2022年文庫本製作の振り返り「SIKI SA×I」

はじめに

2023年が始まって、早くも一か月も過ぎた過ぎてしまった。
2021年に引き続き、2022年も文庫本を作ったので、その振り返りをしようと思う。
この文庫本は、2022年の途中で「作るのを止めよう」と思ったこともあった。けれど、やっぱり作ったという、割とどうでもいい経緯があるが、それについては最後の感想に書こうと思う。

今回使用したツール

今回の文庫本を制作するにあたって使用したツールを紹介しようと思う。

デバイス

ペンタブ(XP-PEN Deco 01 V2)
(用途)
カバー制作時の画像処理のデバイスとしての使用
(感想)
用途にあるように、画像処理をするためのデバイスとして使用しているので、カバー制作については後述するクリスタのところで書こうと思う。
単純なこのペンタブの使用感について書こう。

アプリ・ソフト編

威沙いずな
(用途)
本文データ制作
(感想)
威沙はサイトにある通り『文庫本作成データ生成ツール』で、同人小説を作ってきた人ならおそらく一度はお世話になるか、少なくとも存在くらいは知っているかと思う。
今回は自力低予算が目的なので、どうにか自分で本文データを作らなくてはいけない。自力で作るにも一太郎やインデザイン、Wordでの制作など様々方法がある。吟味した結果、威沙で作ることにした。

CLIP STUDIO(通称:クリスタ)
(用途)
カバー制作時の画像処理
(感想)
画像編集ソフトがこれまで、スマホのアイビスペイントしかなかった。けれど、PCでがっつり作成できるものが欲しいと思っていたところに、幸運でクリスタを手に入れることができた。
元々アイビスペイントを使っていたから、こうしたソフトの使い方は似ているので、レイヤーとペンが何種類かあることを理解しているとそんなに戸惑うことはない。

完成品「SIKI SA×I」

カバー
表紙

これらは製本直送さんのジェネレータから参考に持ってきたものだ。

届いたカバー表紙がこちら

画像はてんぱるさんなどから購入した画像をジェネレータに入れ、作っている。

中身はこんな感じ。

厚すぎて開くのに一苦労だった。

タイトルについて

今回のタイトルは「SIKI SA×I」で、読み方は「しきさンい」だ。
バツのところは、こう、ちょっと詰まってほしい気持ちがある。ンともッとも言い難い詰まり方をしてほしい。
というのも、一年間作品を書いてきて、テーマは割と季節に合わせている雰囲気がある。けれど、季節×テーマ×内容となっているとは限らない。四季の移ろいにともなって、作品も同じように移ろっていくわけではない。
数だけは沢山書いたので、多種多様な作品が収録されている。とは言え、先ほども書いたようにクオリティの低い作品ばかりなので、色とりどりとは言い難い。
そこで「四季(色)の詐欺」→「SIKI SAGI」なのだけれど、多種多様という側面と欠陥がある印象のために「G」にバツを付けている。まあ、あとは「そこにバツを付けたらかっこよくない!? さらにGを抜くと『色彩』とも読めてよくね?」くらいの気持ちで決めた。

カバーについて

カバー制作の段階は次のように行った。
1.イメージを固める
2.画像を探す、画像を作る
3.ジェネレータで作成する

1.イメージを固める
今回のカバーのイメージは、
・一見カラフル
・だけど怪しい感じ
・黒地に赤、カラフル
・文字は白、細字
・Gのところだけ赤色ペンキでバツが付いている
(SIKISAIとも読めるように)
イメージはスルスルと決まっていったので、特段説明するものもないのが、正直なところだ。
前述しているように、小説のテーマは季節に沿っているが、書かれている小説が季節に沿っているとは限らない。また、作品によってはアンダグランドのような暗さのあるものもある。
そのため、地は「黒」というのが自然とイメージにあった。
とは言え、去年は春と夏にしか作品をかけなかった小説が、今年は一年書くことができた。なので、その移ろいも表現したいと思っていた。

これは私の感覚だけれど、イメージが全くできないのなら考えるけれど、ある程度イメージが出ているなら、それ以上考えても、仕方ないと思っている。あくまでも、趣味で行うものだし、その程度が作品に込める「命」だとも思う。それに、第一印象から離れることはできないと思っている。だから、するすると出てきたもの以上に何かを付け加えるのは、蛇足にしかならない。

2.画像を探す、画像を作る
これを正確に書くのなら、これらは二つの工程になっている。
1)画像を探す
2)画像を作る

1)イメージが固まったのなら、それに合う画像を作る。もしくは探さなくてはいけない。
自分は基本的にpixivにて画像を探している。あそこは表紙素材を多く公開している方が多い。今回も(?)てんぱるさんのものを使用した。あの方は種類が豊富だし、綺麗な上に、表紙の作り方も出している。本当に凄いと思う。
とは言え、この作業が割と大変だ。膨大にある画像の中からイメージに合うものを探すのは、骨が折れる。これに特別コツのようなものはない。探す! ともかく画像を一枚一枚見る! それに限る。

余談だが、前述のようにpixivには多くの画像が公開されているが、完全にフリー素材というわけではない。どのように作っていいのか、加工していいのか、どのように使っていいのかの約束事・規約をそれぞれ書いている。
こうして、素材として使っているが、正直どこまで使用していいのか分からない。見つかったとき、怒られないかとビクビクしてしまうが、それは仕方がないことだ。間違ったことをして怒られるのは、当然のことだから。
きちんと規約を読んで、正しく使用したい。
それと、中にはお金を払って購入という形で画像を使用できるものもある。
完全な個人での使用なのに、お金を払うのか……と、少し前の私なら思っていた。製作者はそれに技術と才能を費やして作っている。それを無料で貰うのは、いささかおこがましい話だ。大抵こういうのは数百円で済む話。コンビニでおにぎり一つ買うのにためらう人は、お腹を済ませたまま自炊することだろう。けれど、自炊ができない人はやはり数百円を出しておにぎりを買うしかない。
自分で画像を作れないのだから、買うのは自然な話だし、物にお金が発生するのは、今の世の中当然の話だという、少しズレた話だ。

