、これは話すか悩んだんですが、こっちから潰していかないと生きていけない環境みたいなとこでやってきたのが影響しているのもあると思います。昔から、もう負けたら終わりっていう考えが根底にあって。私は天才的なタイプではないので、忍耐することで、ある程度詰めないと価値がないなっていうのがあるんですよね。

昔から、運動があまり得意じゃなかったんですよ。それでもって、親に厳しく育てられたので、運動は諦めてもらえたものの、その反面勉強についてはみっちり詰められていて。昔から成績は結構取ってるっていう感じでした。小中学校は内申点を徹底的に取っていくタイプの子供でした。

高校で唯一やらかしまして。私は叩き出してた偏差値のところより、若干緩めなとこに入ったんですね。そこで、「これは勉強しなくてもいけるだろう」と、友人と遊☆戯☆王に遊び呆けていたところ、二年生の進学テストの数学1で25点、数学Aで36点なる点数を取ってしまって。ちょっとまずい、みたいな感じになってしまいました。

同様に化学の試験でもやらかしそうになりました。一年生の頃の担当の先生が典型的な「喋ってるだけ」みたいな先生だったんで、面白くなかったので適当にやってました。でも、化学の先生が二年生で変わって、新しく就いた先生の出してきたテストは鬼のように難しかったんです。この先生が、「テストを受けた学生の中で偏差値が40以下だったら地獄みたいな課題を与えるからよろしくね」ってニコニコしながら言ってくるんですよね。どうしようかなと思って私の偏差値見たら40.1だったんすよ。

そこで目覚めましたね。そこで再起しました。その先生の授業がもうめちゃくちゃ面白くてわかりやすくて、今でも恩師です。その先生が、授業は面白いんですけど、テストは鬼のようにスパルタで。平均点が10点、20点みたいな感じでした。その中で先生の派閥に入った人間だけは狂ったように化学をやっていくんで、点数を取れちゃうんですよね。ここで、この派閥に入って持ち直したっていうのがあります。あの先生がいなかったら、多分今ここにいないですね。

極めつけになったのがSGXですね。ここで執念深さなるものが形成されました。SGXの場合は執念というよりかは怨念に近いですけど。笑
意外にSGX以外でも、この「気合」みたいものは役に立つことがあって。この前、古いバイクを買っちゃって、修理してくれるお店まで1キロぐらいあったんですよね。そのバイクのタイヤは空気が抜けてて、なおかつフロントブレーキ引きずってたんで、すごく重くて100メーターくらい転がしたぐらいでJAF呼んだんですよ。そしたら、ナンバーフリーの車両は運べませんって言われたので、「SGXよりかはマシだろう」という気合だけで、残り900メーターくらい運びました。辿り着いたときにはお店の人に爆笑されましたね。「こんな重いのを運んできたんですか?!」と。

牧野:
僕もSGXの話を大分長い間、櫻井さんに勉強会とかもやってもらってちょっとずつ理解してきたんですけど、こんなのをやるんだ、と未だに驚かされますね。

僕は触ったことないものは「こういうふうにデザインされてると、こういう切り口であれば上手くいくようになるから、こういうふうにデザインされてるはず」っていうところから理解していくんです。そうするといざ実際に触ったときに「やっぱりこうなってる」と理解できる。何でもないシステムでも同じようにこれを取っ掛かりに究明してくんですけど、SGXはそれが一切通じないんですよ。本当地道な、何というか忍耐力が要求される。

櫻井:
そうですね、SGXをやっている私の知り合いも相当苦労してます。SGXのドキュメントや調べた結果など、「SGXで苦しむ人間を少しでも減らす」っていうのが「未踏」のときの私の目的でもあったんで、調べた結果は全部外に出すようにしてるんです。よくお世話になった先生とかも相当いろいろな文献に当たって調べて、ここまで来られたんだなって思います。そういうのも含めて、本当に皆さん苦労してるんだなってのは思います。

戸田:
次にそれをAcompanyの仕事とどういう風に結び付けているのか知りたいんですけど、タスクは基本的にSGX担当をやられていますよね。仕事でもSGXのことをずっと考えているんですか?

