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理想のキッチン探し㉚大船

 都内へのアクセスが比較的よいちょっと遠方の地域だったら、私たちでも手が出る広い部屋があるんじゃないかと、大船へ行ってきました。大船は鎌倉市だけど、京浜東北線・湘南新宿ライン・横須賀線で都心へ出られる。湘南新宿ラインで新宿までは46分、東京駅へも47分、片道1000円弱はかかるけど。でも鎌倉と横浜の中心部へ近く、海が近いので光が明るくてきれい。神戸を思い出させてくれます。

 私が、チェーン店だけの町は苦手、商店街もあったほうがいい、と言っているので、夫が調べてくれた商店街がにぎやかな街です。何といっても大船は魚の鮮度が抜群。トップの写真は、何かあれば紹介される人気の魚屋さんで、帰りはちゃっかり魚を買って帰りました。お昼もここの2階の回転ずし屋へ。鮮度はばっちりです。

 しかも再開発も進んでいて、駅前でも商店街だけでなく、よくあるショッピングモール的なものも。成城石井もカルディもオーガニック食材店もファッションフロアもあります。駅前商店街は再開発の話はだいぶ前から持ち上がっているけど、地権が入り乱れて難しいんだとか。そのまま商店街があってほしい。何だかまともに生活機能を持った商店街が各地でどんどんなくなっていて、本当に寂しい限りなので。私ももう、昭和世代なので時代から取り残されているのかも……と思わなくもないですが、規格化された大手の融通の利かなさが、不便な場合もあります。

徒歩20分のライオンズマンション・リノベ可

 この日は1時間半もかけて出かけたので、一気に3軒観ました。1軒目は、駅から徒歩20分、平坦な道を行く閑静な住宅街にあるライオンズマンション。1999年に建ったのですが、37年後には更地にする定期借地権だそうで、103.50㎡もある割にはお安くなっていました。

 部屋は4LDK+、窓付きで部屋としか思えない5.2畳のサービスルーム。南西向きのリビングの窓からは美しい竹林が臨めました。さすがライオンズマンションで構造はがっしりしていて、しかも角部屋で廊下に面した窓もプライバシーが守られていて、3面採光です。建て込んでいないので、隣の建物を気にすることはないのもいい。わが家は布団を使うのと、私が寝転がりたいので押入れ付きの和室が1部屋欲しいのですが、ちゃんとあります。

 梁が多いのですが、不動産屋さんによると、90年代後半は阪神淡路大震災の後で耐震性をよく考えた時期で、それでがっしりした梁が目立つんだそうです。勉強になります。

 キッチンはこんな感じ。

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図面で見るとこんな感じです。

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カウンター式キッチンで、背面は洗面所に通じるドアがあります。2ウエイ動線は今の部屋でとても便利だと知ったので魅力なのですが、ちょっとキッチンスペースが狭い。そして、世の中の物件にめっちゃ多いパターンですが、冷蔵庫スペースは、基本奥のコンロ前が設定されています。今のキッチンより50センチほど幅が広いので、取り替えたら私の理想の配置ができそう。いや、今も配置的には悪くないんですが、何しろ23年使われてきたので、引っ越すとすれば交換したほうがよさそうです。そして、キッチンを少し前に出すことはできる、と説明をいただいたので、背面の余裕も作れそうです。カウンター式は、配膳の時に2人いないと不便なのですが、この位置では独立型にはしにくそう。本当は壁側にキッチンを置いて、今のキッチンがある側にドアを設けるのもいいのではないかと思ったりするのですが。

 壁紙を張り替えるとかほかの部屋もリフォームは必要そうですが、こんなに広ければ本も置き放題です。地震にも強そうだし。定期借地権とは言え37年もあれば、その間に寿命が来るのではないかと思います。50代にもなると、家を考えるときに自分の人生の残り時間を意識せざるを得ません。

 問題はやっぱり遠いこと。大船というだけで遠いのに、さらに徒歩20分。マンションの近くには、1か所飲食店らしき店と、クリーニング屋、コンビニはありましたが、買い物は駅前までいかざるをえない。バスもありますが……。

階段でほぼ4階の部屋

 次は、大船駅から徒歩10分ちょっと、と言われましたが、物件資料には15分とある坂の途中のマンションです。1989年に建った94.48㎡の3LDK。3階と聞いていたのに、坂にあるせいかほぼ4階といえる階段を上ります。しかも、ちょっときつい。雨の日は階段で雨に降られそうです。

 部屋は広いのですが、ギリ昭和のせいか、なぜかクローゼットが全部元押入れっぽく、奥行きが深くて真ん中に段があります。買えば手を入れることはできるのですが、いちいち押入れの深さはモノを死蔵しそう。箪笥とか本棚とか入れるか―というサイズ感です。今、押入れ以外の収納の奥行きが浅めで取り出しやすいし、昔住んだ部屋で、シンクの前に奥行きの深い収納棚があってぐちゃぐちゃになってしまったので、深い収納は警戒してしまいます。

