あちこち

一児の母です。自分の使命が知りたくて、星読みをしてもらったことがきっかけでnoteを始…

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一児の母です。自分の使命が知りたくて、星読みをしてもらったことがきっかけでnoteを始めました。日々の気づきを綴って、たまたまお読み頂いた方の、その日のアロマエッセンスのような記事が書けたなら嬉しいです^^。

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ホープストリート 第1話〈創作大賞2024 恋愛小説部門応募作品〉

〈あらすじ〉 時代は20世紀から21世紀に変わろうとしていた頃。僕は闘病中の親友を日本に残したままニューヨークでフォトグラファーを目指していた。 変えられない現実に対する葛藤、そして大切な人を失う悲しみを新しい友人達の出会いによって乗り越え、やがて愛に出会い成長していく青年の姿を描いた作品です。 モデル達と創る華やかな光の世界に魅了される日々に、今度は米国同時多発テロが起こり・・どうにもならない理不尽な現実に圧倒されつつも、主人公は自分の望む道を歩み続けます。フォトグラファー

    • トマムとルスツ 北海道の夏休み旅行

      今年の夏休みは北海道に行ってきました。車を運転しなくても大丈夫なところを探すと、やはり空港から特急やバスで行けるリゾートが便利。 ということで星野リゾートのトマムとルスツリゾートが候補になり、どちらに行こうか迷った挙句、ルスツはマリオットのポイントでホテルが無料で泊まれることが判明したので両方行ってみることにしました^^。 トマム2泊、ルスツ2泊の4泊5日の旅を振り返ります。 1日目 新千歳空港から南千歳駅で特急おおぞらに乗り換えて、1時間ちょっとでトマムへ到着。荷物は事前

      • ホープストリート あとがき

        photo by Akinori Ito 20年以上前の記憶をちりばめた物語を書こうと思い立ったのは、チャットGPTなどの進化するAIが表に現れている情報をどんどん集めていく中で、ふと、個人が大切に心にしまっている言葉や記憶を外側にそっと表現していたら、肉体や記憶がなくなってしまった後でもその情報を拾って、いつか必要な人に届けてくれるのかしらと思ったからです。 何気なく発信してしまったたわいない言葉ばかりAIに拾われてしまって、大切な言葉ほど心にうもれたままで、AIにも拾

        • ホープストリート 第20話

          Photo by Akinori Ito ホープストリート 第19話|あちこち (note.com) あの日の朝、珍しく実家から電話があり、生きているのかを急に聞かれて驚いた。立て続けに母親が、ニューヨークのビルに飛行機がつっこみ大変なことになっているという。そんなことがあるわけないだろうと思いながら外に出ると、様子がおかしかった。道行く人が騒然としていて、イーストリバー沿いの通りに向かっている。僕も人の流れについていき、1年前にミツイとマンハッタンの夜景を見た場所へ向かっ

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        ホープストリート 第1話〈創作大賞2024 恋愛小説部門応募作品〉

          ホープストリート 第19話

          ホープストリート 第18話|あちこち (note.com) 僕は撮影した写真を文字のない絵本のような、ストーリー仕立てのブックに仕上げた。ついでに自分の名刺も作った。愛が帰国してしまってから、早く一人前のフォトグラファーになりたくて独立する機会をうかがっていたが、日々の仕事に追われてなかなか前に進まずもどかしい気持ちで過ごしていた。そんなある日、意外にもチャンスは向こうから訪れた。 電話で何やら話していたハンスが会話を終えると僕にこう言ったのだ。 「このスタジオの近くに住

          ホープストリート 第19話

          ホープストリート 第18話

          ホープストリート 第17話|あちこち (note.com) 仕事の合間をぬって、ニューヨークのあちらこちらに愛と出かけて撮影を行った。ワォール街を颯爽と歩いてみたり、5番街にある図書館で難しい顔をしてみたり、モードなファッションでブルックリン橋を渡ってみたりもした。愛は普段ほとんど化粧をしないが、その端正な顔つきの自然な美しさはどの場所にも溶け込んでいた。 ただ愛はいつも目線をレンズに向けてはくれなかった。何度も一緒に過ごすうちにお互い打ち解けてはきたものの、愛は心理的に

          ホープストリート 第18話

          ホープストリート 第17話

          ホープストリート 第16話|あちこち (note.com) 翌朝、安藤君に昨夜のことを簡単に説明し、ブックを作りたいので撮影に協力してもらえないかと話しをした。 「へー、面白そうじゃん。上の階の皆にも伝えておくよ。半地下のアトリエを撮影に使ったらいいよ。最近は誰も使ってないようだし」 「ありがとう。あと、お祭りやコンサート会場でよく配られる、蛍光に光る棒なんてないかな、曲げてブレスレットとかになるやつ」 「バイト先のレストランに、前に子ども達に配ったものが残っていると思うけ

          ホープストリート 第17話

          ホープストリート 第16話

          ホープストリート 第15話|あちこち (note.com) カラオケの夜以降しばらくの間、僕はホープ家(この頃からホープストリートのアパートのことを住人達はこう呼んでいた)の皆と会わずに過ごしていた。なぜなら、週末も撮影の仕事で忙しかったし、夜は安藤君に紹介してもらった蕎麦屋でアルバイトを始め、隙間時間には日本の大学に提出する卒業論文の作成もあって、皆と過ごせるような余裕がなかった。 そんな風に過ごしていた折、大学のゼミの教授との面談が12月に決まったため、一旦帰国した。

