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理想のキッチン探し51疑念

 本気の物件探しが、なかなか進みません。とうとうノンブルをマルで囲めないようになってしまいました。先日見て前の地域に戻るかどうか葛藤しまくった、久が原の物件は、結局、3件の競合で敗れました。サラリーマン家庭でない私たちは不利だとは思ったのですが……。
 不動産会社のやり方は、会社によって地域によって異なるらしく、東京都区部の西部地域は、早い者勝ちが多いのですが、久が原の物件は東急リバブルだったからか、内見を何件か入れて申し込んだ人から大家が選ぶ方式らしいです。より条件がいい人を入れたい気持ちもわかるけど、借り手の弱者っぷりが目立つこのやり方はどうなんでしょう?
 西部地域の早い者勝ちも公平といえば公平ですが、2021年の今の部屋への引っ越しの際にも目立ったのが、まだ居住中の物件情報を公開して、内見できない状態で申し込みをさせる方式。しかも、中には「見てから断らないでくださいね」と念を押す不動産屋がいる。交渉役をしてくれている夫は、「でも最近は、断ってもいいですとあらかじめ言う人が増えた」とのことでしたが、昨日見つけた東中野のシャーメゾンは、会社の方針(積水ハウス)らしいのですが、内見前に申し込んでも断らないで欲しい、という原則でやっているとのこと。あきれて申し込みを止めました。
  住む家を決める大事な買い物なのに、なぜどんな家か見もしないで決定し、それを正式契約もしていないのに断ったらいけないのでしょう? それって違法ではないのですか? 借り手が素人なのをいいことに、変な商慣行が成り立っていませんか? そもそも、私は東京の更新手数料も、本当に法的に正しいのか疑問を抱いていますが。書類を書いて更新するだけで、なんで一万いくらとかお金を払わないといけないのでしょう? 濡れ手に粟?
 東高円寺は、やはりキッチンの調理台が高いこと、奥の配管を出しっぱなしで何もしない大家は、もしかすると、トラブル対応が悪いかもしれないこと、寝室にしたい部屋が寒そうなことなどから、結局断念しました。また健康を害したら元も子もありません。

健康を害する部屋に住んできて


 私たちはこれまで、収入の割に資料が多いことで、ずっと住宅で苦労してきました。実を言うと、1人暮らしのときからそうです。
 1人暮らしのときは、阪神淡路大震災で家を出たのですが、当時地元に近い大阪の西側、北側エリアは、被災者であっという間に埋まったらしく、土地勘がまったくない大阪市南部に住みました。同僚の男性が紹介してくれた不動産屋で見つけたのですが、住んだ町の治安がいまいちだったのか、かなり恐ろしいセクハラにあい、買い物は商店街でできて便利だったのですが、下町に住むことが怖くてできなくなりました。
 その後夫と出会って東京に出てきたのですが、最初に住んだのは、やはり当時二人とも土地勘がなかった大田区の馬込エリア。南向きのマンションだとエイブルの営業の人に聞いたのに、実は西向きでした。磁石を持っていなかったのが残念だった。西側に面した仕事部屋と寝室は掃き出し窓で、夏場はすだれをかけても、エアコンがまったく昼間効かない。そのうえ、マンションの前の道路は、中原街道と第二京浜の抜け道で、どんどん交通量が増え、そうでなくても震災後のトラウマその他で睡眠が浅くなっていたのが、完全に不眠症になり、うつへまっしぐらに突き進んでしまいました。
 次に住んだのは旗の台の鉄骨住宅で、1階に初老の大家夫妻、2階に2件賃貸の部屋があるという構造。夏暑く冬寒く、キッチンの換気扇は低くておでこをぶつけるし、押入れの奥行きの収納だらけで、モノが死蔵される、取り出しにくくてとっちらかる、という状態。当然うつがよくなるはずもなく、冷えもひどいので、冬は電気ストーブをつけて寝ていました。そのうえ途中でリタイヤした大家さんが毎日家の前でウロウロしていて話しかけてくる。最初のうちは特にどうということもなく、適当におしゃべりしていたのですが、確執のある息子さんと同世代だからか、何だか子どものように親密感情を抱かれたらしく、だんだんうっとおしくなってきました。引っ越し先を検討し始めたところで、たぶん息子さんと大喧嘩したのでしょう。「親に孫を見せてやりたいとは思わないの」などと八つ当たりされ、「私たちにはきょうだいがいて、子どももいるので、私たちの親には孫がいますよ!」と返し、もう我慢しきれず引っ越しました。
 次に引っ越した雪谷は、窓から見える大家さんの花がたくさん植わった裏庭が気に入り、また、メゾネット形式でリビングから仕事場が目に入らなくなったので落ち着いて暮らせました。しかし、東向きで隣のマンションが、ベランダを伝って入り込めそうなほど近いため日当たりが悪かったのです。おかげでキッチンは、冬遭難しそうな気分になるほど寒かった。狭すぎて暖房も入らないし、カウンターの開口部だけでは奥にあるエアコンの暖気も届きません。
 それで今のところです。ようやく日当たりがよくうるさくもない、そしてキッチンは理想へ8割。ここへきて、睡眠障害が一気になくなりました。でも、この部屋は10年後に取り壊されるうえ、今年の7月から前にある空き地で大きなマンションが建つ。だから、引っ越さなければならないのに、まっとうそうな物件はとにかく、競争率が高く敗れる。旧耐震基準の家とか寒そうな家とかはらくらく住めそうなんですけどね。
 健康で文化的な最低限の生活、なんて東京の場合、満たされるのは年収2000万円ぐらいないとダメなんじゃないでしょうかね。健康を取れば文化がないかもしれない。郊外は大店法以降、どんどん破壊されていってチェーン店だらけになっていますし、カフェも本屋もなくて、家で仕事をしている私には、一息つけそうな場所が本当にない。でもそれに目をつぶってしょっちゅう都会に出ていくのが、現実的な選択かもしれません。

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