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看護師への茨の道 vol.2

寄って下さってありがとう。

さて続き...また長いけど(苦笑)

精神科実習凄かった。
濃い!

凄かったばっかやーんって突っ込まんといてね

ドラマか?映画?みたいな。
大学病院の中でも
開放病棟と閉鎖病棟がある規模と
治療可能というのは珍しいと
その当時言われてた気がするけど

わたしはくじ引きで
前のグループで友達が受け持っていた
中学生の女の子を
続けて受け持ちました。
開放病棟に出てこられたという事だったから
ちょっと安心してたんだけど

違った...

はじめましてのご挨拶の後
照れたような
恥ずかしそうにしていた彼女だけど
わたしが帰ったと気がついた彼女は
病状が不安定になってそのまま閉鎖病棟へ
翌日わたしが考えて持参した看護計画は
白紙になり...
閉鎖病棟の看護を
また改めて深く学び直す事になりました。

閉鎖病棟見たことある人少ないよね
簡単に言うと
部屋の中に部屋があるイメージで
そこにトイレとベッドがある
壁の色は刺激しないようグレー
壁の後ろ(側道みたいな)通路があって
部屋の奥側に行けるんだけど
部屋の奥側は鉄格子で
換気できる窓が1つ
もちろん患者さんからは窓は届きません。
ドアは外からしか開かない
ドアにタテ10cmヨコ20cmくらいの小窓あり
2人で入る、一人での入室は禁止

会話するのもこの裏通路を通って
鉄格子越しに
会話する、
イメージ湧きました?

で、わたしは裏通路を抜けて挨拶を済ませ、
何かあったらいつでも呼んで下さい
と鉄格子からまたナースステーションに戻り
彼女の経過や治療方針などを
確認したり、何ができるか
何をしてはいけないのか
を担当ナースに聞くなどしてたんです。

そしたら叫び声が聞こえます。
ドアの小窓から
わたしを呼ぶ声です。
担当ナースではなくわたしを呼ぶ...

行って来なさいと
担当ナースに言われたので
すぐに行きました。

今思えば、顔が見えるだけで
彼女は安心してたんだな。
でも当時はわからない。

お話もまとまりがないし
質問にちゃんと答えているとも限らない。
診察や投薬の時間に
ドクターとナースが部屋に入るのも
鉄格子越しに見学する、だけ。

内容確認したいから
また一旦ナースステーションに戻る事を
伝えると分かったと返事はするけど
ものの3分でまた叫んでわたしを呼ぶ。

この毎日でした。
病室とナースステーションの往復。

段々会話の中できっとこれは本心だな
と思うことも出てきて、
彼女の中学生らしいあどけなさなども
可愛く思えたりもし出した頃

彼女の精神崩壊のきっかけを
彼女自身が教えてくれました。

彼女の父親は自死を選び
彼女は第1発見者でした。
ぶら下がった父親を
帰宅後一人で見つけた。

そこからしばらくは普通だったけど
だんだん家族という単位が社会が
狂ってきて、彼女も同調したと。

前の受け持ちだったわたしの友達は
この情報は知らなかったし
大人しくてあんまり喋ってくれないと
聞いていたので
当然わたしも知りません。
学校の先生も受け持ちに
できるケースだと思ったほどだから。

担当ナースもドクターも
初診時(入院も同時)に家族に聞いただけで
彼女本人から聞いていないから
なんで学生ごときに?という
つめたーい目線を浴びながら...

そこから彼女の
身体の声が出始めます。
あ、身体の声が出てきたと思ったのは
わたしが思ってただけで
ドクターやナースは医療として
彼女を診察し診断し治療していました。

彼女は溜め込んだ感情を
吐き出しました。
わたしがいる時間だけ
吐き出します。
わたしが帰ると黙秘に近かったらしいです。

吐き出すって
言葉だけじゃあないよ
嘔吐、下痢、放尿、汗、唾
いっぱいわたし浴びました。
マジで浴びたよ〜あはは

お水もぶっかけられたし
食事のパンや
おかゆもぶっかけられたなぁ

遠い目しちゃうわ〜
着替え足りんって思ったなぁ。

ある朝下剤を投与され1週間ぶりくらい

お通じ出し切ってたはずなのに
水洗トイレが流れないほどの
お通じを出し切って
彼女の身体は落ち着きます。

彼女はわたしに最後にこう言いました。
春、絶対退院して会いに行くからね!

直感だったけど確信した。
きっと彼女は一気に良くなる時がくる!!!

そしてこの辺りから
医療ってなんなんだろう?
診断ってなんだろう?
薬ってなんだろう?って
わたしの中に小さい光が生まれた。

実習の最後の日
精神科医局長とカンファレンスがあって
ドクターに患者さんのこういう面と
また別の面とが訴えとして出てきた時
あなた(名指しだった)はどう捉える?
と聞かれ、即答、
「どれもその方の感情だから
良いも悪いもないというスタンスで
向き合って行きたい」と答えていた。
はい、ここに口約束の
就職内定頂いた次第です。
あはは。


そしてミラクルよミラクル

半年が過ぎ
他科の実習も終わり

他科の話はパート3になるか?な?

国家資格の受験勉強を図書館で
友達とうんざりしながらやってたところに

あの中学生の彼女が
ニコニコして手を振って
「退院したよーーー!
会いたかったーー!
寂しかったーーー!
でも、ありがとうーーー!」

って来てくれたのーーーー!

顔があまりにも変わってた
肌の艶も中学生らしく
ちょっと太って。
最初わからなくて
声からもしかしたらってくらいの
明るく可愛らしくなってました。

退院して最初の通院の日で
学校に問い合わせて
居るなら図書館かなと言われたと。

そして退院までの経過を聞いたら

身体からの声が止まってから
一気に治っちゃったみたいで
「先生たちもびっくりだったんだよ〜」って。

...おーーーーー
良かったね〜
退院おめでとう!

って後の会話は世間話で
さようならしました。

彼女は今どうしているかなぁ
と思い出す時があります。

彼女のお蔭で
わたしはまた違う扉が
開いた気がする。

パート3へ
助産師になろうと思ったきっかけ
に続きまーす。

長いことお付き合い
ありがとうございました。






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