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チャリダーアキの自転車世界旅行 オーストラリア一周編(15)


ナラボー前夜2


 Munglinup(マングリナップ)からNoseman(ノースマン)までの道のりでは、毎日リオンと顔を合わせていた。一緒に走ったことは一度もない。毎日彼に追い越される時に挨拶をし、そろそろテントを張ろうと思った時には彼のテントがそこにあった。自転車のスピードが速すぎる彼は、他人と一緒に走るのを好まないと言う。この頃の僕も1人の方が気楽だったので丁度良かったし、何よりも彼のスピードが速すぎて全くついていけなかった。
 
 ノースマンの町にキャンプ場は1つしか無いので当然リオンと一緒になる。2人の関心事はただ1つ。買い物だ。この町がナラボーの入り口となり、次の町Ceduna(セドゥナ)までは1200kmもある。食料を積み込めるだけ積み込まなければならなかった。たしか東京から大阪までが500kmくらい、福岡まで行っても1100kmのはずで、それ以上の距離を走らなければ次のスーパーマーケットは無いということになる。
 
 ツナ缶、オイルサーディン(いわし)等の缶詰は日持ちするのでとても優秀。まずは買い込む。この町のローカルスーパーには、お気に入りの鯖(さば)缶は置いていなかった。鯖缶に味噌と生羌をいれて煮込んで「鯖の味噌煮」を作るのがこの頃のお気に入りだったのだが。
 人参1kg、玉葱1kg、ジャガ芋1kgを買い込む。暑さに強い人参はとても優秀で、これまでも助けられてきた。意外だったのだが、ジャガ芋は暑さに非常に弱かった。スーパーで買ったばかりのジャガ芋が、気温40°超えの走行半日で腐って異臭を放つということを何度も経験してきた。芋類は標高の高いアンデスが原産地というのが理由だろうか?人参とジャガ芋の中間くらいが玉葱という感じだ。
 何にせよ今はオーストラリアの南側、ほどよく南極に近いため、これまでに比べれば暑さは和らいでいる。
 肉類は自転車で運ぶのは無理だと思っていたが、この頃サラミの存在に気が付いていた。サラミはビニールで密閉されているので、常温でも4、5日はどうにか食べられる。自転車で運べる貴重な肉類なので割高であるが購入した。
 他にも日持ちしそうな食料を買い込めるだけ買い込んだ。とにかく、次のスーパーマーケットは1200km先なのだ。
 
明日の朝、自転車に積み込めるのか心配だ……

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