櫻井:
そうですね。僕は前職では全然SGXは触っていなかったんですけど。Acompanyに来て最初の方も全くTEE関係ない仕事、というかTEEはまだ早いだろうみたいな話がありました。でもある論文をきっかけに、「使えるんじゃない?!」と革命が起きたので、今こうして使うようになっています。

別に最初からSGXだったわけじゃないんですよね。ですけど最近はもっぱらこればっかりです。触るってなってしまうともう「触れる人間」が非常に限られてしまうので。SGXじゃない、TEEのほかの技術だったとしても多分私が担当になっていたであろう気がしますね。

牧野:
TEEがビジネス的にも有効だなってことに気づいて、結構お祭り騒ぎだったんですけど、今のところ櫻井さんしか扱えないという状態ですね。やっぱり、難易度が非常に高いので。SGXを扱える人材を今ちょっと増やそうとしています。正社員ではないんですけどそれこそアドバイザーに入ってもらったり、インターンとしてやってもらったり、という形で。

櫻井:
アドバイザーは、産総研でレクチャーしてた相手の一人だったりします。私の解説を聞いてくださった側です。

戸田:
なるほど!そこにもSGX繋がりが!さすがです。

櫻井さんは社外でのレクチャーや、社内でも勉強会をやられていますよね。教えたり、レクチャーするのはお好きなんですか?

櫻井:
そうですね。今年はそれこそセキュリティキャンプをやらせてもらって、もう4泊5日でひたすら喋るってことをやってました。おそらく大学生以上相手だったら、こういう専門的な話喋るのが好きなんでしょうね。自分で得た知識を、ある程度わかりやすい形で出力するのが結構好きかもしれないです。

戸田:
知っている専門用語を使って説明するのは簡単だと思いますが、櫻井さんはそれを私のような初心者に噛み砕いて説明するのも上手ですよね。

櫻井:
そうですね。取っ掛かりは、なるたけ平易になるように、っていうのはそれこそ「未踏」のアドバイザーさんに言われたことなんですけど、自分の母親が聞いてもわかるように発表しなさいと言われてきましたね。

櫻井さんからみたAcompany

戸田:
櫻井さんから見て今のR&Dチームのメンバーとか、会社の雰囲気とかどんな感じに映っていますか?

櫻井:
忖度なしに、私みたいな気が狂った人間が生きていけるぐらいなので、非常に包容力の高い環境だな、と思います。別にこれは、気が狂っている人間が多いというわけではないです。笑

牧野:
これは、「社会に迎合しない」という意味での「気が狂ってる」ということですね。笑 自分がこだわりを持っているポイントに関しては絶対に曲げないタイプ。

戸田:
櫻井さんのよく言う「気が狂ってる」は「自分を持っている」ということでもあるので、私はとてもポジティブに捉えています。

櫻井:
R&Dチームのメンバーは、数学にとても強い人が多い印象もありますね。私は最後に数学をやったのが大学のいわゆる共通講義なので。なので研究の話に数学が出てくると、全くわかんないですよね。なんかそういうのを見てしまうと自分はR&Dにいていいのかなっていうのを思っちゃたりします。

戸田:
櫻井さんにはSGXという最強の強みがあるので全く問題ないと思います。笑

櫻井さんにとってTEEとは

牧野:
元々、TEEは結構すごい技術なのに、難しすぎてうまく使えないみたいなところからスタートしてるんですよね。櫻井さんのTEEに関する思いというか、こういうふうになってたらいいなみたいなのがあったら聞かせてもらってもいいですか?

櫻井:
まずは使いやすくしろよ、というところですね。笑 やっぱり新しい技術なので、作られたものが企業によって全く別仕様になっているんです。SGXを極めたとて、別のCPUで動くTEEに関しては全く別の使い勝手になってしまうというのは困ります。そこは統一してほしいと思います。

たしかに、開発に使う道具みたいなのを統一しよう!みたいな動きも最近あります。Remote Attestationっていう遠隔で行う確認手続きに関しても、RFCという規格で、最近少し定まりつつあったりするものもあります。

それでもなお、SGXの中でもどこの検証機関を使うかによって変わってくるんで、もう本当に規格がカオスすぎるってのはどうにかしてほしいですね。これは私も含めてどうにかしなきゃいけないんでしょうけど。今TEEで一番今問題だと思うのはここですね。

