台湾プロ野球を観に行こうとしたらとんでもないことになった話
夏の某日。
11月に開催されるプレミア12の開催日程が発表された。
今年、30試合以上現地観戦するほど野球観戦欲が高かった僕は、当然のごとくプレミア12も観に行くことを決めていた。
「WBCに比べればプレミア12には国際大会として格がない」……そんな声も聞かれるが、僕のモチベーションが高かったのはある理由があった。
予選が台湾開催だったのである。
国内の球場に通い尽くした野球ファンが次に求めるのは海外遠征。僕は海外で野球を観るという夢を叶えるべく、嬉々として開催要項に目を通した。
あれ、
台湾予選、ド平日じゃん――
――メロスは激怒した。必ずかの邪智暴虐のプレミア12を爆破せねばならぬと決意した。
メロスは、泡沫国立大のクソザコ文系学生である。1コマをサボり、Twitterに入り浸って暮らしていた。しかし11月のド平日に台湾へ高飛びできるほど暇ではなかった。
だが、この無駄に上がりきってしまった台湾観戦のモチベーション、いったいどうしようか。ヤンハービス・ソラーテ選手に分けてあげたかったわこのモチベ。
そこで思いついた。
じゃあ台湾プロ野球を観戦すればええやん。
台湾にもCPBLというプロ野球組織がある。現・日本ハムの王柏融も所属していたLamigoモンキーズを始めとして、現在4球団が加入している。
最近だと、ムネリンこと川崎宗則が新規参入球団の味全ドラゴンズにコーチ兼選手で入団したことはプロ野球ファンなら知っての通りだろう。
思い立ったが吉日、僕は急ピッチで台湾プロ野球観戦計画を立てた。
時期は大学夏季休業中の9月、3泊4日の遠征計画。
そして僕は、台湾へ飛び立った。
◇ ◇ ◇
Jetstarで3時間のフライトを終え無事に桃園国際空港に到着した僕は、ポケットWi-Fiと現地通貨という二大人権をゲットし、台北市内へと向かった。
空港駅から台北駅までは直通の地下鉄が通っていて、150台湾ドル(だいたい500円)で行ける。この地下鉄で買うのは切符ではなく写真のようなICチップで、なんだか近未来感が凄かった(小並感)。
さて、台北駅に着いた僕だったが、もう時刻が21時とかなり遅かったので、とりあえず宿に向かうことに。
今回泊まったのはTaipei Taipei Hostelというドミトリーの宿。この手の宿としてはめちゃくちゃ綺麗で、しかも大通り沿いにあるのでアクセスも良く治安面も安心。それでいて3泊4000円ほどという破格の安さ。ドミトリーとはいえ台北の中心部でこれは、貧乏学生的には神。
ただ唯一の問題としては堂々と加藤鷹タオルが掲げられている。これはいけない。
ところで台湾にはセブンイレブンとファミリーマートが進出している。そして、野球のチケットもここで買うことができる。
統一ライオンズのチケットはセブンで、それ以外の3球団はファミマで取り扱っている。僕はLamigoの試合を観に行こうと思っていたので、ファミマへ。
チケットの買い方?
台湾のファミマにもFamiポートがあるので、ポチポチしていったら買えます。
漢字でなんとなくの意味を把握しながら操作していくと、無事買えました。(写真は撮り忘れた)
さて、台湾のコンビニを物色していると、かなり日本製品が多いことに気づく。お菓子などはかなり多い印象。
雑誌コーナーは日本ほどは充実していないが、こんなものを見つけた。観戦のための予習として購入。
中身は日本の野球雑誌と同じような感じで選手のインタビューが載っていたり、批評のコラムが載っている他、海外リーグ(NPBやMLB)での台湾選手の活躍もまとめられている。あと、普通にNPBの日本人選手の特集も載っていて、純粋に日本プロ野球への熱もある様子。
◇ ◇ ◇
翌朝、台北市内を適当に観光し、昼飯は地元の人も結構利用してるっぽいこんな店で。うん、OC。(死語)
腹ごしらえを終えると、また地下鉄に乗って台北市の東側へ。
南港展覧館駅はオフィス街になっていて、高層ビルとオリエンタルな建物がカオスに混在する台北駅周辺とは印象が全然違う。
なぜこんなところまで来たかというと、
中信ブラザーズのグッズを買うため。え? Lamigoのグッズ? そんなもん桃園球場行ったら買えるじゃん。
中信はこの日のLamigoの対戦相手。にしてもなぜ中信のグッズをわざわざ買おうとしているかというと、中信には僕の贔屓である阪神に所属していた選手が割と居るからで、現役だとジェン・カイウン(鄭凱文)や、二軍監督が林威助だったりと、懐かしい名前が並ぶ。そもそも阪神とコラボした事もあるらしく、この日の店員さんの袖にも阪神のワッペンが。
ユニフォームと鄭凱文のタオルを入手して、いざ今日の試合が開催されるLamigoモンキーズの本拠地、桃園国際野球場へ――!
