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【乙庭植物図鑑】20230114 ビオラ イワガワイ (=ヤクシマスミレ) (Viola iwagawai)

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできたらいいな😊)。

今日は、葉脈模様の入る冬季常緑性の葉も美しいグランドカバープランツとして活躍し、冬〜春にかけて咲く野生のスミレらしい花もとても楚々として可愛らしいビオラ イワガワイ を紹介します。

撮影:2024年1月14日

本種 ビオラ イワガワイは、日本の屋久島〜奄美大島、南西諸島周辺に自生が見られる日本固有種の原種スミレです。

1909年に植物学者 牧野富太郎氏が屋久島に植物採集に訪れた際に発見した植物で、種小名の iwagawai は、その植物採集に同行した岩川角之丞氏にちなんでいます。

地際にグランドカバー状に展開する常緑派には美しい黄みの葉脈模様が入り、
春〜初夏に咲く白地の花弁に紫色の筋模様が少し入る花も楚々として美しく、
シェードガーデンの新感覚なグランドカバー素材としても有望な素材です。

スミレというと清楚で山野的なナチュラルかわいらしい印象がありますね。

屋久島や南西諸島など、日本国内でも亜熱帯気候の地域原産種ですが、耐寒性もあり、乙庭のある群馬県前橋市(冬季最低気温マイナス5℃程度)でも常緑を保ち真冬から開花し始めます。

原生地では渓流沿いの岩上や湿った産地などに生えています。庭植えで考えるならば、ホスタやシダなどを植栽するシェードガーデンの環境にマッチするといえるででしょう。

可憐で繊細な雰囲気のある植物ですが常緑性で耐寒性もあり性質丈夫で、冬場に枯れ姿になりがちな宿根草植栽のお庭の冬の彩りとしても活躍します。

草丈低く横に広がる性質のため、グランドカバーや寄せ植えの前面の縁隠し素材としても幅広く使えます。

冬〜初夏にかけて咲く花は白ベースに紫色の筋模様が少し入る、原種のスミレらしい野趣と楚々とした美しさがあります。
めだちすぎず、且つ主張があってとても素敵な植物ですね。

原種らしい素朴さとデザイン性を併せ持ったとてもお洒落な植物です。


■ ビオラ イワガワイ
■ 学名 : Viola iwagawai
■ スミレ科 耐寒性宿根草(冬季常緑性)
■ 花期 : 冬〜初夏
■ 草丈 : 15cm程度
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 強い
■ 原産地 : 日本


最後に私 太田敦雄の著作や掲載誌をいくつかご紹介します。
2024年1月16日発売(本記事執筆時点では発売前)のガーデニング雑誌「Garden&Garden vol.88 (Spring 2024)」。
巻頭特集「風景ガーデニング」にて、私 太田敦雄 / ACID NATURE 乙庭 を8ページにわたり掲載いただいています。私の設計案件の中でもこれまで一般誌で解説紹介していない2つの住宅を実例に写真豊富に、自分が思い描く植栽風景を形にしていく思考のコツなどについて解説しています。私のページ以外も人気ガーデナー、ガーデンデザイナーさんの多様な植栽事例をお楽しみいただけます。


私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。


私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本に書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報としてこれからも手に入るようにはしていきたいと思っています。


noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨




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