やっぱりそこの仕様が統一されてないと、例えば何かバグがあったり、セキュリティ上問題があるところがあったとしても、見つけるのが遅れてしまうんですよ。なのでそういったバグを見つけるツールとかも統一化できるぐらい仕様が一緒になってくれるといいですね。

これはある論文の受け売りですけど。Foreshadow / L1 Terminal Faultっていう攻撃の論文の最後に、締めで書かれてた内容です。「統一化されてないと、バグ見つけるのも大変だよ」と。なのでTEEは、今後新しいの作ったら絶対規格化しようぜみたいなことを書いてあって本当にその通りだなってのは思ってます。

牧野:
そのぐちゃぐちゃの黎明期でも扱えてるのが櫻井さんの強みですね。技術としてうまく使えれば有用で、インパクトもあるんですけど難解すぎて習得に年単位でかかっちゃうのが難点ですね。

櫻井:
学部時代はもうほぼ習得の時間でしたね。一応卒論として出したんですけど、文書を見て、コード見てっていうのをひたすら繰り返してました。コードには仕様書に明文化されてない謎の仕様とかもあったりするんで、遭遇次第もうヒントなしで解読するしかないです。これが一番上SGXで辛い瞬間です。それ以外は片っ端から本当に一行レベルでコード潰していくっていう感じですよね。

たまにIntelのQ&Aサイトみたいなフォーラムに、過去の人が質問してくださったやつが載ってたりするんすけど、そもそもそれをどうやって検索に引っかけるかってのがあるんですよ。症状そのまま打ってもそれが出てくるとは限らないので。

もしかしたらこの関数呼び出しのときに落ちるから、ecallで落ちるんじゃないかと予想して、そのワードで調べて初めて出てくるんですよね。なので、「何か動かしたら落ちました」みたいな粒度の調べ方だと、全く出てこないですよね。

戸田:
TEEのコミュニティみたいなのも立ち上げてやってほしいですね。とりあえず櫻井さんに、なにかあったら聞きに来ることができる場所として。

櫻井:
Twitter(現X)がそうなってるかもしれないですね。笑

今後の人生展開

牧野:
今後の人生で何をしていきたいとか、どういうことに関わっていきたいみたいなことがあれば教えてください。

櫻井:
エフェメラルな人生を送ってるからなあ。

30代40代になったときに、別にSGXに限らず、分野のてっぺんに達すればいいなっていうのは思いますね。漠然とした人生を生きてるので。これは普段絶対話さないんですけど、実態はかけ離れたとしても「エリートでいよう」というのを心構えとして持っています。

2009年に出たゲームで、ダライアスバーストってゲームの「Hello 31337」っていう曲が私今でもトップレベルに好きなんですけど、「31337」って「エリート」のLeetspeak表記なんですね。Eを3に、1をL、7をTに見立てると、ELEETとなって綴りは違うんですけどエリートと読めるんですよね。そういう海外のネットのスラングみたいのがあるんですよ。

私はその曲に恥じないというか、その曲に出会ったときに思いましたし、昔からそういようという気位が、要するにプライドみたいのがあります。特定するのはやめてほしいんですけど、私の車のナンバーは歴代全部13-37ですね。もう逃げられないようにしてます。

裏に野心とか、もちろんお金が欲しいってのはあるんですけど、10年後とかにその技術の文句なしの頂点で立てたら、いいかなっていうのは思いますね。もちろん、技術ってのは、お互いに協力しながらやる、誰か1人が極めてるものじゃないので、頂点じゃなくてもいいけど。これは私の人生で2回か3回ぐらいしか喋ったことがない。

戸田:
これは初出し情報をいただけましたね!!ありがとうございます!

なるほど、櫻井さんの反骨精神たるパーソナリティの根源みたいなところまで掘り下げることができました。いや〜まさに深掘りできました!!面白かった。

何度も聞かせていただいていますが、櫻井さんの「自分がSGXに関して苦労して得た知見を、他の人が同じ苦労をしなくていいように世に提供する」スタンスもとても尊敬しています。これからもAcompanyのSGX案件をよろしくお願いします!櫻井さん、牧野さん、ありがとうございました!


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