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ポストカード|春

 母と訪れた花屋さんでアカシアの花を買った。
そして買ったばかりのカメラで写真を撮りポストカードにした。

 祖母は元気にしているかな?

 私の祖母はグループホームに入ってもう何年も経つ。
幼少期から祖母の家で過ごす機会の多かった私はとてもおばあちゃん子だった。大人になってからは昔のように一日中一緒に過ごすことはなくても、自分の車を祖母の家の駐車場に停め、朝と夜は一言だけ交わした。

 そんな祖母も少しづつ認知症が進み、グループホームに入った。それからは年に1-2回会いに行くくらいになってしまった。私のこともほとんど分かっていないけれど、名前を伝えれば聞いたことあるくらいには思い出してくれているのかもしれない。

 忙しい日々の中で祖母のこと毎日思い出すわけではないけれど、時々「おばあちゃん元気かな?」と考える。体は少しづつ衰えてはいるが、病気をすることもなく、薬も服用しておらずとても元気だ。けれど、もう90歳を過ぎた祖母がこの先長いとは思えない。いつかその時が来た時に会いに行けなかったことや寂しい思いをさせてしまったのではないかと後悔しそうだなとも時々考える。

 祖母に手紙を書こうと思った。それもちゃんと継続して書こう。差出人は誰かもはっきりとは分からないけれど、定期的に手紙が届くことは日々の楽しみになるかもしれないと思った。さすがに毎回便箋いっぱいの文章を書く自信はなかったのでポストカードにしようと思った。そしてアカシアのポストカードを作った。

 この文章を書きながら昔のことを思い出し、時が経つことが少し悲しいような気持にもなった。祖母の悲しい顔を私は見たことがない。子供や孫が大きくなって遠くなっても、それは良いこととして穏やかに受け止めていたように思う。それは認知症が進んでからも同じだと思う。だから私も時が経った今を穏やかに受け入れて、自分のできる範囲で感謝を伝えたいと思う。 

よし、早速手紙を書こう。

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