雨天中止になりました。
いや、実は昼過ぎからぼちぼち雨は降ってて、まずいなぁとは思ってたけど、台北駅出たあたりから洒落にならない雨が降り出し、試合は無事中止。とんぼ帰りを食らう羽目になった。
その夜は気を取り直して夜市に行きました。
◇ ◇ ◇
雨天中止になった翌日、この日も台北市内で色々と散策。寺院を回ってみたり、美術館で面白そうな企画があったので行ってみたり。
そしてまた今日も桃園国際野球場へ――
また中止じゃねーか!!!!!
昨日よりは雨降ってなかったからワンチャンあると思ったのに……
しかしここで諦めないのが真の野球ファン。この画像の上の試合がある「新荘」と書かれた球場、実は台北から桃園球場に向かう途中にある。
とはいえ駅から球場まで結構遠いし、富邦ガーディアンズと統一ライオンズの選手も全然知らないので当初は行く気がなかった。だがこうなっては行くしかない。だってまだ、中止の公示は出ていないんだから――!
いや中止やんけ!!!!!
ようやくたどり着いた目の前でシャッター下ろされるとかこいつら完全に心折りにきてるわ。
こうして、僕の記念すべき初台湾遠征は、
2日とも全試合が雨天中止で1試合も観れずに帰国する
という、とんでもない顛末をたどったのである。
しかし僕もここで終わる訳にはいかない。明日には帰国の途につかなければならない、台湾最後の夜。
僕は、
台湾映画を観ることにした。
何を言っているか分からねぇと思うが、とにかく僕は台北駅の方にあるシネコンにやってきたのだった。
洋画や日本映画の字幕版も結構あったが、せっかくだからと台湾制作の映画が見たかったので
よく分からないけどポスターの格好良さでこれを選んだ。
タイトルは「第九分局」。どうにかアクション映画だということだけは分かったが、それ以外のことはほとんど分からなかった。
とりあえずチケットを購入するため、列に並び始める僕。台湾の映画館は、チケットの販売とポップコーンなどの飲食物の販売がセットで行われている。
映画観ながらあんまりポップコーンとか食べない派の僕はチケットだけさっさと購入して、スクリーンへと向かうことにした。
チケットと言っても、渡されたのはほぼレシートみたいなもんである。
ということで時間が来たので、よっしゃ観るぞ! 中国語マジで何言ってるか分かんないけど!
と思ったら台詞字幕があった。中国語と英語の。
なんて観光客に優しい仕様。1ミリたりとも言語情報が入ってこないことを覚悟していたのに、台詞が全部英語に翻訳されてるし、漢字の字面だけ追っても何となく意味が分かる。
そりゃまあ、日本語出してくれるのが一番なんだけど贅沢は言わん。かくして、割と充実した台湾映画「第九分局」鑑賞会は始まったのだった。
「第九分局」は、霊感ある系主人公の交通警察官が仕事でやらかしてクビになりかけたところを、幽霊専門の部門である第九分局に拾われ、霊にまつわる様々な事件を解決していく――という、
要は幽霊版MIB。
(というか後で公式サイトのあらすじ見たらMIBって書いてあった)
アクション映画だから当然っちゃ当然なんだけど、アクションシーンはなかなか見応えあり。一方でエンタメ要素がけっこう強く、この辺は台湾映画の特徴なのかもしれない。よく知らんけど。
幽霊を収納する傘みたいな道具を初めて使った時に主人公が「ポケGOかよ」とか言い放った時は流石に吹いた。
そんなわけで、何だかんだ満足のいく夜を過ごすことができた。
◇ ◇ ◇
そして翌日、帰国。
まさかの台湾映画鑑賞もあり面白い旅だったが、やはり野球を観て、全力で応援して帰ってきたかった。
リベンジしなければ。
そして、また台湾映画観なければ。
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