 キッチンはコンロと換気扇を最近取り替えたそうですが、本体は昔のままだそうで、扉の建付けが悪い。換気扇もフィルターをつけないといけないやつ。難しいのはDKの構造になっていることで、そうすると、電子レンジその他を置く棚の動線が悪くなってしまう。冷蔵庫用に設けられた壁も狭い。

 バルコニーが最上階でアクリル製っぽい屋根がついているのですが、そこからしたたる雨だれが内側で筋になっていてなんとも汚い……。お風呂も狭くどうも使い勝手が悪そうなんです。何といっても、階段がきつい。この部屋はないな、と出てすぐに私は言いました。一応写真と図面はこちら。

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坂をいくつも超えたリノベ済みマンション

 最後は、駅の反対方向にあるマンションで、駅で待ち合わせた不動産屋さんに車で連れて行ってもらいました。ほぼこの道しかない、というバスが通る道で、坂を上る感じです。しかも、バス停からマンションへの小道がなかなか急な坂。その先におしゃれな日本家屋風の庭などがあしらわれたマンションがありました。通用口からのほうが近いというので、そちらから入ったのですが、道が若干わかりにくい。まっすぐじゃなくて階段を上り下りするんですよね。間に木が植わっていたりして、楽しい小道を演出しているのはわかるのですが、通路の壁が光をさえぎっていて暗い。

 部屋は南向きなのですが、82.36㎡で1LDK+2Sという設計。南向きのLDKは確かに明るいのですが、北向きの個室がほぼ光が入ってこない。窓に面して通路で薄暗い。光はほぼ臨めない部屋が、仕事部屋もしくは寝室になります。洋室しかありません。リノベ済みでモデルルームみたいにLDKをしつらえてあって、おしゃれなんですが、そのライフスタイルはわたしのものではない。なぜかLDKの一角が狭めのウォークインクローゼットになっていて、そのために本棚を置ける壁が少ない。クローゼットに本棚を置くほどのスペースもない。個室も窓があるので置きにくい。窓をつぶすのも手ですが、よく考えればそれだと通風が悪くなる。

 カウンター式2列で、背面に家電収納や食器棚になる棚が置いてあって至れり尽くせりなんですが、私が欲しいキッチンではない。トクラス製です。困るのは、キッチンカウンターが人造大理石製の真っ白なものになっていること。汚れがこびりつきそうです。茶渋とか絶対ついちゃう。食事以外でもお茶を毎日飲むので、これは困る。キッチン下収納が全部引き出しというのも、一見便利そうですが、最近、引き出しの一部を食器棚にして気づきました。引き出しだと中のモノが動きやすい。

 生ごみなどのゴミ箱もびっしり家電収納の下に用意されているのですが、それも引き出しなので、めんどくさい。隠したい人にはいいんでしょうけど。シンク下も引き出しで収納力はあるのですが、包丁がギリギリ4本しか入らない。うちは果物ナイフも入れて8本ぐらいあるので、一般的なモノのほうが、一度に2本入れられて便利なんだけどなあ。横に包丁立てを置くと何とかなりそうではありますが。

 なんか、システムキッチンは便利そうだけど、でも好みや生活スタイルに合っていなければちっとも便利でないことが、まざまざと浮かぶキッチンでした。この部屋も、北側の生活条件の悪さと、坂の多さでダメ。神奈川県の沿岸部は光は魅力的だし何だか開放的で素敵なんですが、坂が多いのでなかなか大変な位置にある可能性の高さを知らされました。

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 それにしても、どれも駅から遠く、大船が東京から遠いとはいえ便利ですし、何と言っても鎌倉市というブランド都市。不動産の価格はあまり都区内と変わらない印象です。今の部屋を探すときにも感じましたが、どうも私たちに広くて便利な部屋は分不相応なようです。どうしてこんなに資料ばっかり必要なのに、ギャラが安い生活なんだろう……。資料を減らしたら狭い部屋でも住めるけど、そうすると仕事ができなくなる。歴史なんて手を出したことがまずかった、という気になってきます。そうしなければ多分、今頃仕事なんてなくなっていただろうにも関わらず。私はちゃんと世の中に役立っているんでしょうか? 借りるにしても買うにしても、結局家探しはお金持ち中心の世界なのでしょうか。

 でも、ちょっと珍しい好条件の今の部屋に住み始めて気づいたのですが、これまでは都心へ便利でかつ広め、という条件の部屋を探して難があるところに住んできたことが、結局健康を損ねていた。お金がなくて割安な加工食品その他に頼ると健康を損ねる人が多いらしいことには、食の仕事をしてきて気づいていたのですが、住まいも同じだった。結局、健康はお金で買うもので、そのお金はずいぶん高くつくんだ、ということに気づかされる経験です。こういうとこだけ、説得力を持てる体験をしてしまう私でした……。


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