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大人になっていた。

いつのまにか大人になってしまっていた。23歳。先週まで19歳だった気がする。

親戚の子供らに「1年なんてあっという間だよ」なんて笑いながら言うのはもう少し後のことだと思っていたのだけれど本当に1年はあっという間だし気が付いたら親戚の人達には結婚はいつするのか。いい人はいないのか。なんて事を聞かれるようになっていた。数年前に青色の髪をしている女友達と歩いているところを見られてから親戚には女の趣味を心配されるようになっていたのだけれど本当に余計なお世話だ。俺の交友関係も結婚も。

まだ結婚は早いかなぁなんて思っているけれど友人の何人かは結婚どころか子供もいるし、直近ではペルー人と結婚する。なんて友人もいた。ペルーってどこだ。なんの国?南米で合ってる?

高校生の頃はずっと大人になりたいと思っていた。両親の庇護下から早く、両親から早く離れたいとずっと思っていて、高校を卒業して家を出て6年経った今、俺は本当に大人になってしまっているんだな。とたまに思う。あんなに大人になりたかったのに。

もちろん自由は増えたし生活基盤もそれなりに整っている。あまり健康的な生活はしていないけれど今はそこまで不健康というわけでもない。稼いだお金は自由に使えるし煙草や酒も堂々と買えるようになった。ただ高校生の時にはなかった底の見えない寂寞とした感情と未来への恐怖がいつのまにか思考の底にこびりついてしまっていた。なんとなくコレが大人になった事の証左なのかなと思っている。

月日の経つスピードばかりがどんどん増していって、新しく出来た友人に「この間さ、」なんて言って話をした内容が2年前のことだったりして日々の抑揚のなさにビックリしてしまうのもやっぱり大人になってしまった事の証左なのだ。2年も前の事をつい2.3週間前の事みたいに話していいのは1000年生きてる奴だけだろとは思うけれど。


大人になる事への恐怖はきっとあったのだけれどどこかでみないふりをしていたのかもしれない。もう少しちゃんと向き合っていたら違ったのかな。なんて事を今更思う。

それでも重苦しい寂寞と不安を噛み締めながら生きるしかないのだ。大人になってしまったのだから。


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