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会社にドローンがやってきた(全24話)

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ひょんなことから会社で購入したドローンが、誰一人予備知識の無い中、仕事で飛ばせるようになるまでの奮闘記をまとめています。 話が順を追って進んでいくため、はじめてお越しの方は最初…
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2023年6月の記事一覧

【会社にドローンがやってきた:02】プロローグ

2022.10月 「誰かドローンに興味ある人、いますか?」 会社の朝礼でのリーダーの一言。 あぁ、ドローンね・・・。事故とか迷惑行為などがニュースになって、言葉の響きもオバケのような、あれね。それがなにか? 話によると、「今後、空撮の依頼が来そうだからドローンを購入した。操縦者を決めたい。」とのこと。 会社の中心業務は不動産のホームページ制作なので、トップページにドローンで撮影した動画を載せるのを想定しているのだろう。 空を飛ぶラジコンへの興味が無かったわけではなく、群

【会社にドローンがやってきた:03】その名は「dji mini 3 pro」

2022.10月末日 その後、予備知識を得る努力をすることなく過ごし、数日後にドローン到着。 予想したよりも小さな箱には「dji mini 3 pro」と書いてある。10万円オーバーのオモチャを前にして、少しの緊張と多くのワクワクを感じながら早速開封。 僕はこういう時は最初に説明書を読むタイプなので探してみるが、それらしきものは見つからない。 ああ、お前もAppleタイプか・・・。 説明書はネットで見ろと。はいはい、わかりましたよ。 70ページほどある説明書を印刷した

【会社にドローンがやってきた:04】天国から地獄へ

2022年11月上旬 「機体登録」とはクルマのナンバープレートのようなもの。これは説明書や電源よりも前にやるべきなのでは?と思いはじめ、優先順位を変更する。 その後、この機体の初期設定について解説しているYouTubeを発見し視聴すると、目の前に次々とハードルが現れる。 なんだこれは・・・。 あまりの手続きの多さに愕然とする。クルマに例えるなら、今は免許なしで新車を買った状態に近い。ナンバー取得、車庫証明、自賠責保険、任意保険、そして免許。公道を走る前にやるべきことが色

【会社にドローンがやってきた:05】情報収集中のサプライズ

2022年11月中旬 機体を登録するには、順を追っていかねばならない。おそらく登録の段階までに新しい情報も出てくるだろう。 ということで、飛ばすには多くの準備が必要だということを会社から理解を得た上で、機体登録以外の情報も広く収集していく。 ▪️必要な備品の選定: 実務で使用するためには、映像を記憶するSDカードや充電器が不可欠。そう、機体に充電器は付属していない。不親切と思う半面、国によって規格が異なるコンセント形状にいちいち合わせなくても良いので、合理的とも言える。SD

【会社にドローンがやってきた:06】機体登録アゲイン

2022年11月下旬 「2台目のドローンを購入した」 え?2台目? 親会社からの報告で、同じ機体をもう一台買ったとのこと。その経緯は一兵卒の僕が知る由もないが、配属先はどこの事務所なんだろう。 会社名義での機体登録は、所有者(親会社)のほかに、機体と操縦者を管理する「使用者」の記入が必要となる。そのため配属先は予め決めておかなくてはならない。 グループ会社内に、ドローンに興味を持つスタッフが情報共有するweb掲示板があり、そこでも協議したが、現時点で業務でドローンを使用

【会社にドローンがやってきた:07】室内練習&次なる課題

2022年12月上旬 さあ、飛ばすぞ。 しかしその前に送信機のモードを決めねば。以下、ざっくり違いを解説。 ▪️モード1: 日本国内のラジコンヘリコプター等は、このモードが標準。そのため国内では主流という意見も。 ▪️モード2: 海外ではこちらが主流。 もちろん迷ったが、モード2を選択。海外で主流ということは、人間工学的にこっちほうが良いのでは?と勝手に想像。 同じ機体を交代で使用する場面でモード1と2の人が混在していたとしても、切り替えは送信機で一瞬でできるため

【会社にドローンがやってきた:08】シミュレーターを活用する

画像引用:dji virtual fright 2022年12月上旬 ドローンスクール体験よりも前に始めていたことがあった。 かつて熱中したラジコンカーのように無意識で指が動くようになるには、練習あるのみである。しかしオフィスで周囲の空気を気にせずに飛ばせる時間は、そう多くはない。 そこで目をつけたのがシミュレーターアプリ。色々あるが、ここはメーカー純正の「dji vertual fright」を迷わず選択。 アプリをインストールし、通勤電車で練習する日々がスタート。空