2)画像を作る
「自分で画像を作れない」と言っていたが、ある程度はできる。
クリスタを入手したので、それを使用した。とはいえ、簡単なものだ。
作ったのは、カバーのタイトル部分と表紙のタイトル部分、それからバツだ。
バツは自作である。頑張った。
「ペンキ、もしくはスプレーのようなもので乱雑に、怒りを込めたように書かれたバツ」を買っても良かったのだけれど、こればかりはいくら探しても見つけられなかった。なので、自作することにしたのだけど、これが大変だった。元から入っているものではイメージに近いものがなく、様々なペンを試して、完成に至った。
(様々なペンを購入できたのも、クリスタの年末年始のログインキャンペーンのおかげであるが)

3.ジェネレータで作成する
以上のように用意した画像を、カバーにするための画像へとする必要がある。
製本直送さんではカバーを付けられるようになり、それに伴ってジェネレータも用意された。まだ難しいことは分からないので、ジェネレータで作成する。
作成については、イメージが固まっていたので、それを再現するだけだ。
あとは、カバーを折った内側のところを本当にある文庫本のように作る

表紙について

表紙もこちらのものを使用と、自分で作った画像などを製本直送さんのジェネレータで作成した。
イメージは「よくある小説のカバー下表紙」である。
画像の力を使ってなんとかいい感じになっているけれど、これはもう少し工夫する必要があるだろう。

本文設定について

威沙での設定はだいたいこんな感じ。
といっても、デフォルトでの設定だから、別に変えていない。

印刷所について

印刷所は2022年4月にカバーが作れるようになったことを知ってから、製本直送さんにお願いすることは決まっていた。

制作経緯と感想

2022年の目標

一昨年はとうらぶの二次創作を一本書いて、本にした。
去年は短編を三本だけ冊子にした。
本にするという快楽を覚えた私は「一年間コンスタントに作品を書いて、それを年末にそれらを文庫本化しよう!」と2022年が始まった。
pixivでは「執筆応援プロジェクト」というものがある。月1のペースでテーマが発表され、きちんと締め切りも設けられている。
気分で作品を書くのではなく、継続的に書き続けることに挑戦したかった私にはその企画が丁度よかった。
一応、昨年冊子にした作品のもそれだけれど、今年はきちんと参加しようと思ったのだ。

断念を検討

結論から言うと「書き上げた作品のクオリティがダメダメだったので、文庫本にするのをやめようかと思った」という話。
プロジェクトに参加した当初、締め切りに間に合うのか? とかという心配があったので、ハードルを極限に低くして「書いたら勝ち」と設定していた。
それにより、長くても短くても、書いたら投稿することにしたので、精神的なものと作品を書くことへのプレッシャーが大分減り、最後までその精神を貫き、落とすことはなかった。
続けていく中で芽生えた次の心配事が、アイデア・ネタの枯渇だった。2月、3月時点でそれで困った覚えがある。
けれどこれは、世の中にアイデアが出しについて書いてたり、言っていたりする先人の方々のおかげで以外にも困ることはなかった。
当初あった心配事である締切やアイデアの枯渇は、心配するほどじゃなかった。けれども、一番困らせてくれたのは「出たアイデアまたは作品のまとめ」である。
アイデアは出る。「面白そう!」という組み合わせもできる。けれど、それを一つの作品のネタに持っていくのが、それはもう難しい。
後半になってくると、それが少しまとめる力が付いてきた気がするけれど、今度はそれをより洗練したものにしていくことができない。
思った通りに話を書けても、より良いものにしていく道筋が全く見えない。そこで才能ないんだ……って落ち込む。
「こんなクソみたいな面白くもない、ただの自己満足にすらなってない作品をまとめる意味ある? ないない」
みたいなことになって、文庫本化するのを止めようかと思ったのだ。

結局作った理由

とは言え、結局作った。
理由としては「新しい挑戦」「快楽」と言えると思う。
「新しい挑戦」というのは、二つある。
一つはカバー付きということ。もう一つは威沙の使用である。
詳しいことは後述するが、製本直送さんでは今年からカバー付きを製作することができるようになった。カバー付きは一昨年の頃から憧れており、元々今年はカバー付きを目指していたところだったので、本当にありがたい。
そしてもう一つ今年挑戦したいことがあった。
それは「自力で文庫本データを作りたい」というものだ。
一昨年は人に作ってもらって、昨年はテンプレを使用して作った。去年についても自作と言えば自作なのだけれど、あれは会社で暇を見つけてやったものだからな……。できれば、自分の低スペックPCでもできるデータ作りをしかった。
で、色々見て総合的な判断で、威沙を採用し、それでデータを作った。とはいえ、それでもそれなりに使い方を知る必要があったけれど。
そして、作った理由二つ目の「快楽」だけれど、先ほども言ったように作ることの楽しさから、抜け出せそうにないということだ。
作るつもりはないけど、来年のために少し履修しとくか、と威沙の把握を始めて、仮データ作ったら……もう、ね。作りたい! てなってしまって、気づけば短編データ全てを入れて、テキストデータ作ったら「ここまでやったなら作るか!」みたいな。そんな感じで結局作ることになった。

作った感想

最終的な感想としては、作って良かった。
前々回に作ったやつより厚いものができた。


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