          ホープストリート 第16話

          ホープストリート 第15話

          ホープストリート 第14話|あちこち (note.com) 小さなダイニングテーブルを囲って皆で豚キムチ鍋を食べながら、新しくハウスメイトになった愛の話をいろいろ聞くことができた。 彼女は僕より二歳ほど歳上で、1年ちょっと勤めた会社を辞めてニューヨークに遊びに来たという。来年の春までここで英語を学びながら趣味のゴスペルを習う予定らしい。小柄だけど良く通る声をしていた。ルックスもいいので歌手を目指していたのかと聞いたら否定された。普通に会社員をしていたと言う。 「でももう

          ホープストリート 第15話

          ホープストリート 第14話

          ホープストリート 第13話|あちこち (note.com) その日はめずらしく丸1日仕事も予定もない休日だった。僕がキッチンで簡単な朝食を食べていると、ルームメイトの安藤君が起きてきた。今日一日暇なことを告げると、これからヴィンテージショップに買い物に行くけど一緒に行かないかと聞いてくれたので、二人で出かけることになった。 この界隈には僕がもっていた古着屋のイメージとはちょっと違った、おしゃれな骨とう品や古着を扱っているショップが点在していて、宝探しをするような感覚で見て

          ホープストリート 第14話

          ホープストリート 第13話

          ホープストリート 第12話|あちこち (note.com) 9月にはいり、ホープストリートの家に無事に引っ越した僕の新しい生活が始まった。一緒に1階に住んでいるルームメイトの安藤君は親切で、時々僕の分までご飯を作ってくれた。1階にもキッチンとバスルームがついていて、家賃は月600ドルだった。 アシスタントの仕事にも少しづつ慣れていった。フォトグラファーのハンスには僕以外にも2人アシスタントがついていて、僕の仕事は主にその2人のサポートだったが、早く撮影技術を学びたくてハン

          ホープストリート 第13話

          ホープストリート 第12話

          ホープストリート 第11話|あちこち (note.com) 西海岸の大学院に進学するというミツイのために、お別れ会が開かれた。僕は土曜日の夕方、ホープストリートにあるミツイの家を訪れた。呼び鈴を鳴らすと1階に住んでいる日本人の青年が開けてくれた。彼は安藤海人(あんどうかいと)君といって、僕よりも2歳年上だった。2階からはすでに音楽が聞こえてくる。 「時々玄関で会うくらいで、全くんとちゃんと話したのは初めてだよね。今後ともよろしく」 そう言われて一緒に階段で2階へあがった。ド

          ホープストリート 第12話

          ホープストリート 第11話

          ホープストリート第10話|あちこち (note.com) メールには、こう書かれてあった。 全くんへ  空の父です。空は昨日の夕刻、永眠しました。 いままで仲良くしてくれてありがとう。 僕は目の前が暗くなるのを感じ、マットにうつ伏した。5分くらい経っただろうか、おもむろに起きて、気が付いたら航空会社へ電話をしていた。 ずっと先に予約しておいた帰りのチケットを、最短の日程で変更できないかと尋ねると、明日の便は空いているという。 それでは変更お願いします、と言って電話を切っ

          ホープストリート 第11話

          ホープストリート 第10話

          ホープストリート 第9話|あちこち (note.com) 2000年当時、パソコンはあれどインターネットでなんでも検索する時代ではまだなかった。 渡された電話帳を夜中まで眺めていた僕は、想像していたより多いスタジオの掲載欄に目を見張った。それはそうだ、ここはニューヨークで、世界中のフォトグラファーが集まる。どこからコンタクトをとればいいだろう。僕が目指したいのは、ピーター リンドバーグのような、自然でカジュアル、だけどその人の内面的な輝きを切り取るような写真だった。 ポー

          ホープストリート 第10話

          ホープストリート 第9話

          ホープストリート 第8話|あちこち (note.com) 日本からニューヨークに渡ってすぐの頃、僕はマンハッタンにある大学に付随している語学学校で英語を学んだ。その学校では、ある程度語学力がついた海外からの学生を企業に紹介するインターン制度を設けていて、僕もその制度を利用してフォトグラファーのいるスタジオで働けたらと思っていた。 なぜならフォトグラファーになるには、有名なフォトグラファーのアシスタントにつくのが一番だと聞いていたからだ。 7月に行われた学校のテストでは、イ

          ホープストリート 第9話

          ホープストリート 第8話

          ホープストリート 第7話|あちこち (note.com) 大学四年生の新学期が始まる前に空に会いに行った。 空の実家に来たのは高校生の時以来、何年かぶりだ。インターフォンをならすと、空のお父さんが迎え入れてくれた。 抗がん剤治療をやめた空は、ニュージーランドで目指していた世界一のセーターをつくるという思いを断ち、自分が病気になったことで新たに興味を抱いたという薬学部を目指して勉強していた。 僕は春休み中に佐渡島へ行ってきたことや、そこでミツイと不思議な出会いをしてニューヨ

          ホープストリート 第8話