【会社にドローンがやってきた:09】ドローンスクール体験で知った衝撃の事実

(2022年12月上旬) 熱中すると1人で突っ走ってしまいがちなワタシだが、会社のドローン担当は僕1人ではない。 共に歩んできた同僚のH君と相談し、まずは彼が先にドローンスクールを体験することになった。 僕としても自分の知識欲は満たされつつあり、「手続きは僕で操縦はH君」という役割分担もありだとこの時は考えていた。 そして当日、体験コースを済ませて会社に戻ってきた彼の表情が、予想に反して暗い。一体何が・・・。 「今の機体でどれだけ練習しても、飛行申請の基準を満たせない」。

【会社にドローンがやってきた:10】資格は必要か、不要か。

【本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています】 (2022年12月) 失意の中、会社のリーダーに現状を報告すると、 「ドローンスクールで資格を薦めるのは当たり前。もっと広い視野で考えて」 ・・・とのこと。たしかに。口が裂けてもスクールでは「資格なしでも大丈夫」とは言わないだろう。 国のルールには、資格が必要とは一言も書いていない。仕事で飛ばすために、具体的には人口密集地域で特定飛行を行うために必要なのは、 「10時間のマニュアルモードでの飛行と、知識」。 要はそれを資

【会社にドローンがやってきた:11】ミッション・インポッシブル?

(2023年1月) そんなある日、親会社から通知が届く。 「グループ全体で新年会を開催します」 コロナ下で開催できずにいたが、数年ぶりに復活することになったらしい。これは考えようによっては、チャンスかも・・・。 僕の勤める会社がグループ入りしたのは2年ほど前で、顔と名前が一致する人は、限られたごく一部のみ。 新年会でドローン掲示板の関係者と親交を深めることで、何かが動くかもしれない。この先パイロットが増えるようなことがあるなら、きっとこのメンバーの中からだ。このままで

【会社にドローンがやってきた:12】Mission▶︎関係者ヲ捕捉セヨ

 (2023年1月) 3時間強の新年会の中で「ご歓談タイム」は数回あるが、1回あたりの時間はそう長くはない。 効率的に動かねば。ビール片手に僕のミッションがスタートした。 ▪️ドローン経験者さん まずは席次表の位置情報を頼りに「ドローン経験者さん」を探す。 参加者は全員ネームプレートを首からぶら下げているものの、接近しないとよく見えない。ほどなくドローン経験者さんの席に着いたが、そこにはおらず周囲は見知らぬ人々が盛り上がっている。目立たないように探したいが、肩に「まごの手

【会社にドローンがやってきた:13】Mission▶︎最終目的ヲ完遂セヨ

(2023年1月) 「ドローンの話は二次会で」 どうやら二次会用として集まる部屋があるらしい。早速向かいたいところだが、自分の宿泊部屋には滅多に会えない同僚や初対面のグループ社員がいる。 ドローンも大事だが、こちらもおろそかにはできない。 小一時間ほど経っただろうか。その後、二次会へ向かう。 会場に着き、入り口のふすまを開けると、「ブワァッ」と強烈な熱気が溢れ出る。きっと広いであろう和室が小さく感じるほど、多くの人々がひしめき合い、大小の集合体を形成し、それぞれが隣の声

【会社にドローンがやってきた:14】ミッション・ポッシブル

(2023年1月) 「おぉ、ええよ」 「おぉ、ええよ」 キターーー! ♪───O(≧∇≦)O────♪ 「聞きました?聞きましたよね? 社長、いいって言いましたよね? 皆さん、証人ですよ。明日、聞いてないとか言わないでくださいね。」心の中で早口で叫んだ。 これで前に進める・・・。 安堵の気持ちの背後から、もう一つ湧き上がるものがあった。資格を取るのは「誰」なのか。 僕の会社のもう1人の操縦者のH君は今回不参加だが、彼の存在を無視して話を進めるのは避けたかった。民間資格

【会社にドローンがやってきた:15】未知との遭遇とドローンスクール選び

2023.1月 数日後、大きな荷物が2つ届く。 本社のドローンだ。 一つには、iPad2台のほかに複数のバッテリー、複数の充電器、プロペラなどの予備パーツが多数入っている。どれもがdji mini 3 proのそれとは比較にならないほど大きく、圧倒される。 もう一つの荷物は、このまま旅行に持って行けそうな黒いスーツケース。 「本体」は、ここか。 スーツケースを開けると、本体のほかに2台の送信機、そして隙間には所狭しと複数のバッテリー。おそるおそる本体を持ち上げたその姿は