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嫌な奴になってしまう事を恐れている

私は自分で言うのもなんだけれどかなり穏やかな性格をしていてそれなりに人当たりの良い対応を日々心がけている。それは社会人として当たり前な事なのだけれど。

しかして今までの人生を振り返ると自分が親族以外の人間に怒った事がないのに気が付いた。

あの時くらいちゃんと怒っておけば良かったなと感じる事は沢山ある。

怒ったことがないというのは自分が怒りを知らぬ聖人のような人間であるということではなく、頭の回転の悪さと考え過ぎるきらいのせいである。怒髪天を突くような出来事や不愉快極まる言動に身を晒されても事態や言葉の意味を飲み込むのにばかり時間をかけてしまい、その頃にはカッと上がってきた血の気が下がっていて私が怒ったら彼(彼女)はどう感じてしまうのかと考えてしまう。

それは私が優しいからではなく、感情の発露をダサい事だと思っている事だったり、今後の関係の悪化を嫌ったり、そして何より情け無い事に私が自分自身を嫌な奴だと感じる事を恐れてしまっているからだ。それこそダサい。

職場の後輩が話をちゃんと聞いていなかったり、夜中に「助けて欲しい」「怖い」と咽び泣く友人に電話で呼び出されて慌てて話を聞きにいったらただ彼女と喧嘩して家を飛び出してきただけだったり(何が怖かったのかはわからない)、母から誕生日を祝われたと思えば金の無心をされたり。その場で怒る事もせず後からモヤモヤして鬱積したそれらによって毎夜息苦しい思いをするくらいなら。ちゃんと怒っていたら良かったな、と。

他の人からしたら怒って縁切っておしまいなんだろうし実際にはそれがモアベターな選択なのだろうけど自分にはどうしても出来ない。合理的に生きることはとてもむつかしい。

もちろん言わなきゃ伝わらない事も、伝わらなきゃ相手も直せない事も分かっているけれど自分は前述の通り聖人ではないし。

いつか自己嫌悪から逃げ出したら縁切っておしまい!なんて合理的な事が出来るようになるかもしれない。しないかもしれないけど。

自分自身を許せるようになればいいな。出来れば嫌な奴になってしまう前に。


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