話をしようよ / poetry

アイスコーヒーの氷が溶ける速度で話をしようよ
薄くなるのも構わずに
パキンと鳴って崩れる氷の音が聞こえるくらい
ささやくように話をしようよ
うん
そうだね
本当？
いいよ
ときどき無言になって
ただ店に流れる音楽や
窓からの光を眺めて
ああそうだってまた話始めよう
何を
何でも
いつの
いつのでも
さらさらと表面をなぞるようにして
いつしか奥深くで呼吸するように
降る雪のように
散る花のように
季節のように
移り変わる空のように
話をしようよ
時間のことも気にしないで
時計を伏せて
カレンダーも伏せて
いつでもできるような話を
いままでできなかった話を
しよう
結局僕らには声と言葉しかないって思いながら
雑なことは雑に
大事なことはちいさくささやかに
結局僕らに声と言葉があってよかったって
密かに心の中で思いながら話を
話をしようよ